2010/12/14

ナミツチスガリ♀の営巣観察




(つづき) 
前編はこちら→「ナミツチスガリ♀を生け捕り
隣の巣穴aでも同種ナミツチスガリCerceris hortivaga)と思われる蜂の活動が見られました。
初めは同一個体なのか分かりませんでした。
3つの巣穴が中で繋がっている可能性も考えられたからです。
蜂の素早い出入りを毎回少し邪魔してやることで観察する時間を稼ぐことにしました。
透明容器を入口に被せておくと、帰巣間隔が不明でも外出から帰った蜂を見落とすことはありません。
出巣の際もしばらく容器内で飛び回る様子を観察できました。
蜂はこの透明な障害物に毎回少し戸惑っているようでしたが、営巣活動を続けてくれました。


この巣穴aに営巣する個体♀aをよく見ると右触角が欠損しています。
初めて出巣を観察したときからこの状態なので、ペットボトル容器に繰り返しぶつかったことによる傷害ではありません。
隣の巣穴bから先程一時捕獲した個体♀bの触角は正常だったので、別個体であることが判明しました。
個体識別のマーキングを施す手間が省けました。


帰巣すると後方に土を掻き出しながら穴に入り、入り口が塞がって姿が見えなくなりました。
頭から穴に入った後に頭から出て来るので、巣の中は方向転換できる広さがあることが分かりました。
出巣の直後にホバリングしながら定位飛行を披露することがありました。
帰巣の際に巣穴を埋め戻すとき(仮閉塞?)と何もしないときがあり、規則性や理由が分かりませんでした※。
最後に帰巣した後は頭から入口に出てきてUターンすると中に戻り、脚で土を後方に掻き出して入口を閉鎖しました。
この日はこれで活動を終了したようです。
その後1時間ほど巣穴aを監視しても蜂は出て来なかったので、観察を打ち切りました(気温26℃)。


巣穴aの監視に集中してからは、他の巣穴に出入りする蜂の様子は不明です。 
図鑑によると、本種は地中に営巣し主にコハナバチ類を狩るそうです。
地中に営巣する蜂の行動を観察するのは初めてで、今回は獲物の搬入を確認するには至りませんでした。
小さいし動きも素早いので見届けるのは難しそうです。


 ※ 獲物の有無に関係あるのだろうか。寄生者らしきハエが辺りを飛んでいました。これを警戒するなら外出の際に入口を仮閉鎖すべきだと思うのですが、この点は不用心です。


【追記】
このとき私が咄嗟の工夫で行った方法(ペットボトル作戦)は偶然ながら、ハチの専門家もフィールドワークで実践していることが分かりました。
『ハチの家族と社会:カースト社会の母と娘』 坂上昭一著・中公新書 p34より
ツチスガリと同じく地中に営巣するホクダイコハナバチの出入りを連続観察するためにガラス管を一時的に巣穴に被せています。個体標識の手順なども参考になります。プロは毎回ハチに刺されるのも厭わず麻酔なしに手早くマーキングしています。

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