2018/04/03

ミドリシジミ♀AB型の日光浴



2017年9月中旬

柳やハンノキなどが生えた湿地帯の遊歩道を歩いていると、アメリカセンダングサ?の葉の上で見慣れないチョウを見つけました。
翅をゆっくり開閉しながら日光浴していました。
一瞬コムラサキかと思いきや、尾状突起があるのでシジミチョウの仲間でしょう。
翅の縁がやや破損していますが、翅表に美しい青とオレンジ色の斑紋があります。

帰宅して図鑑で調べてみると、ミドリシジミ♀AB型(Neozephyrus japonicus japonicus)と判明。
ヒサマツミドリシジミは本州西南部にしか分布しないので除外しました。

(ミドリシジミの)雌の翅には遺伝的多型があることが知られ、表面全体がこげ茶色で斑がない[1]O型、橙色の小さな斑点がある[1]A型、紫色の帯(青色の斑[1])のあるB型、それらの両方がある[1]AB型である[注釈 1:]。^ ミドリシジミの雌の表翅の斑紋による識別のO、A、B、AB型は、人間の血液のABO式血液型とは遺伝形態が異なる。(wikipediaより引用)
この個体はAB型の♀になります。
素早く飛んで逃げるシーンをスロー再生にすると、翅裏の斑紋もなんとか確認することができました。

こんな時期に(しかも平地で)、まさかゼフィルスの仲間と出会えるとは意外でした!
栗田貞多男『ゼフィルスの森』という専門書(生態写真集としても見事)を紐解いてミドリシジミの出現期を調べると、

低地では6月中、下旬が盛期だが、山地や寒冷地では7月中旬〜8月上旬に入ってから見られる。(p141より引用)
それにしても9月中旬というのは、時期的に遅い目撃例になりそうです。
近くの河畔林にはミドリシジミ幼虫の食樹であるハンノキが生えているので、ここが生息地なのだと納得しました。



【追記】
浅間茂『カラー版 虫や鳥が見ている世界―紫外線写真が明かす生存戦略 』という中公新書にミドリシジミについての記述もありました。
ミドリシジミの翅も構造色である。(中略)日中は下の草原や低木に休んでいるか、翅を閉じている場合が多い。ときには日光浴のためか、翅を広げている場合がある。♂の表の青緑色の部分と、♀の前翅表の青色の斑紋の部分は、いずれも強く紫外線を反射する。 (p31-32より引用)



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