2021/04/24

日没後に1羽ずつ集団塒に帰るダイサギの俯瞰映像(冬の野鳥)

 

2020年12月上旬・午後16:30〜16:42・晴れ(日の入り時刻は午後16:18) 

里山の中腹にある展望台から市街地を見下ろすと、ダイサギArdea alba)の集団塒が見えることに気づきました。 
カメラを三脚に固定し、ダイサギの群れが日没後に塒入りする様子を俯瞰映像で記録してみましょう。 
本当は塒を見下ろせる近隣の高層ビルの屋上から撮影してみたいのですが、セキュリティの緩かった昔と違って、屋上に登れる場所が無くなってしまいました。 
市街地ではドローンも飛ばせないので、俯瞰で見下ろせる高度を稼ぐには裏山に登るしかありません。 
地図上で直線距離を測ると、山腹の展望台から集団塒まで2.56km、高度差は130mでした。 
望遠レンズを装着するまでもなく、通常レンズの手持ち夜景モードで動画を長撮りしました。 
冬季の集団塒となったヒマラヤスギ林の近くでこれまで何度か撮影してきましたが、塒入りするダイサギが一体どこから飛来するかよく分かりませんでした。 
今回注目すべきポイントは、ダイサギが就塒前集合しているのかという点です。 

▼関連記事(9ヶ月前の撮影:2020年3月上旬・午後17:39〜18:04・日の入り時刻は午後17:34) 


展望台から撮影中、肉眼では塒入りする白鷺に全く気づかなかったのですが、動画には意外にもしっかり撮れていました。 
ダイサギが純白で目立つ大型の鳥であるからこそ上手く行きました。 
次に機会があれば、更に高画質の4K動画でも撮影してみたいものです。(長撮りは無理?) 

今回は計7羽の飛行ルートが判明しました。 
ただし、撮影前から塒に先着していた個体がいるとしたら、それは写っていません。 
ダイサギは仲間と連れ立って群れで集団就塒するのではなく、1羽ずつ個別に飛来し塒入りすることが明確に分かりました。 
つまり、この個体群は就塒前集合を形成していませんでした。 
▼関連記事(2年前の撮影:就塒前集合した別の個体群)

ほとんどの個体は昼間の採餌場から塒を目指してまっしぐらに(ほぼ一直線に)飛んで来ていました。 
フラフラと蛇行するように飛んでいた個体は、昼間に餌が充分に摂れず空腹状態だったのではないかと心配です。
どの個体も飛行高度はそれほど高くありませんでした。 
樹上に集まる仲間の白い姿を目掛けて飛来するのではなく、周囲の視覚記憶に頼っている印象を受けました。 
スギ林をメインとする鎮守の森は、鳥瞰では陸の孤島のように見えます。 
画面中央奥にヒマラヤスギの高木が2本並んでいて、そこがダイサギの集団塒になっています。 
塒を目指して飛んでくるダイサギは、周囲に光るオレンジ色の外灯(ナトリウムランプ)を目印にしている可能性がありそうです。 
最後は先客の止まっている枝の近くに着陸するのでしょう。 
塒を大きく通り過ぎてから(迷った?)Uターンする個体もいれば、塒を少し通り過ぎてから右旋回で滑空しながら就塒する個体もいました。 

#6の個体は、道を走る車のヘッドライトを見間違えたかもしれません。 
白鷺の飛影にしては高度が低過ぎる気もします。 

 暗くなり撮影の限界が来たので打ち切りました。 
下山後にその足で集団塒を見に行くと、計14羽?の白鷺(おそらくダイサギ)がヒマラヤスギの樹上で寝ていました。
(あまりにも暗過ぎて酷い映像なので省略) 
ダイサギは辺りがとっぷり暗くなってからでも遅れて塒入りした個体が更にいたようです。 
決して「鳥目」ではなく、外灯の照明を頼りに夜も有視界飛行できるようです。 

次にやりたいテーマは、同じ場所から夜明けにダイサギの離塒を俯瞰で撮影することです。 
集団塒からバラバラに飛び去り四方の餌場に分散するダイサギの様子が撮れるだろう(獲物が多い餌場を知っていそうな仲間の後をついて行く個体はいないだろう)、と予想しています。
ダイサギの各個体にGPSを装着できないのなら、各々の飛行経路を俯瞰で直接見てやれば良いのです。 
塒の役割(なぜ鳥は集まって寝るのか?)として古くから提唱されている仮説のひとつに「情報センター仮説」があります。
説得力のある俯瞰映像が撮れたら「情報センター仮説」を完全に否定できるはず、という目論見です。 
ところがこの後、大雪が連日降るようになり、計画を軽々しく決行できなくなってしまいました。 
低山でも雪が積もると難易度がいきなり跳ね上がるミッションになります。 
深夜の雪山登山となると装備や防寒具の準備だけでも大変ですし、前の日から撮影ポイントでビバークするにしても大ごとです。 
来年に宿題として持ち越しになりました。 
諸々のリスクを避けて、根雪が積もる前に撮影を済ませるべきですね。 
【追記】
冬のよく晴れた朝は放射冷却現象で市街地に朝霧が発生することが分かりました。
山の上で待ち構えていても、日が高く昇って霧が晴れるまで麓の様子は何も見えません。
つまり、最低気温のあまり下がらない曇りの日を狙って決行する必要がありそうです。

上田恵介『鳥はなぜ集まる?―群れの行動生態学』という本によると、
 シラサギ類が白いのは、あの白さが飛んでいる仲間をひきつけ、採食の群れを大きくするために進化してきたのではないかという説があります。事実、シラサギ類は実験的に水辺に置いた白いデコイ(模型)にひき寄せられるとの研究もあり、かれらの白さが群れ形成に関与しているのはかなり確からしく思われます。(p44−45より引用)
日没後の遅い時刻になるほど暗い針葉樹上に止まっている白鷺はかなり目立ちます。 
樹上に白鷺のデコイを置けば、塒入りを誘導できるでしょうか? 
塒の枝に冠雪すると、白い仲間が増えたと惑わされるかな?

 

↑【おまけの映像】 
同じ素材を10倍速に加工した早回し映像をブログ限定で公開しておきます。 

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