前回の記事:▶ 八重桜の樹洞内の巣を夜に守り威嚇するモンスズメバチ♀【暗視映像】
前回の定点観察から8日後。
明るい昼間に観察しているとモンスズメバチ(Vespa crabro)の巣の存在を誰かに知られてしまい、運が悪いと駆除依頼の通報をされてしまいます。
「迫害されがちな肩身の狭いスズメバチ好き」は藪蛇にならないように、ひと気のない深夜にこっそり観察するはめになります。
モンスズメバチは場合によって夜行性になるので、その確認のためでもあります。
この日も蜂のコロニーは静まり返っていました。
営巣木の周囲を飛び回る外役ワーカーの姿は無く、巣口で夜警する門衛は1匹も居ませんでした。
全ての蜂が夜は巣内で寝ている(休んでいる)ようです。(このコロニーは非夜行性)
モンスズメバチの巣に驚くほど大きな変化がありました。
幹の低い位置で縦長に開いていた樹洞の開口部全体が外皮状の皮膜で完全に塞がれていたのです。
この点は昨年のコロニーとは異なります。
上下に2つあった出入り口を狭い巣口1つにしてしまえば、コロニーの防衛力は上がります。
スズメバチの造巣は女王バチが設計図を元に命令するのではなく、多数のワーカーがそれぞれ現場の判断で動く結果、自然に出来上がるのが不思議なところです。
今回の樹洞入口を塞ぐ行動も、コロニー内でどのような意思決定がなされ実現したのか、興味深いところです。
モンスズメバチ♀が突貫工事する様子を微速度撮影(タイムラプス)で記録できなかったのは残念でした。
樹洞入口が閉鎖された結果、従来のように樹洞内の巣の様子を暗視映像で録画できなくなってしまい、私としては困りました。
今後はファイバースコープ(スネークカメラ)が必要になりそうです。
樹洞入口を塞いだ皮膜を壊すとモンスズメバチのワーカー♀たちは急いで修復するでしょうか?
好奇心で実験したいのはやまやまですが、万一それ以降モンスズメバチ♀が通行人に対して攻撃的になったら困るので諦めました。
樹洞開口部を閉じた外皮の表面をワラジムシ(Porcellio scaber)が徘徊していました。
パルプ製の外皮を食害するのでしょうか?
地上約2mの位置で昔に切り落とされた枝の切り口が朽ちて広い樹洞の上端と繋がっています。
枝の古い切断面がメインの巣口になっていました。
この巣口周辺を閉じていた外皮状の皮膜が、この日はなぜか大きく破損していました。
誰か(ヒトや野鳥、オオスズメバチなど)が巣を襲い破壊したのでしょうか?
外敵に襲撃されてモンスズメバチが籠城しているのなら、夜も巣口を門衛が厳重に守っていそうなものです。
巣内の温度調節や換気のためにモンスズメバチが自ら外皮を壊して巣口を広げた可能性も考えられます。
巣口のすぐ近くを這い回っていたナメクジ(種名不詳)がひょっとして外皮を食害したのでしょうか?
飼育下のナメクジは紙を食べるらしいので、パルプ状の外皮を食べても不思議ではありません。
巣口周囲に残った外皮の表面をアリやワラジムシが徘徊していました。
明るい昼間なら巣口に陣取るモンスズメバチ♀の門衛が侵入者を追い払うはずなのに、夜は寝静まっていました。
穴の奥を覗いても真っ暗で、樹洞内の巣盤や蜂は全く見えませんでした。
つづく→
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