2009年10月上旬
石碑に彫られた文字の窪みに泥巣がありました。
徳利状の育房が3つ(a-c)固まっています(泥巣全体の横幅は約35mm)。
その場で泥巣を暴いてみると、貯食物は鱗翅目の幼虫でした。
育房aは蝿に寄生されており、育房cは発掘作業で蛹を傷つけてしまいました。
育房bから採集した繭を持ち帰り、切り開くと白い前蛹が入っていました。
このまま越冬するようです。
蜂屋のヒゲおやじさんに質問すると、スズバチ(Oreumenes decoratus)が作った泥巣だろうと教えて頂きました。
この育房bは一番最後に作られたようですが、入り口が閉じられていません。
スズバチは複数の育房が完成すると全体を泥で厚塗りする習性があるそうです※。
※ 同じ石碑で下の文字の奥には全体が塗り潰されたトーチカ状の泥巣があり、脱出孔が2つ残されていました。従って、この泥巣は何らかの理由で途中で営巣を中断したケースと考えられるそうです。
この繭bもセイボウなどに寄生されている可能性が高いとのことでした。
果たして来年、うまく成虫が羽化してくれるでしょうか。
冬場の乾燥とカビ感染に注意しつつ飼育してみます。
しばらく飼っていると蠕動で繭の外に出てしまいました。
(つづく)
≪追記≫
この前蛹bは室内で休眠越冬してやがて蛹となり、4月末に無事成虫を得ました。
やはりこの無防備な育房bは寄生されており、ヒメバチの一種(キアシオナガトガリヒメバチ Acroricnus ambulator ambulator)♀が羽化してきました。(続編をご覧ください。)
0 件のコメント:
コメントを投稿