2020/06/16

樹上にノスリ(野鳥)の古巣を見に行く



ノスリ(野鳥)営巣地での観察記録#23


▼前回の記事
営巣地の上空を鳴きながら飛ぶ2羽のノスリ(野鳥)

2019年8月中旬・午後

6月下旬以降、営巣地周辺でノスリButeo japonicus)の姿を全く見かけなくなりました。
巣内での動きもありません。
ノスリの繁殖期が完全に終わり雛が間違いなく巣立った頃を見計らって、ルビコン川を渡り、営巣木の現地調査に向かいました。
(それまで私はずっと、神経質な親鳥に遠慮して、川を挟んで対岸から観察するようにしていました。)

ガサガサと薮を掻き分けながら営巣地の河畔林を調べても、警戒声を発するノスリは居ませんでした。
やがて、川のすぐ裏に生えた柳(種名不詳)の大木の樹上に大きな鳥の巣を見つけました。
周囲の位置関係を考えると、これがノスリの雛が巣立った後の古巣のようです。
親鳥がよく止まって周囲を監視していたポプラの巨木も営巣木(柳)の近くに聳え立っていました。

対岸から望遠で観察しているときには、営巣木はニセアカシアなのかと思い込んでいました。
実際にはニセアカシアに囲まれた柳の大木でした。
柳は根元から二股に別れて、2本の幹が伸びています。
フジ(藤)の太い蔓が柳の幹に巻きついて伸びていました。
フジ以外にも営巣木に巻き付いて葉を茂らせ、ノスリの巣を対岸から覆い隠していた謎の蔓植物は、どうやらツルウメモドキだったようです。
蔓にツルウメモドキの未熟な青い実がなっていました。
柳に隣接して、ヤマグワ(桑)の灌木が柳の半分くらいの高さまで伸びて葉を茂らせていました。

巣が架けられた太い枝の又の部分に小さな樹洞が開いています。
古巣の巣材にはクモの巣が張られていて、空巣になってから日数が経っていることを物語っています。
親鳥は多数の枯れ枝や小枝を集めて巣を作ったようです。
猛禽類はカラスよりも太い枝を集めて巣材に使うのではないかと勝手に予想していたのですが、そんなことはなくて少し意外でした。

文献を読むと、猛禽類の親鳥は巣材とは別に、防虫効果のある針葉樹の枝葉を持ち込むらしいです。
しかしノスリの巣を下から見上げた限りでは、針葉樹の枝葉は全く見えませんでした。

また、ノスリの巣の下に雛の吐き出したペリットや食べ残し、糞などは見つけられませんでした。
雛の巣立ちから日数が経ち過ぎてしまい、スカベンジャー昆虫に食べ尽くされてしまったのでしょう。

営巣木に登って古巣をしっかり調べたかったのですが、まずはロープを使った安全な木登りを習得しなければいけません。
あるいは、ドローンを飛ばして空撮する方が手っ取り早いかもしれません。
しかしドローンを買ったりレンタルしたとしても、枝が複雑に生い茂った林内で狙い通りに飛ばせるのか、無事に回収できるのか、自信がありません。(かなり練習が必要でしょう)

営巣木の胸高直径を測るのを忘れてしまいました。

シリーズ完。




翌シーズンも観察するつもりで楽しみにしていたのですが、残念ながら親鳥は営巣してくれませんでした。
春先またはノスリの営巣初期に行われた河畔林の伐採作業が原因と思われます。
詳細は伏せますが、外来植物ニセアカシアの駆除(巻き枯らし)という大義名分があるようです。
私としても怒りのやり場が無く、複雑な心境です。
環境保全および生態学的に何が正解か、私も勉強不足でなかなか難しい問題です。




幸い営巣木のヤナギやポプラの大木は切られずに済んだので、そのまま残してくれるならまだ希望はあります。
ニセアカシアが優占していた河畔林がこれから長い年月をかけて柳やハンノキなどの在来種に置き換わるはずです。
もしも今後数年がかりで河畔林をきれいさっぱり皆伐して、河川敷を小綺麗な公園に改造するための土木工事(治水工事?)をするのなら、ノスリの繁殖は絶望的です。
生態系においてノスリは食物連鎖ピラミッドの最上位に位置しています。
それまで天敵として野ネズミの大発生を抑えていたノスリが居なくなれば、営巣地の裏にある広大な農地は大変困ったことになると予想されます。

(ただし、野ネズミの捕食者はノスリだけではありません。)



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