2021年3月上旬・午後12:15および14:45・晴れ
スノーシューを履いた私が里山を散策していると、スギの木陰に潜んでいた野生動物が私の接近に気づいて逃げ出しました。
立ち止まってこちらを振り返っている姿にズームインしてみると、ホンドギツネ(Vulpes vulpes japonica)でした。
やはりこの雪山にはキツネが生息していたのです。
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ホンドギツネが雪山に残したフィールドサイン(足跡いろいろ・糞・小便跡など)手前にある灌木のせいで肝心のキツネにピントが合っていませんが(前ピン)、この個体は全身の毛並みが悪く、特に尻尾はほぼ無毛で針金のようです。
どうやら疥癬(ヒゼンダニの寄生による皮膚感染症)に罹患しているようです。
あまりの痒さに自分で患部を掻き毟って毛が抜けてしまうのだそうです。
キツネは身震いしてから雪道を走り去りました。
雪面に残る新しい足跡を辿って追跡してみましょう。
「アニマルトラッキング」の本に書いてあったように、キツネの足跡は確かに一直線状でした。
(深雪では2本線で足跡が残るのか、というのが目下、私の知りたい疑問です。)
少し進むと、キツネが立ち止まって排尿した跡が雪面に残っていました。
ザラメ雪がキツネの黄色い尿で溶けています。
縄張り内を匂い付けでマーキングしているのでしょう。
小便跡に鼻を近づけて嗅いだ訳ではありませんが、通り過ぎても私は特に何も匂い(キツネ臭)を感じませんでした。
疥癬キツネの足跡を追って、深い谷を右に見下ろしながら雪山の斜面を慎重にトラバースして行きます。
しばらくすると、キツネの足跡を見失ってしまいました。
春が近づき最近は新雪が積もりません。
晩冬の雪質だと、どうしてもアニマルトラッキングが難しくなります。
雪山を散策した私が2.5時間後にキツネ遭遇現場に逆方向から戻って来ると、同じスギの木からまたもやキツネが飛び出しました。
尻尾がガリガリで毛並みが悪いので、往路で見た同一個体で間違いないでしょう。
疥癬ホンドギツネは今度は山側へ走り去りました。
疲れていた私は、再びキツネの足跡をトラッキングし直す余力はありませんでした。
キツネが執着していた杉の木に近づいてみると、その根元付近だけ雪が溶けて地面が露出していました。
近くにキツネの巣穴があるのか?と思って周囲を探し回ってみたものの、見つかりませんでした。
ホンドギツネの繁殖期は冬(12月から2月)なのだそうです。
この個体が独身かどうか分かりませんが、番 のパートナーや生まれた幼獣も感染させてしまう厄介な病気です。
実は、現場から少し下った山麓の集落で疥癬症に罹患した野生タヌキを目撃したことがあります。
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