2021年4月下旬・午後14:55頃・晴れ
リンゴ園では花の授粉を媒介してくれるマメコバチ(Osmia cornifrons)のために専用の巣箱を設置しています。
ヨシの茎を斜めに刈って束ねたものをリンゴの木の下に大量に積んでおくだけで、借坑性のマメコバチ♀が茎の中に潜り込んでそれぞれ巣を作るのです。
借坑性の狩蜂などを調べるのに仕掛ける竹筒トラップと同じ原理で(参考サイト:日本竹筒ハチ図鑑)、マメコバチのような小型の蜂には直径の細い茎の植物を用意する必要があるのです。
私は以前からマメコバチの営巣習性に興味があったのですが、ようやく絶好の観察ポイントを見つけました。
公道のすぐ横にある小規模なリンゴ園で、敷地に立ち入らなくても通りすがりにマメコバチの巣箱を撮影可能です。
このリンゴ園では小さな三角屋根で巣箱を覆っていました。
腹部下面のスコパに黄色い花粉を満載したマメコバチ♀が飛来し、帰巣しました。
必ずしも切り口がきれいなヨシの茎を選んで営巣している訳ではないようです。
ヨシの茎が大量に並んでいるのに、帰巣時に迷子になることはありませんでした。
既に自分の巣の位置はしっかり正確に記憶しているようです。
次の採餌のために出巣した直後も、巣の位置を改めて記憶するための定位飛行をしませんでした。
マメコバチ♀の出入りを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみましょう。(@0:49〜)
先ほど帰巣した♀がしばらくすると、後退しながら巣口に出て来ました。
細いヨシの茎内でマメコバチ♀は方向転換できないことが分かりました。
集めてきた花粉や花蜜を育房内に貯食する作業に時間がかかったようです。
定位飛行なしで次の採餌に飛び去りました。
しばらくすると、別個体の♀がスコパに花粉を満載して別のヨシ筒に帰巣しました。
この日は晴天でリンゴの白い花が満開に咲いているのに(花の盛りが過ぎて少し萎れかけ)、巣箱の周囲で飛び回るマメコバチの数が素人目に少ない気がしました。
リンゴの果樹1本に対しては、これぐらい少数のマメコバチ♀でも充分なのかな?
最近は異常気象で暖冬の年があったり大雪の年があったりと不安定です。
春になってもリンゴの開花とマメコバチの羽化のタイミングがなかなか同期しなくなっているのではないかと心配です。
果樹園で同じヨシ筒の束や巣箱を何年も続けて使っているとマメコバチに寄生する虫(ダニなど)が増えるらしいので、その影響でマメコバチが減っている可能性も考えられます。
ヨシの束の間をゆっくりと徘徊している数匹の微小なアリ(種名不詳)も気になります。
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