2021年1月上旬・午後13:50頃・晴れ
深い雪に埋もれた畑の一角に3羽のハシボソガラス(Corvus corone)が集まって何かを採食していました。
農家のヒトが冬の間も生ゴミを捨てて堆肥にしている場所らしく、カラスは雪の下から掘り出して生ゴミを漁っているのでしょう。
撮影中は白銀の雪が眩し過ぎてカラスの採食メニューがよく見えず、クルミやジャガイモを掘り出して食べているのかと初めは思いました。
順光のアングルに回り込んでようやく、殻付きのラッカセイ(落花生)を食べているのだと判明しました。
雪が積もる前にこの畑で落花生を栽培していた訳ではありません。
(私はこの地方で落花生の畑というものを見たことがありません。)
ヒトが割ってピーナッツを食べた後の殻ではなく、未だ中身の種子が入っている殻付き落花生がなぜか大量に捨てられていました。
充分に乾燥させた殻付き落花生は腐りにくく保存性に優れているので、惜しげもなく生ごみに捨てる意味が分かりません。 (※追記参照)
もしかすると、誰か近所の愛鳥家が厳冬期の野鳥に殻付き落花生を給餌しているのかもしれません。
冬の庭にバードフィーダーを用意してピーナッツを給餌する例は珍しくありません。
別に気取ったバードフィーダーを設置しなくても、殻付き落花生を適当にばら撒いておけば野鳥は喜んでやって来るのです。
ハシボソガラスは雪の中に凍り付いた殻付き落花生を嘴で掘り出すと、足で押さえた殻を嘴でつついて砕きました。
さすがに薄皮は剥かないようですが、栄養価の高い種子(ピーナッツ)を美味しそうに食べています。
その場では食べきれない落花生を喉袋に溜め込んでいて、喉袋はパンパンに膨らんでいます。
この3羽はおそらく家族群なのでしょう。
写真を見直すと、嘴の中が赤い若鳥が少なくとも1羽混じっていました。
群れ内に序列があるようですが順番に採食していて、餌を巡る喧嘩はしませんでした。
仲間が近寄ってくると横取りされないように、殻付きのまま落花生を咥えて飛び去り、少し離れた屋根の上など落ち着いた場所でゆっくり殻を割って中身を食べるつもりのようです。
落花生の殻ごと呑み込んで後から未消化のペリットを吐き出す、という可能性も考えられますが、ペリットを吐く現場は見ていません。
あるいは、食べ切れない落花生をどこかにこっそり貯食するのかもしれません。
雪面に散乱した落花生を嘴でかき分けている際に、1羽のハシボソガラスが雪の中から白いビニール紐を嘴で引っ張り出しました。(@7:00)
消化できないビニール紐を誤食するほどカラスは馬鹿ではありません。
単なる好奇心の現れでしょう。
春が来て繁殖期になれば、産座の巣材として人工物のビニール紐を積極的に集めることもあるはずです。
ハシボソガラスがピーナッツを食べまくっている間、餌場(生ゴミ捨て場)の端で2羽のスズメ(Passer montanus)が順番待ちしていました。
スズメはカラスが怖いようで餌場には近づけず、おずおずとピーナッツの欠片を狙っています。
スズメが落花生を食べるシーンも撮影したかったのですが、いくら待ってもカラスが居座って独り占めしているので、私も諦めてしまいました。
スズメの嘴の形状で落花生の殻を割れるのかどうか、興味があります。
※【追記】
殻付き落花生の乾燥が不十分だったり湿気で濡れたりするとカビが生え、そのカビが作るアフラトキシンは発ガン性が高い猛毒なので、食べると非常に危険なのだそうです。
今回も誰かが野鳥に善意で給餌していたのではなく、カビが生えてしまった殻付き落花生を生ゴミとして大量廃棄したのかもしれません。
だとすると、それを食べたカラスやスズメの健康状態が心配です。
嘴の中が赤い若鳥 |
嘴の中が赤い若鳥 |
【参考動画】
撮影:wasa639さん。
ハシボソガラスが落花生畑で土の中から掘り出して食害しています。
撮影:ペット記録チャンネルさん。
ハシボソガラスの飼育個体は落花生の殻を割って中身を取り出しただけでなく、驚くべきことに薄皮も器用に剥いて食べていました。
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