前回の記事:▶ 八重桜の樹洞の上下に入口があるモンスズメバチの巣:門衛と外役ワーカー♀の空中戦
前日に見つけたモンスズメバチ(Vespa crabro)のコロニーの様子を翌日の夜に見に来ました。
赤外線の暗視カメラによる撮影です。
モンスズメバチは夜行性とよく言われるのですが、営巣木の周囲は静まり返っていました。
夜に巣に出入りする外役ワーカー♀の活動は全く無く、樹洞上下に2つある巣口を守る門衛の姿を1匹も見かけませんでした。
この状況は同一のヤエザクラ(八重桜)樹洞に営巣した前年のモンスズメバチのコロニーでも同じでした。
この辺りの自然環境は、モンスズメバチ♀が夜勤するほど餌(樹液など)が豊富ではないのでしょうか。
逆に、昼間の採餌活動だけでコロニーの食欲を賄えるだけ豊かなのかもしれません。
私はモンスズメバチのコロニーで本当に夜行性だった例を未だ1巣しか観察したことがありません。
そこは自然豊かな山中で、周囲の雑木林には樹液酒場があちこちに開宴してました。
関連記事(7年前の撮影:クヌギ樹洞)▶ モンスズメバチ♀の夜間飛行【暗視映像】持参した脚立に乗って上から見ると、八重桜の樹洞の上端(伐採した枝の切り口)が自然に朽ちて開いた穴をモンスズメバチが外皮状の皮膜を張って塞いでいることがよく分かりました。
歪な円形の穴だけ開いたままになっていて、昼間はこれを巣口として蜂が出入りしていたのです。
スズメバチの巣で巣口が上部にある例は初めてです。
樹洞内の熱気を逃がす排気口としての機能もあるのかもしれません。
大雨が降ったら上の巣口を急いで閉鎖するのかな?
巣口から内部の様子を覗こうとしても、奥は真っ暗で分かりませんでした。
(ファイバースコープ・カメラが必要。)
脚立を降りて幹を回り込み、下部の大きな洞の様子を調べてみましょう。
縦に長い開口部の上から外皮状の皮膜で塞ぎつつあります。
巣口の周囲を塞いでいる外皮状皮膜を部分的に壊したら、モンスズメバチは急いで修復するはずです。
その様子を微速度撮影で記録するのも面白いかもしれません。
次はいよいよ樹洞内の巣盤の様子を観察してみましょう。
赤外線投光器2台を樹洞の底に置いて上を照らしながら、暗視ビデオカメラを樹洞内にそっと差し込みます。
去年の定点観察で慣れているので、防護服がなくても緊張せずに撮影できます。
樹洞内部の上端に円形の巣盤が3段重ねて作られていました。
物陰に頭を突っ込んで寝ている成虫♀個体と覚醒(内役活動)している個体がほぼ半々でした。
巣盤の外の樹洞壁面(画面の死角)で休んでいる個体も居るようです。
一番下の小さな巣盤の巣柄に巻き付くような姿勢で複数の成虫♀が寝ています。
卵の入った育房の天井を成虫が呼吸熱で温めて胚発生を早める抱卵行動と思われます。
スズメバチの初期巣で創設女王が抱卵するのは以前も観察してきましたが、巣が大きくなると複数のワーカー♀が抱卵するのですね。
どれが創設女王か見分けられませんでした。
巣をじっくり観察する暇もなく、1匹のモンスズメバチ♀がブーン♪と低い羽音を立ててカメラに飛び降りてきたので焦りました。
慌てて撮影を中断し、カメラを取り出しました。
幸いカメラを持った手を刺されることもなく、蜂が樹洞の外に飛び出してくることもありませんでした。
モンスズメバチに赤外線は見えてないはずですから、おそらく侵入者の気配を感じて威嚇しただけでしょう。
私が樹洞の外側を先に撮影したので、その物音で在巣のモンスズメバチが警戒してしまったようです。
樹洞内の巣の撮影を先にやるべきでした。
肝を冷やしたので、この日はこれで帰ります。
なんとか無事だったものの、油断大敵です。
ちなみに、樹洞の外の枝の樹皮の隙間にゴキブリが潜んでいて、長い触角が揺れています。(@0:06 〜 0:09)
おそらくヤマトゴキブリ(Periplaneta japonica)だと思われます。
※ 蜂の羽音が聞こえるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
映像も明るくするために正規化した後にモノクロ加工しています。
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