2011/02/11

ヒメスズメバチ vs キアシナガバチ



2009年9月上旬

定点観察中のキアシナガバチPolistes rothneyi)の巣の下に最近、蛹の死骸が落ちているのが気になっていました。
病気になったり寄生されたりした蛹を成虫が始末したのかと思っていたら、恐るべき真相が遂に明らかになりました。
アシナガバチを専門に狩るヒメスズメバチVespa ducalis pulchra)に襲撃されていたのです。
育房から蛹を引きずり出すとその場で咀嚼し肉汁を摂取します。
巣に帰るとこれを吐き戻して自分達の幼虫の餌にするのだそうです。
在巣のキアシナガバチ成虫は全くの無抵抗で、ヒメスズメバチが来襲する度に一斉に逃げ出しました。
巣のすぐ近くで観察していてもヒメスズメバチや興奮して飛び回るキアシナガバチに刺されることはありませんでした。
満腹したヒメスズメバチは飛び去る前によく脱糞しました。
自分の巣に飛んで帰る前に少しでも身を軽くするのだろう。
食べ残しの蛹を惜し気もなく下に捨ててしまうこともあります。

つづく→シリーズ#25


【参考文献】
渡邉正子, and 小野正人. "J305 被食者アシナガバチは何をもってその専食者ヒメスズメチを識別しているのか?." 日本応用動物昆虫学会大会講演要旨 51 (2007): 174.(PDFへのリンク

アシナガバチは、視覚や聴覚よりも嗅覚を用いて専食者を識別していると示唆された。また、専食者の体臭成分の1つに対して、被食者の忌避反応が認められた。(要旨より引用)

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