2010年5月上旬
山中で虫の撮影に熱中していたら、背後の斜面でガサガサポキポキ音がする。
山菜取りの人が登って来たのかなと思い、ひょいと振り返ると近くに野生ニホンカモシカ(Capricornis crispus)が立っていました。
カモシカは好奇心が強い動物らしいので、私の様子を観にきたのかもしれません。
慌ててカメラを向けると警戒しつつもしばらく横目でこちらを窺っていました。
身を翻して森へ戻る途中で、アカマツの幹に顔をスリスリ。
目の下にある匂い袋(眼下腺)を擦り付けて縄張りを宣言するマーキング行動です。
間近で実際に見れて感動しました。
カモシカが去った後、その立ち木に鼻を近付けて嗅いでみたものの、特に何も感じませんでした。
本によると甘酸っぱい匂いがするらしいのですけど。
カモシカは足の指の間に同様の蹄間腺というものもあるそうです。
警戒心の強い野生動物と視線を直接合わせずに撮影するのにバリアングルの液晶モニターはとても重宝します。
隠し撮りという程ではありませんが、そっぽを向いたまま素知らぬ顔でレンズだけを向けて撮影しました。
【追記】
『カモシカの森から』p124より
カモシカの眼の下には、泣きボクロのようなほんの小さな突起がある。これが、眼下腺と呼ばれるもので、ここからある種の分泌物を出す。その分泌物は、液体状であり、大気に触れると乳白色をしたゼリー状に固まる。
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