2014年4月上旬
山道の残雪にニホンカモシカ(Capricornis crispus)の新鮮な足跡を見つけました。
目で追うと足跡は山道を逸れたので追跡を諦めかけたのですが、視線の先に佇むカモシカを発見!
カモシカはつづら折れの道を外れて斜面を近道(ショートカット)して下っている途中でした。
初めは手前の潅木が邪魔で撮影しにくいのですが、カモシカを驚かせないように私も動きを止めます。
慎重に辛抱強く少しずつ接近します。(@3:33〜)
ようやく見通しの良い場所に辿り着きました。(@4:10〜)
雪道でカモシカが佇み、こちらを見上げています。
夕日に照らされた毛皮が美しいです。
不安そうにキョロキョロ見回すものの、逃げたり歩いたりしません。
「アオジシ(=カモシカ)の寒立ち」と称される立位休息なのでしょうか?
ただし口元を見ても反芻行動はしていません。
「アオの寒立ち」としても知られ、冬季などに数時間、身じろぎもせずじっとしている様子が観察される。理由は定かではないが、山中の斜面を生活圏としていることから、反芻(はんすう)をするときに、寝転ぶ場所がないからともいわれている。(wikipediaより)
近くでカケスが警戒声♪を発するとカモシカは振り返って鳴き声のする方を見やりました。(@5:58〜9:40)
カケスはかなり長いこと騒いでいましたが、私の存在に対して騒いでいたのか別の脅威があったのか、不明です。
目線を切らないでカモシカの撮影に集中していたからです。
このカモシカの耳介には特徴が無いものの、左の角が途中で折れているため左右非対称になっています。
この後しばらく追跡した結果、この個体はとある理由で若い♂だろうと判明します。
同じく左角が欠けたニホンカモシカ♂を同じ山系で目撃しています。(@2013年7月下旬)
しかし写真を見比べると別個体でした。
▼関連記事▼山の広場を一周するニホンカモシカ♂(左角欠け)
私がカモシカを見下ろす状態になっているのに、なぜかさほど警戒を示さないのが非常に不思議でした。
鼻息を荒らげて威嚇することもありませんでした。
これはカモシカの定説に反します。
一般にカモシカは、自分よりも下の位置を通る物体には警戒心がないと考えられる。逆に、人間が尾根などの高い位置から接近すると、とたんに「フシェー」と鼻息荒い声を発して威嚇し、沢の方へと一目散に逃走する。(『野生のカモシカ:その謎の生活を追う』p31より)理由を幾つか考えてみます。
カモシカは、自分より高い位置にいる自分以外の異種の個体、つまりヒトには神経質だ。(『カモシカの森から:白神・津軽 北の自然誌』p144より)
- カモシカから見ると私の姿は太陽を背にして逆光のシルエットになっている?
- 実は顔見知りの個体で警戒しなくなった?
- 視力や聴力が衰えている個体?
- 厳しい冬を過ごした後で、逃げる体力がないほど衰弱している?(毛並みや皮下脂肪の付き具合を見る限り、素人目には健康そうです。)
この後、動画から写真撮影に切り替えたのですけど、カモシカはシャッター音も気にしませんでした。
ヒト付けできた(時間をかけて私の存在に馴れてもらった)ので、この個体を更に追跡してみます。
▼つづく▼
山を下るニホンカモシカ♂(左角欠け)を追跡
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