2019年10月下旬・午後16:11〜16:36(日の入り時刻は午後16:41)
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キボシカミキリ♀♂の交尾行動(交尾器のクローズアップ)
キボシカミキリ(Psacothea hilaris hilaris)の配偶者防衛(交尾後ガード)が寄主植物ヤマグワの幹のあちこちで繰り広げられていました。
この記事では、♂同士が争って配偶者防衛に成功しライバル♂を撃退できた3例をまとめて紹介します。(配偶者防衛の失敗例は次回)
シーン1:(@0:00〜1:09)
産卵加工している♀に背後から♂aがマウントし、交尾後ガードしています。独身のあぶれ♂bが幹の上から歩いて降りて来ました。
♂は触角が真っ直ぐで長いので♀と区別可能です。
交尾中のペアに気づくと♀に接近し、♀♂aペアの隙間に強引に割り込もうとします。
♂aが♀の背に覆い被さってガードしながらライバル♂に応戦しました。
相手に大顎で噛み付いているような気もしますが、動きが激しすぎてよく分かりません。
決着が着くと、あぶれ♂bはあっさりと逃げ出しました。
勝った♂aは元のマウント姿勢(配偶者ガード)に戻りました。
喧嘩中はあぶれ♂bの方を向いていたのに、勝利の後は体軸を♀と平行に戻しました。
カメラを上下にティルトすると、更に多くの交尾ペアおよび単独個体が根際も含めて桑の幹のあちこちに集まっていました。
にも多い。
シーン2:(@1:09〜1:53)
産卵加工および交尾後ガード中の♀♂cペアを側面から撮っていると、独身のあぶれ♂dが幹の上から降りて来ました。交尾中のペアに気づいて近づくと、お邪魔虫♂dは割り込もうとしました。
交尾後ガード中の♂cと独身♂dの間で激しい喧嘩が始まりました。
体格は目視でも♂c>♂dでした。
♂同士は互いに正面から向かい合うと、長い触角の根元付近で押し合いしています。
喧嘩中に相手を噛み付いてはいませんでした。
触角の長さあるいは体長を比べているのか、それとも単純に体重で勝負が決まるのでしょうか?
小柄な独身♂dが負けて、すごすごと立ち去りました。
逃げた先に別の交尾ペア♀♂が居たのですが、負けたばかりで自信喪失したあぶれ♂dは連戦を挑まずに、幹をどんどん下ってしまいました。
シーン3:(@1:53〜2:50)
マクロレンズで接写し始めたときには♂同士の闘争が既に始まっていました。交尾後ガード中の♂eに対してあぶれた独身♂fが正面から戦いを挑んでいます。
触角の根元を押し合いながら上体を起こしてがっぷり四つになったときに、相手の身長や押す力を品定めしているのかな?
この試合でも大顎で相手に噛みつく攻撃はしませんでした。
あぶれ♂fが敗走しました。
♂同士が激しい格闘をしている間も、♀は平然と桑の樹皮を齧って産卵加工を続けています。
配偶者防衛に成功した♂は引き続きマウント体勢のまま交尾後ガードを続け、ときどき♀の背を口髭で舐めています(リッキング)。
深谷緑『キボシカミキリの配偶行動と生態情報利用、体サイズ』によると、
一般的に♀をめぐる♂同士の闘争においては体サイズが大きい方が有利なことが多いとされている。 (『カミキリムシの生態』第5章p172より引用)
つづく→キボシカミキリ♂同士の喧嘩(♀の強奪・交尾)
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