2008年12月中旬
飼育?記録の続編です。
ヒメベッコウの一種♀に狩られた日から数えて83日後。
獲物のマミジロハエトリ♀(Evarcha albaria)は毒針で麻痺させられ完全絶食状態なのに依然として生きています。
腹部はぺしゃんこになったものの、刺激するときちんと反応します。
むしろ反応性が亢進している気がします。
破壊された中枢神経がある程度再生しているのだろうか。
腹部に産み付けられたヒメベッコウの卵はやはり干からびてしまったのだろう。
クモの中で育っているようには思えません。
一方、繭を切開して摘出した前蛹は変化なし。
普段は暗所に置いていますが、明るいところで観察すると光を嫌うようにときどき蠕動します。
いつになったら蛹化するのだろう※。
繭無しで正常発生するのか心配です。
※(スズメバチやアシナガバチを除いた)カリバチの多くは巣内の繭の中で前蛹の姿で越冬する。
『カリバチ観察事典』 偕成社 p37
《追記》
その後、日常の忙しさにかまけて様子をチェックするのを忘れてしまいました。
残念ながら気づいた時には乾燥して干乾びてしまいました。
泥巣の替わりにきちんと保湿するのは難しいようです。
『本能の進化:蜂の比較習性学的研究』岩田久二雄・眞野書店 p414より
ほとんどの場合永久麻痺の獲物は、志向的な全身運動はしないが、触角・肢・口器などを部分的に動かすことはでき、呼吸や排泄は行ない、特例をのぞいて変態も部分的に行う。(中略)昆虫の体液を与えるとAnopliusやBatozonellusのクモは2週間から2月も生存する。(中略)時日の経過によって麻痺は徐々に回復することが多いが、孵化した蜂の幼虫の吸血によってそれは減殺される。(中略)狩蜂の貯蔵する獲物が黴びたり腐朽したりしないのがふつうであるが、それを巣房から取出して保存すると直ぐに変質してしまうのが常で、自然の独房が如何に適当な状態に保たれているかに驚く。
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