2011/02/10

キアシナガバチの優位行動



2009年7月下旬

前回のエピソード16と同じ日に撮影。
キアシナガバチPolistes rothneyi)のコロニー全体がようやく落ち着きを取り戻しました。
と思いきや、再びQ(水色)が神経質に各娘に優位行動を繰り返します。
巣材を集めに出たW2(黄色)は帰巣すると左端で一心不乱に育房を作っています。
W1(桃色)はひたすら育房の点検を続けています(幼虫との栄養交換かもしれない)。
この日は成虫間の関係が何か緊張状態にあることが見て取れました。 
現女王Q(水色)はワーカーが羽化する前に創設女王Q(銀色)からこの巣を乗っ取りました。
少なくともW1(桃色)、W2(黄色)は創設女王Q(銀色)の娘なのでQ(水色)とは血縁関係が無いと考えられます。
ワーカーに血縁認識能力があるとすれば継母のために働くのは割に合わないので、反乱を企てようとしているのかもしれません。
継母Q(水色)を追い出して自ら産卵するようになれば適応度が上がるからです。
ワーカー間では羽化順に上位となるらしいので、後から羽化するQ(水色)の娘W(無印)は問題にならないのでしょう。
個体識別することで複雑な社会関係が見えてきます。

つづく→シリーズ#18

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