2025/12/17

池を泳いで渡るシマヘビは舌をチロチロと出し入れしながら水面を舐めている【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年9月中旬・午後12:40頃・くもり・気温27℃ 

里山で急坂コースの山道を登って小さな池に辿り着きました。 
息を整えながら、水面の上を飛び回るトンボの縄張り争いを眺めていると、池を泳ぐシマヘビElaphe quadrivirgata)に気づきました。 
シマヘビが泳ぐシーンは初見です。 

動画を撮り始めた私を警戒しているのか、シマヘビは池の水面に浮いて静止しています。 
口元を見ると、先の割れた舌を高速で出し入れしていました。 

池に浮かぶシマヘビの高速ベロを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみましょう。(@0:59〜4:24) 
波ひとつない水面に、鎌首をもたげたヘビの頭部が逆さまに写っています。 
先端が二股に割れた舌の表側は白っぽく、裏側は赤黒いようです。
細長い舌を上下にヒラヒラと動かしながら伸縮させ、鋤鼻器(ヤコブソン器官)に風の匂いを送り込んでいます。 
スーパースローで見て初めて分かったのですが、引っ込める際に舌先を水面に軽く触れていて、その度に波紋が広がっていました。 
最近撮影したヤマカガシと同じでした。

近くの水面に浮いていたアメンボが、マヘビの立てる波紋に警戒して逃げ出しました。 
舌を出し入れする頻度が高くなると、蛇行を始める前兆です。 
予想通り、水面を蛇行しながら泳いで前進を始めました。  
泳ぎながらも舌の出し入れを続けていて、水質検査もしているようです。(水面も舐めている) 

高画質のFHD動画に戻して蛇行遊泳シーンの撮影を続けます。(@4:25〜) 
急にシマヘビが水面を泳いで岸辺に突進したのでカエルでも狩るのかと期待したものの、カエルはとっくに逃げてしまったようです。 
岸辺に生えた抽水植物(種名不詳)の葉の下に顔を隠してシマヘビは安心したようですが、「頭隠して尻隠さず」の状態です。 
どうやら私を警戒して逃げたのかもしれません。 
シマヘビの顔が見えるように私が動画を撮りながらゆっくり横にずれると、シマヘビはまた少し前進して葉陰に顔を隠しました。 
慎重でなかなか上陸してくれません。 

舌をチロチロと高速で出し入れして周囲の状況を絶えず探りながら、慎重にゆっくり上陸します。 
水際の泥濘や落ち葉の上を這い回り、池の畔を少し登りました。 
静止したシマヘビは、舌の出し入れを止めてしまいました。 



【考察】 
この水場は浅い水溜りではなく、深い池です。 
鎌首をもたげたシマヘビの上半身は水面より上に浮いていましたが、尻尾付近の下半身は水没していました。 
ということは、肺や消化管を浮き袋としているのでしょうか? 
まさか上半身よりも下半身の方が重い(比重が大きい)はずはありません。
Perplexity AIに質問すると、否定的な見解でした。

陸棲のヘビであるシマヘビやヤマカガシは、肺に入った空気を浮き袋のように使って水中の浮力を得ているわけではありません。これらのヘビは肺呼吸を行い、空気を鼻や口から取り入れているので、泳ぐときに鼻や口を水面に出して呼吸しますが、肺の空気を利用して体を浮かせているわけではないのです。

ヘビの肺は呼吸のための器官であって、魚やウミヘビのような特別な浮き袋機能はありません。陸棲ヘビは泳ぐ際に体の一部が水面に浮くことはありますが、それは肺の空気の浮力というよりも体の形状や泳ぎ方によるものです。下半身が水没しても泳ぐのに問題はなく、呼吸のために時々鼻先を水面に出します。

このため、シマヘビやヤマカガシなどの陸棲ヘビが深い池で泳ぐ際、上半身が水面に浮くのは肺の空気による浮き袋効果ではなく、水中での体のポジションや泳ぎ方によるものと考えられます。肺はあくまで呼吸器官で、浮力調整を目的にはしていません。

まとめると、陸棲のヘビは肺の空気を浮き袋のようには使わず、泳ぐ際は肺呼吸を保ちながら水面に鼻を出すことで呼吸を行います。浮力は主に体形や筋肉の動き、水の抵抗によって調整されています.wikipediayoutube


陸生ヘビが水中で泳いだり浮いている際に、下半身が沈みやすい理由は単に重量や比重の違いだけでは説明されません。ヘビ全体の比重はほぼ水に近いものの、体の構造や体表の形状、筋肉の使い方が影響します。


ヘビの体は円筒形で柔軟性が高く、泳ぐ時は体を波打たせて推進力を作ります。上半身が水面にあるのは呼吸のために鼻や口を水面に出しやすくするための姿勢維持や、筋肉の働きによって姿勢が保たれているからです。一方、下半身は水中に沈んでいても筋肉の動きや水の抵抗で問題なく泳げます。


また、肺は比較的大きな空洞ですが、ヘビの体全体に対しては肺の容積はそれほど大きくないため、肺の空気が浮き袋として体の浮力を大きく支えるわけではありません。体の各部の重さの差よりも、筋肉と体の動き、および水と接する表面積の違いが浮き沈みの感覚により影響するのです。


したがって、下半身だけが水中に沈むのは比重差より体の形態と行動の結果であり、陸生ヘビの肺は浮き袋のような役割は持たないものの、水面に上半身を保つ姿勢制御を筋肉などで行っていると考えられます。比重の違い説は現実のヘビの泳ぎ方とは食い違います。 


ヘビが水面に浮いているときに鎌首をもたげて頭部を水面より上に保つ姿勢は、確かに身体のバランスに影響を与えます。この姿勢により、ヘビの頭部付近が高くなり見た目上は上半身が水面に浮いているように見えますが、それと反対側の下半身は自然と水中に沈みやすくなります。

これはヘビの体が柔軟で長いため、重心と姿勢の関係でこうした浮沈みの差が生まれるためです。頭部を高く持ち上げ呼吸を確保しながら、下半身は水底に近い深さでしっかりと水圧の支持を受ける形でバランスを取っていると考えられます。

したがって、ヘビの水面に浮く姿勢は肺の浮き袋効果とは別に、体の姿勢制御と筋肉の働きで決まるもので、鎌首をもたげる姿勢が水中での浮き沈みに大きな影響を与えているのです。このため、浮いているときに下半身だけ沈むのは自然な現象と言えます。

結論として、シマヘビやヤマカガシのような陸生ヘビが泳ぐとき、鎌首の姿勢保持によって頭部が水面に優先的に浮き、反対側の下半身が水中に沈むのは身体のバランスを保つための合理的な動きであり、肺の空気量だけによる浮力差では説明できません.herpetology.raindropyoutube

ところで、ヘビの先端が二股に別れていることに生態的に重要な意味や役割があることをご存知でしょうか。


ヘビの舌が二股になっているのは、きわめて典型的な「適応形質」で、主に化学感覚(嗅覚+味覚に相当)の空間分解能を高めるためと考えられています。ki-nokon+1

二股の舌とヤコプソン器官

ヘビは舌で空気中や地表の化学物質(匂い分子・フェロモンなど)を集め、それを口蓋にあるヤコプソン(鋤鼻)器官に運んで感知します。allabout+1
ヤコプソン器官は左右一対で、舌先の左右それぞれが対応する孔に差し込まれるため、二股構造はこの「左右別々にサンプルを運ぶ」仕組みに適合した形態と解釈されています。reddit+1

方位検出と「においのステレオ」

二股になっていることで、舌先の左右で僅かに異なる場所の化学情報を同時に採取できます。getnews+1
その結果、左右の濃度差や到達タイミングの差を比較し、におい源の方向を推定できるとされ、「におい版ステレオ視・ステレオ聴覚」のような役割を果たしていると考えられています。youtubeallabout

探索効率と行動上の利点

二股構造により、一本の舌より広い範囲から効率的に化学物質を拾えるため、獲物・天敵・配偶相手などの存在や位置をより精密に把握できます。fujisan+1
視覚や聴覚が制約される夜間や地表近く・隠蔽環境での探索において、こうした高分解能の化学定位能力が大きな適応的利益をもたらすと考えられています。youtubeallabout

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