2021/05/31

雪田を群れで行進するカルガモの謎(冬の野鳥)

 

2021年3月中旬・午後14:15頃・くもり 

雪で覆われた広大な田園地帯を歩き回るカルガモAnas zonorhyncha)を見つけて気になりました。 
雪質はシャーベット状に溶けかけています。 
カルガモが雪田を水かきの付いた足でときどきズボッと雪の中にもぐりながらもヨチヨチ歩く様子は可愛らしいですね。 
結構な長距離をてくてく歩いて群れが集まってきました。 
こんな光景は見たことがありません。 
動物ドキュメンタリーでは定番になっている南極の皇帝ペンギンの行進を連想しました。 

カルガモの群れが雪原を歩いてどこに向かっているのか、雪原で一体何がしたいのか、初め私にはさっぱり分かりませんでした。 
雪田で何か特殊な餌を採食するのかな? 
しばらく観察していると、どうやらカルガモは雪田そのものに用事がある訳ではなくて、道端の用水路に入って水中採食がしたいだけのようです。 
ところが除雪された車道を歩行者(私や下校児童など)が通りかかると、警戒したカルガモは水路から出て、雪原に上陸・避難してしまうことが分かりました。 
普段なら危険を感じたら飛んで逃げるはずなのに、今回のカルガモは雪田をどこまでも歩いて通行人(ヒト)から逃げて行き、ほとぼりが冷めると再び水路に戻って来るのです。 
一方で、走行車に対してはあまり警戒していないようでした。 
私が車道を歩いてカルガモの群れをしつこく追いかけながら撮影する行為自体が、カルガモにとっては迷惑だったようで、雪原を右往左往していたのです。 
カルガモの群れが雪田に散開すると、どの個体を撮るか目移りしてしまいます。 
水路内での採食行動を撮影するには、カルガモからなるべく離れて、望遠で撮るようにしました。 

それにしても、どうしてこのカルガモたちは飛ばないのでしょうか? 
野鳥ですから、アイガモのように羽根を切られて飛べなくなっているとは思えません。 
おそらく、飛ぶよりも雪原を歩く方がカロリー消費量が少ないのでしょう。 
厳冬期はギリギリのカロリー収支でやりくりしているの鴨しれません。 
(実は、雪原を長距離歩行してきた個体が仲間と合流する直前に少しだけ飛んだのを目撃したのですけど、証拠映像を撮り損ねてしまいました。) 

冬でも田んぼに水を張ったままにしておく冬みず田んぼ(冬期湛水水田)という農法が最近注目されているそうです。 
水鳥にとっても、冬水田んぼが増えると冬季の食糧事情が改善するはずです。 
ただし、この辺りでは見たことがありません。 
豪雪地帯では冬の田んぼに水を張っても結局は大雪で埋もれたり凍結したりしてしまうのですかね?

【追記】
カルガモが雪原からほとんど飛び立たなかった理由として、足場の悪い雪面では飛び立ちにくいのかもしれません。
本来カルガモは水面からでも地上からでも飛び立つこと(急発進、急上昇)が可能です。
しかし脚で力強く蹴りながら羽ばたいて飛び立とうとしても、溶けかけで柔らかい雪面では体重が支え切れず足が雪の中に潜ってしまい、上手くジャンプ出来なさそうです。
例えばカワウは両足跳びで水面を長く助走してから飛び立ちます。
仮にもし一時捕獲したカワウを雪原に立たせると、助走しにくい雪面では飛べないことが予想されます。(表面が固く凍った雪面では可能でしょう。)
この仮説が正しければ、雪面が固く凍っている条件のときにはカルガモは雪原を歩かずに飛んで移動するはずです。

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