2019/06/03

初冬に塒の街路樹を変更したハクセキレイの群れ(後編)常緑樹シラカシに塒入り【冬の野鳥】



2018年11月下旬・午後16:35〜16:52(日の入り時刻は午後16:21)


▼前回の記事
初冬に塒の街路樹を変更したハクセキレイの群れ(前編)就塒前集合【冬の野鳥】

この日は、きれいな夕焼け空になりませんでした。
大通り沿いの屋上や電線に就塒前集合していたハクセキレイMotacilla alba lugens)の群れがほぼ一斉に移動を始めました。
これまではお気に入りのねぐらだったイチョウ並木を、落葉後は使わなくなりました。
丸裸になったイチョウ並木を飛び越えて、その隣に植栽されていた常緑樹の茂みに、チチチ♪と鳴きながら次々に飛び込んで行きます。
これはシラカシというドングリが実る常緑樹です。
自然分布は福島県以西らしいのですが、最近では隣の雪国(山形県)にも洒落た街路樹として植栽されているようです。

冒頭は完全に逆光のアングルになってしまい、ハクセキレイのシルエットしか写っていません。(性別を見分けられない)
一旦塒入りしてもしばらくは落ち着かず、再び飛び出す個体も結構います。
塒内の場所取り争いで小競り合いや追いかけっこに発展することもあります。
誰か通行人が脅かした訳ではないのに、なぜか鋭い警戒声とともに多くの個体が一斉に四方へ飛び去ってしまいました。(私を警戒したのかもしれません)
しばらくすると再び戻って来てくれて、塒入りをやり直します。
シラカシの上部の枝から順に埋まっていく印象です。

順光のアングルに私がこっそり回り込むと、残照で画面が大分明るくなりました。(@5:07〜)
塒入りしたハクセキレイの群れには♀♂両方いることを確認できました。
近くで別のシラカシ街路樹に塒入りしているスズメの鳴き声もチュンチュン♪と聞こえています。
辺りが一気に暗くなると集団塒のハクセキレイはすっかり寝静まり、枝葉の茂みに隠れた姿は一羽も見つけられなくなりました。
撮影の合間に気温を測ると、午後16:48で7.0℃、湿度51%でした。

イチョウと異なり冬になっても落葉しない常緑樹のシラカシなら、冬の風雪を凌げそうです。
逆にどうしてハクセキレイは一年中、同じ常緑樹シラカシに塒入りしないのか? どうして夏は落葉樹イチョウを選んで塒入りするのか? 不思議です。
てっきりハクセキレイはこのまま冬になっても常緑樹シラカシを集団塒として毎晩過ごすのかと思っていました。
しかし、本格的に雪が降り始めた後も定点観察に通ってみると、意外にもハクセキレイの群れはいつの間にか居なくなっていました。
生き物の謎解きは一筋縄ではいきません。
夕刻の就塒前集合に来る個体数も激減し、厳冬期にハクセキレイがどこで塒入りしているのか、突き止められませんでした。
ここは繁華街で交通量や人通りも多く、他の天敵が来ないので、街路樹に塒入りした鳥は安心して夜を過ごせます。
ヒートアイランド現象で気温が周囲よりも少し高い可能性があります。
それでも厳冬期の塒としては厳し過ぎるのでしょう。

私のフィールド(多雪地帯)でハクセキレイが冬に集まる塒を見つけたことが未だ一度もありません。
私が知っている数カ所の集団塒はどれも、冬が近づいて街路樹が落葉するとハクセキレイがいつの間にか来なくなってしまうのです。(例:ケヤキ並木)
図鑑では留鳥として扱われているハクセキレイも、実は群れの大半が暖かい地方に渡って越冬しているのではないか?と疑ってしまいます。

塒の問題よりも、積雪期は餌が充分に取れなくなるのだろうと私は推測しています。
ハクセキレイの体にGPSや発信機を取り付けて追跡してみないことには、解明できそうにありません。


つづく→春になると…


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