2022年10月中旬
里山の雑木林で泥汚れの付いたカラマツの根元にドングリを山盛りに置き、通ってくる野生動物(または野鳥)を自動撮影カメラで監視しています。
給餌2回目はミズナラの堅果43個を餌場に積み上げました。
ドングリを山で採取してから日にちが経っているため、多くの堅果が割れて幼根が伸びかけています。
そんな状態でも野ネズミは気に入ってくれるでしょうか?
シーン0:10/18
トレイルカメラを設置し直した直後、明るい日中に撮った現場の様子です。
赤丸で囲った位置、カラマツの根元の乾いた窪みにドングリを給餌しました。
シーン1:10/18・午後23:56 (@0:06〜)
給餌した当日は真夜中になってようやく、野ネズミ(ノネズミ)が給餌場に現れました。
ドングリを吟味すると、1個選んですぐに左へ持ち去りました。
シーン2:10/19・午前0:17 (@0:12〜)
日付が変わりました。
約20分後に給餌場に戻って来た野ネズミはドングリを口に咥えて左へ運び去りました。
シーン3:10/19・午前2:43 (@0:20〜)
小雨がポツポツと降り始めました。
今回、野ネズミは餌場のドングリを咥えて左へ持ち去ったものの、思い直して右へ行き、カラマツの木の背後を回り込んで右の斜面へ運搬しました。
そのまま録画を続けると、画面の右下から餌場へまっしぐらに戻って来ました。(@0:35〜)
途中で大きく跳躍し、元気いっぱいに張り切っています。
迷いなく選んだドングリを今度は下に運んで行きます。
シーン4:10/19・午前2:47 (@0:49〜)
カメラの起動が少し遅れたようで、餌場を離れ左の斜面を駆け上がる野ネズミの後ろ姿が写っています。
シダ植物シシガシラの群落が生い茂る左斜面の暗闇を白く光る眼が右往左往してから、ある地点で移動しなくなりました。
夜の山林で地面に穴を掘ってドングリを埋め、隠したようです。
貯食作業を終えた野ネズミは、左斜面を駆け下りて給餌場に戻って来ました。
選んだドングリを咥えると、再び左斜面を駆け上がります。
安全な貯食場所を探して左斜面を右往左往している間に、録画が終了しました。
給餌場に宝の山があることを知った野ネズミは、ほぼ休みなく働き続けていることが分かります。
ドングリを選ぶ際に、ドングリから伸び始めた幼根を餌場で切り落として食べてから運ぶのかな?と予想していたのですが、野ネズミは幼根を全く気にしていませんでした。
運搬に支障を来すほど幼根が長く伸びていれば、取り除くかもしれません。
シーン5:10/19・午前2:49 (@1:45〜)
監視カメラが再び起動すると、またもや野ネズミは餌場を離れて左斜面を駆け上がるところでした。
今度はカラマツの木の背後を回り込んで右斜面へトラバースして行きます。
野ネズミはドングリを貯食する場所を毎回変えていることが分かります。
隠したドングリをライバルに見つかって盗まれないようにリスクヘッジしているのでしょう。
ドングリを1箇所に集めるよりも広範囲に分散して埋めてくれる方が、ミズナラの種子散布にとって好都合です。
互いにメリットがある見事な相利作用関係ですね。
シーン6:10/19・午前3:03 (@1:58〜)
野ネズミはどこかで少し休憩してきたようで、撮影間隔が開きました。
将来のために貯食するだけでなく、安全な隠れ家で夜食のドングリを平らげてきたのかもしれません。
秋雨が強く降るようになっても、餌場通いを再開しました。
前回と同ルートでドングリを右上に運び去りました。
シーン7:10/19・午前3:07 (@2:11〜)
なぜか画面の左下から餌場に駆け戻って来ました。
同一個体の野ネズミだとしたら、斜面をぐるっと大回りしてきたことになります。
ミズナラ堅果を咥えたまま左斜面を駆け上がり、カラマツの背後を回り込んで右上に運んで行きました。
シーン8:10/19・午前3:16 (@2:34〜)
今回は珍しく給餌場でドングリの吟味に手間取っています。
ドングリから伸びた幼根をその場で食べているのかな?
それとも、貯食には向かない(虫食い)ドングリばかりが餌場に残っているのかもしれません。
ようやく選んだドングリを前回と同ルートで運び去りました。
シーン9:10/19・午前3:58 (@2:55〜)
40分以上も間隔が開きました。
休息後に給餌場へ戻った野ネズミは、運び出すドングリをなぜか見つけられないでいます。
結局、空荷で右下へ走り去りました。
赤外線の暗視映像では餌場から少しだけ左にずれた位置に転がっているドングリが見えるのに、野ネズミはそれを発見できません。
夜行性なのに野ネズミは夜目が効かないというか、そもそも視覚に頼って餌を探していないようです。
鋭い嗅覚で餌を探り当て、髭の触角で正確な位置を突き止めるのでしょう。
シーン10:10/19・午前5:02 (@3:05〜)
前回から1時間も間隔が開きました。
餌場に来た野ネズミは、すぐに画面下にチョロチョロと走り去ってしまいました。
あまりにも動きが敏捷で、ドングリを搬出したかどうかスロー再生しても不明です。
餌場にはもう貯食に適したドングリが残っていないのかもしれません。
10/19未明の活動としては、これが最後でした。
ちなみに、この日の日の出時刻は午前5:48。
夜が明ける前に給餌場にドングリが残ってないかどうか、念のため最終確認に来たようです。
別個体の野ネズミが探餌徘徊中に給餌場をたまたま探し当てた可能性もありますが、話を複雑にしても仕方がないので、同一個体が通っているものと仮定して話を続けます。(オッカムの剃刀) ※ 追記参照
一時捕獲して個体標識しないことには、野ネズミを個体識別するのは無理そうです。
シーン11:10/19・午後19:10 (@3:12〜)
明るい昼間は天敵(捕食者)が多くて危険なので、野ネズミは巣穴で寝て英気を養います。
暗い夜になると餌場通いを再開しました。
給餌場で最後のドングリを見つけて、左下に搬出。
シーン12:10/19・午後23:11 (@3:20〜)
4時間も間隔が開きました。
餌場に来た野ネズミは空荷で下に走り去りました。
給餌場の少し左下に転がっていたドングリ1個が、いつの間にか(4時間の空白期間に)無くなっていました。
トレイルカメラのセンサー感度や性能の限界、電池の消耗など様々な理由で記録漏れがあるようです。
野ネズミはドングリを一度に1個ずつしか運べません。
計43個もドングリを給餌したのに、野ネズミによる搬出シーンが撮れた動画は43回もありません。
シーン13:10/20・午前2:30 (@3:27〜)
3時間20分後に登場した野ネズミは、給餌場を素通りして、右に走り去りました。
と思いきや、戻って来て右斜面をウロチョロと探餌徘徊しています。
もはや餌場にはドングリが残っていないと知っていて、通常の餌探しモードに切り替えたようです。
当然ながら、餌場への訪問頻度は下がります。
10/20未明の活動はこれが最後でした。
※ 暗視映像が暗い場合は、動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。
【追記】
後日、同じ餌場で2匹の野ネズミが同時に登場しました。
関連記事(1ヶ月後の撮影)▶ 運搬中の喧嘩で落としたオニグルミ堅果を拾いに戻る野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】
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