2018/07/21

ヨモギヒメヒゲナガアブラムシを捕食するナミテントウ若齢幼虫



ナミテントウの飼育記録#4


2018年5月中旬


▼前回の記事
ヨモギの葉を徘徊するナミテントウ若齢幼虫


背中の赤紋が点のような一対のみあるのは、ナミテントウHarmonia axyridis)の若齢幼虫の特徴です。
ヨモギの若葉に群がって吸汁していたヨモギヒメヒゲナガアブラムシMacrosiphoniella yomogicola)と思われる集団を見つけると、大型の個体(成虫?)にいきなりガブリと噛み付いて捕食開始。
餌食になったアブラムシは全く抵抗しません。
周りに居る小型のアブラムシも慌てて逃げたりしないので、利他性を発揮して警報フェロモンなどは分泌していないようです。



佐藤信治『テントウムシ観察記 (写真絵本 ぼくの庭にきた虫たち)』によると、

・アリマキを食べるナミテントウ
幼虫はエサを口で直接捕えて食べているのを、成虫はエサを前足で持って食べるのをよく見かけた。 (p9より引用)
・(ナミテントウ)孵化2日後には、1回目の脱皮がみられ、体長は3匹が3.5mm、2匹が3mm、黒地に赤い点が2つ見える。その翌日、早くも2回目の脱皮で、体長5mmになり、赤い点は線に変わった。 (p18より引用)


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#5:アブラムシを捕食中のナミテントウ幼虫を襲うアリ





【追記】
アブラムシの名前について。
ナミテントウ幼虫の生き餌として、ヨモギをホストとする緑色のアブラムシのコロニーを与えました。
手元の図鑑『校庭のクモ・ダニ・アブラムシ』を参考にしてヨモギヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogicola)だろうと判断しました。


私はアブラムシ専門の図鑑や資料を持っていなくて、上記の古い図鑑(2001)しか持っていないのです。ところが、この和名でインターネット検索してもヒットするのは「ヨモギ”ヒメ”ヒゲナガアブラムシ」ばかりで、しかも学名は同じ(Macrosiphoniella yomogicola)でした。
一体これはどういうことなのか分からず、頭が混乱します。
最近になって和名が改名され、ヒメが付いたということなのですかね?
虫の和名でヒメが付くのは、あくまでもスタンダードな種類「(ナミ)○○○」と比べた上で、小型の種類「ヒメ○○○」がいる、というイメージです。
したがって、アブラムシで「ヒメ無し」が消えて「ヒメ有り」だけが残ったのは、事情がわからない素人からすると、ちょっと変な感じです。

九州大学昆虫学教室のデータベース「日本産昆虫学名和名辞書」を検索すると「Macrosiphoniella yomogicola ヨモギヒゲナガアブラムシ」が登録されているので、図鑑『校庭の〜アブラムシ』の単純な誤植ではないと思います。
一方、「ヨモギヒメヒゲナガアブラムシ」という和名はデータベースに登録されていませんでした。

疑問に思った私は、いつもお世話になっている虫Navi掲示板で問い合わせてみました。
するとtsukiさんから以下の回答を頂きました。
私は主に「アブラムシ入門図鑑」を参考にしていますがそれによると、ヨモギヒメヒゲナガアブラムシMacrosiphoniella yomogicolaとなっています。
ただ、近縁種にアオヒメヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogifoliae)がいて、「日本原色アブラムシ図鑑」ではこの種の別名がヨモギヒメヒゲナガアブラムシで、ヨモギヒゲナガアブラムシがMacrosiphoniella yomogicolaとなっています。

「アブラムシ入門図鑑」の誤りであれば正誤表にも載ると思うのですが、正誤表にもなく、「日本原色アブラムシ図鑑」が非常に古い図鑑なので「アブラムシ入門図鑑」に従っています。専門家ではないのでこれ以上のことは判断いたしかねますのでご了承ください。


経緯がややこしいのですが、やはり「ヒメ無し」の和名は古くて廃れたみたいです。
という訳で、この記事でも「ヨモギヒメヒゲナガアブラムシ(Macrosiphoniella yomogicola)」と改めておきます。
九大の「日本産昆虫学名和名辞書」データベースも情報が少し古いことが他の例でも分かっているので、何事も鵜呑みにせずアンテナを広く張って総合的に判断するしかありません。



【追記2】
テントウムシを飼育すると、生き餌のアブラムシを調達するのが大変です。
しかしアブラムシの死骸でも食べてくれるらしいので、次に機会があれば試してみるつもりです。
アブラムシの動きを止めるために、アブラムシをいったん冷凍し、それからテントウムシの幼虫に与えることにしました。 (中公新書『すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く』p98より引用)


ナミテントウ若齢幼虫@ヨモギ葉+ヨモギヒゲナガアブラムシ捕食
ナミテントウ若齢幼虫@ヨモギ葉+ヨモギヒゲナガアブラムシ捕食

ナミテントウ若齢幼虫@ヨモギ葉+ヨモギヒゲナガアブラムシ捕食 


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