2021年7月中旬・午後16:25頃・晴れ
民家の生垣に咲いたアベリア(別名ハナツクバネウツギ、ハナゾノツクバネウツギ)でハキリバチ科の一種の雄蜂♂が訪花していました。
見るからにハキリバチ科の仲間です。
腹部下面にスコパが無いので雄蜂♂だろうと判断しました。
顔色を正面から見せてくれなかったのですが、横から見ると頭楯に白っぽい毛が密生しているようです。
この蜂で一番興味深く、驚いたのは、前脚が異常に毛深いことです。(白い毛が密生)
例えばミツバチ科の♀は後脚に花粉籠があります。
一方、ハキリバチ科の♀は腹部下面に密生するスコパ(刷毛)に花粉を集めます。
前脚に花粉籠があるハナバチという存在を私は聞いたことがありません。
実際にこの蜂が集めた花粉を前脚の毛束にまとめて運んでいたら大発見だったかもしれませんが、雄しべに体が触れない盗蜜行動を繰り返していますから、謎の花粉籠?は空荷です。
雄蜂♂なのだとしたら、花粉を採餌(集粉)しませんから、そもそも花粉籠は必要ありません。
前脚の毛束から♀を誘引する性フェロモンを分泌するのかな? (※追記参照)
一部の蛾の♂は腹端に「ヘアペンシル」というフェロモン放出器官を持ちますが、それを連想しました。
私はハキリバチの仲間を見分けるのが苦手です。
重い腰を上げて『日本産ハナバチ図鑑』を紐解いてみると、ヤマトハキリバチやムナカタハキリバチなどの雄蜂♂にそれらしき特徴があることを初めて知りました。
(ヤマトハキリバチの)♂の前脚は変形していて腿節外面は薄くヒレ状に張り出し下面は白色、脛節の先端から淡色で、第1〜3跗節は扁平で外面に跗節の幅と同じくらいの長さの毛の列がある。(p321より引用)この奇妙な構造の解剖学的な正式名称(英語名)や機能については何も書いてありませんでした。
残念ながら今回の個体はすぐに生垣の奥に飛び去ってしまい、採集のチャンスを逃しました。
この蜂の名前を映像から見分けられる達人がいらっしゃいましたら教えて下さい。
そもそもハキリバチ科の仲間という私の予想が間違っているかもしれません。
ちなみに今回観察したアベリアの群落で正当訪花する送粉者はトラマルハナバチ♀だけで(映像公開予定?)、残りは盗蜜者ばかりでした。(セイヨウミツバチ♀、クロマルハナバチ♀、ハキリバチsp.♂)
関連記事(4年前の撮影:正当訪花)▶ アベリアの花で採餌するトラマルハナバチ♀
※【追記】
ハキリバチ科とは違いますが、北米産トモンハナバチの仲間による配偶行動を捉えた見事なスーパースロー映像がPBS Natureチャンネルで公開されました。
その雄蜂♂は♀にマウントして交尾を挑む前に前脚の毛束で♀の触角を交互に叩いていました。
おそらくそれが求愛行動になるのでしょう。
雄蜂♂だけが前脚に持つ毛束(性的二型)の役割についてヒントが得られました。
0 件のコメント:
コメントを投稿