2019年4月下旬
私が池畔でササゴイの漁を撮っていたら、ハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)が飛来し、目の前を左に横切りました。
一瞬の出来事なので、1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。
何か真っ赤なビニール袋を嘴に咥えています。
辺りは桜の花が満開に咲いています。
咄嗟に流し撮りすると、池の岸に降り立ったカラスは、運んできた赤い袋を岩陰に置きました。
貯食するのかと思いきや、足でしっかり押さえつけながら頑丈な嘴で菓子袋を器用に引き裂きました。
対岸まで少し遠くて包装のラベルまでは見えないのですけど、赤い袋には見覚えがあり、キャラメルコーンまたはカッパえびせんのような気がしました。
しかし中味はスナック菓子ではなくて、ハシブトガラスはカントリーマアムのようなチョコレート色の丸いクッキーを取り出しました。(@0:27)
花見客の落とし物を拾って(かっぱらって)来たのでしょう。
(カントリーマアムでは似たような赤い袋に入った商品を見つけられませんでした。)
このお菓子の商品名を分かる人がどなたかいらっしゃいましたら、是非教えて下さい。
お菓子を食べる合間に、カラスは池の水を飲んで喉を潤しています。(@0:33)
焦げ茶色のクッキーを足元の岩に置き直すと(@1:04)、少しずつ千切って食べ始めました。
袋の中に残ったクッキーの破片も食べているようです。
後ろ姿では食事シーンがよく見えないのが残念です。
袋の中味を池にぶちまけて水に浸し、水面に浮いたクッキーを食べているのかもしれません。
お菓子を食べ終えたカラスは、包装の袋はその場に残したまま、池の岸から右に飛び立ちました。(@2:52)
しばらくすると(5分後)、いつの間にかハシブトガラスが同じ岩場に戻って来ていました。
(ただし同一個体とは限りません。)
食べ残しのクッキーを啄んでから、今度は左へ飛び去りました。
なぜかこの場所はハシブトガラスにとってお気に入りの食堂らしく、後日にも同一個体(?)が餌をわざわざここに運んで来て食べていました。
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余談ですが、ハシブトガラスがクッキーを食べている最中に、少し右の水面にコイ(鯉;Cyprinus carpio)が顔を出しました。(@2:03)
カラスが池の水面にこぼした菓子の匂いに誘引されたのかもしれません。
カラスの周囲を泳ぎ回って口をパクパクさせています。
ただの口呼吸というよりも、餌乞い行動のような気がします。
この池では鯉に給餌するヒトが多いので、条件反射で岸に集まった鯉はよく餌乞いをしています。
水中ではもっと多くの小魚がカラスの周りに集まってきていそうです。(このアングルでは見えない)
カラスが池の魚を積極的に捕食することはないでしょう。
一方、ある地方のササゴイ(Butorides striatus amurensis)は、水面に生き餌の虫や疑似餌の物体(木の枝や木の実など)を落として待ち伏せ、近づいてきた魚を捕食する文化があるそうです。
今回ハシブトガラスの食事シーンを横で見ていた魚食性のササゴイが、それをヒントに「撒き餌漁」(道具を使った狩り)をひらめいて会得する可能性がありそうです。
絶好のチャンスなのに、残念ながら池畔で2種の鳥は互いに無関心でした。(少し遠かった?)
人が池に餌を投げて魚があつまってくる―眼の前の光景をなんども見ているうちに、ササゴイは、木の枝や木の実を投げることをおぼえたのではないでしょうか。そうして、疑似餌をつかって魚釣りをすることを学習していったのだと考えられます。 (国松俊英 『魚釣りの名人ササゴイ』p62より引用)
【追記】
中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』によると、
カラスが食べ物を水に浸している光景を見たことはあるでしょうか? 繁殖期の親は、雛に給餌する際に、食べ物に水を含ませて与えています。ビスケットなどの堅めの食べ物を柔らかくするためという説がありますが、パンなども浸しているので、一概には言えません。 (p77より引用)
今回のハシブトガラスも、クッキーを水に浸して軟化させていた可能性がありそうです。
映像を見直すと、1回目に飛び去ったときに喉袋が大きく膨らんでいました。
したがって、水を含ませたクッキーを雛に給餌するために巣へ持ち帰ったのかもしれません。
【追記2】
柴田佳秀『うち、カラスいるんだけど来る? :カラスの生態完全読本』によれば、
せんべいやスナック菓子は一度、水に浸して柔らかくしてから食べる。 (p36より引用)
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