2015年9月中旬
飼育を始めたカシノシマメイガ♀(Pyralis farinalis)が容器内で海老反り姿勢で静止しています。
以前飼育したノシメマダラメイガでは♀が性フェロモンを放出するコーリング姿勢なのですが、カシノシマメイガではどうなのでしょう?
同じメイガ科だし、てっきり行動も同じかと思いこみ、この動画もカシノシマメイガ♀のコーリングを撮ったつもりでいました。
ところが、どうも違うようです。
DMOTHサイトを参照するとカシノシマメイガ性別の見分け方が解説されていました。
触角♂は微毛状, ♀は糸状. 一般に♂は小さく, ♀は大きいが, 大きさの変異は著しい. 成虫は家屋内で見られ, 壁などに静止しているときは,腹部を強く曲げて特異な姿勢をとる.
♂♀ともに
英語版wikipediaにも次の記述がありました。
At rest, adult moths (imagines) typically hold the tip of their abdomen at 90° to their body.
顔を接写してみると、複眼が緑褐色で美しいですね。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
車庫で連日捕獲したカシノシマメイガを片端から容器に投入して、計17匹もなりました。
しかし容器内での求愛・交尾行動はなぜか見られないまま次々に死んでいきます。
待てど暮らせど幼虫が孵化してこないのは何故だろうと不思議でした。(採集した成虫の性比が偏っているのか?)
成虫の死骸を調べると、ノシメマダラメイガとは異なりカシノシマメイガ成虫には口吻があることにようやく気づきました。
ノシメマダラメイガは口吻が退化しており成虫の餌は不要でした。
それに対してカシノシマメイガの場合は成虫にも餌(花蜜、砂糖水?)を与えないと飼えないのだと分かりました。
【追記1】
桑原保正『性フェロモン:オスを誘惑する物質の秘密』によると、
(シマメイガ亜科カシノシマメイガの)性フェロモンの存在が生物試験で確認できており、マダラメイガ亜科とは性フェロモンの構造が違うだろうと予想していた(中略)。この虫は飼育ができないためか、現在もまだフェロモンの化学構造はわかっていない。 (p122より引用)
【追記2】
2015年12月上旬
飼育を諦めて容器を放置していたら、容器の蓋の裏に3匹の老熟幼虫が糸を綴った巣を作り、中で越冬していました。
片手間に飼育していたので、幼虫の成長を見逃してしまったのが残念です。
DMOTHサイトでカシノシマメイガの解説を参照すると
幼虫は貯穀, 菓子, 干果, 乾燥した動物の糞などを食べ, 幼虫態で越冬する.
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