2023年5月中旬
シーン1:5/15・午後21:01〜21:05・(@0:00〜)
奥の巣穴Rでヘルパー♂と思われるニホンアナグマ(Meles anakuma)が再び穴掘りを始めました。
後退しながら土を掘り出すと、巣口Rからアクセストレンチが形成されます。
これから4頭の幼獣が大きく育ちますから、子供部屋を増築しているのでしょうか?
それとも自分の部屋を育児部屋として♀に乗っ取られたので、仕方なく自分の部屋を新たに掘っているのかもしれません。
トレイルカメラの電池が消耗しているために、細切れの録画になっています。
別アングルのトレイルカメラ(新機種)で撮れていなかったのが残念です。
シーン2:5/20・午前4:44〜4:46・(@0:50〜)日の出時刻は04:22。
5日後もヘルパー♂が早朝から穴掘りを始めました。
奥の巣口Rに顔を突っ込むと、前脚で土を後ろに掻き出しています。
アナグマの♀は授乳などの子育てに忙しいので、穴掘りの重労働はヘルパー(1年仔の息子♂)に任せているようです。
つまり分業が存在するようです。
それにしても、なぜ一夫一妻(交尾した♂と同居)ではなくヘルパー制なのか、不思議です。
アナグマの社会システムが更に進化すると、ハダカデバネズミのように真社会性やカースト制度が進化してくるのでしょうか?(この辺は勉強不足なので、曖昧かつ適当な推測です。)
アクセストレンチという用語について解説しておきます。
巣穴の掘削方法は、穴の中から前足で土を押し出し、押し出したあとにはアクセストレンチと呼ばれる溝ができる。 (wikipedia:ニホンアナグマより引用)しかし、この記述は私の観察結果と明らかに異なります。
私の見ているアナグマ(ヘルパー♂)は、穴の中から頭を先頭にして出巣しながら土を前足で押し出したりしません。
後退しながら前足で土を後ろに掻き出すというのがポイントです。
一方、「飯能の自然メモ」というブログサイトで穴熊ノ溝という記事を読むと、
フィールドで地中にできた巣穴を観察した際に、アナグマが掘ったものかどうかを判断する指標のひとつに、「アクセストレンチ」と呼ばれる溝がある。これは、アナグマが掘った土を外に出すときに残る跡で、どのようにつくかは諸説あるが、動物園で観察したアナグマの場合、掘った土を前肢で抱きかかえるようにし、後退りしながら外に引きずり出した際にできた。こちらの記述は私にもしっくりきます。
アナグマは林内の営巣地でこれほど大規模な土木工事を何年も継続することから、様々な種類の生き物に影響を与えることになります。
(アナグマの掘った巣穴を利用する生き物は多い。)
アナグマが巣材集めのために落ち葉掻きをした林床は乾燥が進むことになるでしょう。
つまり、アナグマは日本の山林で独特な生態系エンジニアとしての役割りを果たしていると言えそうです。
後々、これに関連した動画を公開予定です。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
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