2021/11/25

草むらの奥にある巣に出入りするキイロスズメバチ♀の群れ【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月下旬・午後13:15頃・晴れ 

里山の斜面の茂みの中から多数のスズメバチが高速で出入りしていました。 
クズのマント群落やシダ植物などが辺りに繁茂しています。 
山腹の藪の奥にスズメバチの巣盤らしき構造物が見えているのに、撮影中は気づきませんでした。 
(明るい日差しの下ではカメラのバックモニターが見えにくいのです。)
巣は地上の意外と低い位置にあるようです。 

飛び回るスズメバチの動きがあまりにも速いので、初めは種類が見分けられませんでした。 
怖いのは地中営巣性のオオスズメバチです。 
こういうときはスーパースロー映像の出番です。 
飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:00〜) 
すると蜂の正体はキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀と判明しました。 

私の知る限り、キイロスズメバチは樹上に営巣するはずなので、地上の低い位置の草むらに営巣している例は珍しく思いました。 
スズメバチ専用の防護服を着ないとこれ以上は危険で近づけませんが、低木が藪に隠されているのかもしれません。 

スーパースローにしても帰巣する外役ワーカー♀の飛翔速度が速過ぎて、巣材や肉団子を搬入しているのかどうか、よく分かりませんでした。 
ほとんどが帰巣する個体で、出巣する個体は1匹しか撮れませんでした。 

キイロスズメバチの巣の直下にたまたま蝶が飛来しました。 
ミドリヒョウモンArgynnis paphia)とダイミョウセセリDaimio tethys)のようです。 
しかし、忙しく飛び回るキイロスズメバチ♀は蝶を狩ったり追い払ったりすることはありませんでした。 
その一方で私に対しては明らかに警戒してきました。 
蜂が飛ぶコースを塞ぐように巣の正面に突っ立って動画を撮っていると、キイロスズメバチ♀は次第に私を警戒するようになり、停飛(ホバリング)しながら私の体にまとわりつくようになりました。 
飛びながら大顎をカチカチ♪と鳴らす警告音は聞こえなかったものの、身の危険を感じた私は静かに後退し、難を逃れました。 
後半は蜂の飛行ルートから少し離れて、横から撮影するようにしました。
次回からは白っぽい服装で観察すべきです。 
今回は黒っぽいマスクを顔にかけていたのが良くなかったのかもしれません。
スズメバチ専用の防護服をレンタルしようかと検討すると、往復送料込みで1万円弱でした。 
蜂を駆除しないで観察するだけという酔狂な目的にしては値が張ります。 
防護服無しでどこまでスズメバチの生態に迫れるか、無理のない範囲で挑戦を続けます。 

高見澤今朝雄『日本の真社会性ハチ 全種・全亜種生態図鑑』を紐解いてキイロスズメバチの巣について調べると、
・成熟期では巣に近づいただけで攻撃してくることがある。 
初期の巣は石垣の中、樹洞、土中などの遮蔽空間に造られ、巣盤数2〜3段で働きバチの数が百匹前後に達すると軒下や崖などの解放空間へ巣の引っ越しを行なう。(p94より引用)
したがって、今回見つけたのはおそらく春に創設女王が目立たない場所に作った母巣(一次巣)であり、これからコロニーが二次巣へと引っ越すのではないかと予想しました。 
この巣は山中でも少し目立つ場所にあるため、いずれ駆除されてしまう可能性が高そうです。


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