2021年7月中旬・午後15:20頃・晴れ
里山の山道にホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)が残した新鮮な溜め糞を見つけました。
周囲はスギ林で、ちょうど溜め糞のある位置が日だまりになっていました。
ハエ類に混じって1頭のキバネセセリ♂(Bibasis aqulina chrysaeglia)も来ていました。
「うんちレストラン」の常連客です。
(キバネセセリの)♂は吸水性が強く、路上や川原、崖などの湿った場所で集団で吸水するほか、樹液や獣糞などにも集まる。( 『フィールドガイド日本のチョウ』p275より引用)翅を閉じたまま茶褐色の口吻をチロチロと小刻みに動かして、獣糞の表面をひたすら舐めています。
性成熟に必要なナトリウムイオンやアンモニウムイオンなどのミネラル成分を摂取しているのだそうです。
関連記事(13年前の撮影@ツキノワグマ?の糞)▶ 獣糞に集まるキバネセセリ獣糞がときどき動くのは、溜め糞の下に潜り込んだ糞虫の活動によるものです。
(糞をほじくって確認すべきでしたね。)
足元が地殻変動しても、吸汁に夢中のキバネセセリ♂は逃げようとしません。
獣糞を吸汁しているキバネセセリ♂の腹端の動きに注目して下さい。
ときどき腹部を前方に曲げて腹端から透明な液体をポタリと排泄しています。
自分のオシッコで獣糞の表面を溶かすと、口吻を伸ばしてその溶液を吸汁するのです。
この行動はセセリチョウ科に特有の「吸い戻し」です。
蝶の成虫の口器(口吻)は固形物のミネラルをそのまま摂取できませんから、液体に溶かす必要があるのです。
たまに飛び立っても、キバネセセリ♂はすぐに溜め糞に舞い戻って来ます。
あちこち徘徊しながら獣糞を長々と舐め続けています。
溜め糞の場所によって、お目当てのミネラル成分に濃淡があるのでしょう。
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