2014年5月中旬
河川敷でウスバアゲハ♀(旧名ウスバシロチョウ、Parnassius citrinarius)がタンポポを訪花していました。
個人的に、この組み合わせは初見かもしれません。
腹端に交尾嚢を付けているので、交尾済みの♀ですね。
貪るように花蜜を吸っています。
途中で飛んで隣の花へ移動しました。(エゾタンポポ→セイヨウタンポポ)
捕虫網を持参してなかったのですが、手掴みで難なく捕獲出来ました。
警戒心が無さ過ぎです。
交尾嚢をじっくり撮らせてもらった後は、別のタンポポの花にそっと乗せてやると何事もなかったように吸蜜を再開。
ウスバアゲハ@エゾタンポポ訪花 |
後でタンポポの総苞を調べると、最初の花は日本固有種のエゾタンポポで2番目の花は外来種のセイヨウタンポポと判明。
エゾタンポポ花 |
エゾタンポポ総苞(ピンぼけ…) |
セイヨウタンポポ総苞 |
【追記】
保谷彰彦『わたしのタンポポ研究』を読んで、タンポポの雑種の問題について勉強になりました。
クローンで増えることが可能な外来種のセイヨウタンポポが日本全国を席巻しているとばかり思っていたのですが、DNAレベルで精査すると、むしろ現状は在来種との雑種の方が多くなっているらしい。
長い口吻で蜜を吸うチョウは一般に虫媒花の送粉者としてはあまり役に立たない(盗蜜ばかり)のですが、今回の映像はタンポポの雑種を生み出す実例と言えるかもしれません。
しかしエゾタンポポ→セイヨウタンポポの順に訪花したので、花粉が異種間で移動して仮に受粉しても雑種はできないようです。
日本タンポポばかりの集団の近くに、セイヨウタンポポが生えている様子を想像してみましょう。ハナバチやハナアブの仲間がセイヨウタンポポと日本タンポポの区別なく、蜜を吸うために、花から花へと移っていくでしょう。すると、セイヨウタンポポの花粉が、日本タンポポのめしべに運ばれるということは十分に考えられるのです。(p127より引用)日本タンポポの花粉が、セイヨウタンポポのめしべにくっついても、雑種はできません。(p128より引用)
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