2023/10/25

春の池で水面を高速遊泳するミズスマシの群れ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年4月上旬・午後14:20頃・晴れ 

里山の池でヤマアカガエル卵塊の定点観察に来たら、小さい方の池でミズスマシの仲間が水面をくるくると高速遊泳していました。 
越冬明けの成虫が春の池で活動を始めたのでしょう。
水生昆虫に疎い私は、生きたミズスマシを見るのが生まれて初めてで、感激しました。 
(子供の頃に見ているかもしれませんが、記憶にありません。) 
山からの雪解け水が溜まるこの池には、前年に生えたガマの群落が枯れたまま残っています。 
この池は完全な止水ではなく、やや流れがあります。 
隣りにある大きな池からチョロチョロと水が流れ込んでいるのです。 

ミズスマシは水面を滑らかに回ったり八の字を描いたり蛇行したり、休み無く高速で遊泳しています。 
多数のミズスマシが水面で群れる性質があるらしいのですが、この池では2〜3匹しか居ませんでした。
水面で2匹のミズスマシがたまにニアミスしたときに何が起きているのか気になったので、240-fpsのハイスピード動画に切り替えてみました。(@4:35〜) 
仲間を獲物と誤認してしまうのでしょうか? 
それとも水面に自分の縄張りがあるのかな?(縄張り争い)

スーパースローで見ると、スクリューの回転のような持続的な推進力ではなく、ミズスマシの泳ぎは足で掻いて断続的に進んでいるようです。 
右回りから左回りに移行する際に8の字を描きます。

たまに爆発的にダッシュすることがあり、大きな波紋が広がります。 
しかし水面の獲物を目がけて突進する訳ではなく、目的が分かりません。 
獲物(候補)を探査するために意図的に波紋を出しているのですかね? 
潜水艦がソナーでピン音(ping)を打つ様とか、コウモリのエコロケーションを連想しました。 

池の底では黒いオタマジャクシ(ヤマアカガエルの幼生)がときどき身をくねらせて泳いでいます。 
しかし水面のミズスマシは水中に潜ってオタマジャクシを狩ることはありませんでした。 
次は捕食シーンを観察してみたいものです。 
今回は現場で手頃な生き餌を調達できませんでしたが、適当なゴミや虫を水面に落とすとミズスマシは反応するでしょうか? 
捕食中は遊泳を止めて獲物に群がるのかな? 

小さな泡やゴミ(浮遊物)が水面をゆっくり流れてくると、ミズスマシは興味を示して近づいてきます。
しかし獲物ではないと知ると、離れて行きました。


2匹のミズスマシが水面でニアミスしても激しい喧嘩や共食いにはならず、すぐに離れました。 
ニアミスする直前にピンを打っている(大きな波紋を立てている)ような気もしますが、定かではありません。
そもそも自分の出したピンが反射した波紋と相手の発したピンを区別できるのでしょうか?

 ヤマケイポケットガイド18『水辺の昆虫』に載っていたオオミズスマシの解説によると、
中・後ろあしをスクリューのように回転させて、ぐるぐる回るように泳ぐ。ぐるぐる回っているのはえさを捕まえるためと、上空の鳥と水中の魚から身を守るため。 前あしは遊泳用ではなく、水草につかまるために発達した。 
越冬形態:成虫  
ぐるぐる回ってできる波で、獲物や障害物の位置を知ることができる。

 ミズスマシの仲間は、水面の位置を堺にして複眼が上下に分かれている。この上下2対の目で、水中と空中とを同時に見ることができる。(p266-267より引用)


遊泳中にミズスマシはお尻から オナラのように泡を出して、それを腹端に付けたまま泳ぎ回っています。

泳ぐ際に水の抵抗で邪魔になりそうですけど、水中の酸素とガス交換しているのかな? 


※ 動画の順番を適当に入れ替えました。
動画ばかり夢中で撮ってしまい、同定用のストロボ写真を撮り忘れてしまいました。
高速旋回するミズスマシにきちんとピントを合わせるのは至難の業です。
ミズスマシをしっかり同定するには、網を持参して採集する必要がありそうです。

後半のハイスピード動画が長過ぎて冗長(退屈)かもしれません。 
初めての観察で嬉しくなった私は長撮りを繰り返したものの、編集でカットするには惜しくなってしまいました。 
面白いシーンはなるべく前半にお見せするように編集しました。 
ミズスマシが水面に描く軌跡をトレースしたら、各個体の縄張りが見えてくるかもしれません。 

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