2019/06/20

マメドクガ(蛾)幼虫はイネ科の草も食べる

マメドクガの飼育記録#8



▼前回の記事
休眠越冬を始めたマメドクガ(蛾)若齢幼虫の微動【100倍速映像】

前年から飼育下で越冬させていたマメドクガCifuna locuples confusa)の幼虫aは、春になってもなぜか目覚めませんでした。
恥ずかしながら私は虫の飼育がいつまで経っても上達せず、特に冬越しさせるのが鬼門です。



2019年4月下旬

川沿いの堤防に立つ小屋の東側で新たに越冬明けの別個体bを見つけました。
地面から少し上のコンクリート基礎に脱皮殻(抜け殻)が残されていて、その手前に生えたイネ科の雑草にマメドクガの亜終齢幼虫bが居ました。
イネ科の葉先に食痕があったので驚きました。
マメ科作物の害虫として悪名高いマメドクガ幼虫がイネ科も食べるとは意外に思いました。
非常に残念なことに、このときカメラのバッテリーが切れていて、証拠写真を1枚も撮れませんでした。
食草ごと採集して持ち帰り、飼育下で再現させてみましょう。
一緒に採集した抜け殻(脱皮殻)の写真を掲載予定。

ちなみにイネ科植物の穂が育つまで待って1ヶ月後(5月下旬)に現地を再び訪れると、幼虫が食べていたのはカモガヤ(=オーチャードグラス)と判明しました。




カモガヤ@マメドクガ(蛾)幼虫b採集地・全景
カモガヤ穂@マメドクガ(蛾)幼虫b採集地



「草むしり」と称して、近所に生えていたイネ科の雑草(種名不詳)を根こそぎ毟り取ってきました。
そのままプラスチック容器(豆腐パックの再利用)に入れて水をやり、マメドクガ幼虫bを放しました。
幼虫の大きさと比較するために豆腐パックを採寸すると、出っ張った縁も含めて13×15×4.5cm。
飼育環境に数日間慣らした後で、イネ科植物の葉を食べている証拠映像がようやく撮れました。


食欲旺盛の幼虫は葉縁に脚で跨るようにしがみつき、一心不乱に葉を蚕食しています。
頭楯は真っ黒です。

頭部の横から生えている黒くて長い毛束が、この個体は右側だけ欠損しています。
飼育容器内に再現した草むらを元気に徘徊します。
撮影時の室温は22.1℃、湿度33%。

「マメドクガ」という和名は少し誤解を招くかもしれません。
必ずしも名は体を表さず、実はもっと広食性であることが分かりました。
いつもお世話になっている「みんなで作る日本産蛾類図鑑」サイトを参照すると、マメドクガの「幼虫食餌植物」として以下のように列挙されていました。

マメ科:ダイズ、フジ、バラ科:カイドウ、ニレ科:ケヤキ、ユキノシタ科:ウツギ、ブナ科コナラ属:コナラ、クヌギ、ニレ科:エノキ、バラ科:バラ
既知の食草リストにイネ科は含まれていませんでしたので、ささやかながら新しい知見になります。
ここ北国では、春になって根雪が溶けても本来適した食草がなかなか生えてこなくて、あまり好き嫌いを言ってられないのでしょう。



つづく→#9:脱皮前の眠で微動するマメドクガ(蛾)亜終齢幼虫♂【100倍速映像】


マメドクガ(蛾)亜終齢幼虫♂b:側面@イネ科植物sp葉+食害
マメドクガ(蛾)亜終齢幼虫♂b:顔@イネ科植物sp葉+食害
マメドクガ(蛾)亜終齢幼虫♂b@イネ科植物sp・全景
マメドクガ(蛾)亜終齢幼虫♂b@イネ科植物sp・全景

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