マメドクガの飼育記録#16
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マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂がソメイヨシノ花後の子房を次々に食害【10倍速映像】
2019年5月上旬
マメドクガ(Cifuna locuples confusa)の終齢幼虫♂bがソメイヨシノの
肥大した子房(緑色の未熟果)にかじりつこうとしばらく頑張っていましたが、果皮が硬くなっているようで結局は歯が立ちませんでした。
その奮闘ぶりを微速度撮影で記録したので、10倍速の早回し映像をご覧下さい。
未熟果は長径9mm、短径7mmの卵型(楕円球)でした。
実際には10分間以上もカリカリと頑張っていたことになります。
『科学のアルバム:サクラの一生』によると、
虫のたすけをかりて、受粉した花は、花びらがちったあと、みどり色のかたい実をむすびます。
実がだんだんと赤く色づいてくると、なかの種もできあがります。
実はみどり色から赤くなり、70日くらいするとじゅくして黒くなる。
じゅくしたやわらかい実は、小鳥や動物の大こうぶつ。かれらがたべた実は、いろいろなところにはこばれ、ふんといっしょに種だけが、地上にもどります。(p18-19より引用)
桜の未熟果には物理的に幼虫の歯が立たないのではなく、有毒(忌避)物質を含む可能性も充分に考えられます。
園芸種であるソメイヨシノの場合は、果実が熟した後も毒が残っている場合があって危険なのだそうです。
『種子散布 助け合いの進化論〈1〉鳥が運ぶ種子』という本によると、
ピラカンサ、ウメ、サクラなどの未熟果には、青酸配糖体のプルナシンやアミグダリンが含まれている。未熟果が毒を持つのは、種子がまだ未熟な時期に捕食されてしまうのを防ぐための植物側の適応である。こうした毒は実が熟すると消失して、鳥が食べられるようになる(p50より引用)
ソメイヨシノ(バラ科)―実をついばんでいたムクドリが飛び立って間もなく落下して死に、胃の中の実からアミグダリンと推定されるシアン化合物が検出された。同様の事例は桜の名所で時々ある。(中略)ソメイヨシノの例は極端だが、これは園芸種なので自然選択はかかっていないと考えられる。(同書p86-87より引用)
このマメドクガ幼虫は広食性でソメイヨシノ花後の子房を大量に食べてしまいましたが、アミグダリンの影響は大丈夫なのでしょうか?
個々の子房に含まれる毒は微量でも体内に蓄積して死亡する(致死性を発揮する)のではないかと心配になってきました。
そこで別の食樹植物に変えることにしました。
つづく→#17:ケヤキの若葉を食べ脱糞するマメドクガ(蛾)終齢幼虫♂【30倍速映像】
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