2016年6月上旬
山間部の道端に生えたホオノキの幼木を見上げると、全ての葉裏の主脈や葉柄に沿ってクロクサアリ(Lasius fuji)のワーカー♀がびっしりと群がっていました。
ホオノキに花外蜜腺があるという話は聞いたことがありません。
注意深く接写して見るとホオノキの葉裏で吸汁するアブラムシ(種名不詳)のコロニーに随伴しているようです。
アブラムシは薄い黄緑色でした。
クロクサアリはアブラムシが分泌(排泄)する甘露を報酬として護衛しているのでしょう。(共生関係)
後日、アリを採集した際に、クロクサアリに独特の臭気(山椒の匂い)を感じました。
※ 接写パートの一部のみ動画編集時に自動色調補正を施してあります。(@1:30〜2:05)
【追記】
小松貴『昆虫学者はやめられない: 裏山の奇人、徘徊の記』という名著を読むと、教科書的なアリとアブラムシの共関係という認識を改めさせられました。
糖分の多いアブラムシの排泄物はすぐ腐ってカビるので、垂れ流し続けているとこれが自分たちの体にどんどんまとわりつき、やがて伝染病の温床になりかねない。でも、そうなる前にアリがどこかから勝手に嗅ぎつけて来て、それを綺麗に片づけてくれる。そのため、結果としてアブラムシは病気にもならず、また天敵から守って貰えている。(p156より引用)
アリの立場からすれば守ったアブラムシからもらえる報酬の量は、アブラムシを守ってやるのにかかった労力分を十分に補って余りあるべきである。だから、アブラムシがアリに守られた結果、過剰に数を増やしすぎると、アリは保護の手が回らなくなるため、自らの手でアブラムシを殺して食べてしまうようになる。(p156〜157より引用)
そのような殺害シーン(間引き)を私も観察してみたいものです。
0 件のコメント:
コメントを投稿