2009年10月下旬
網に占座したジョロウグモ♀(Nephila clavata)が別個体の♀を共食いしていたので驚きました。
ジョロウグモは交接中によく♀が小柄な♂を共食いしますが(性的共食い)、成体の♀同士も共食いするとは知りませんでした。
目測では二匹の♀に体格差はありません。
腹端を噛み付かれ餌食となった♀は虫の息で、ときどき歩脚を動かします。どういう経緯で共食いに至ったのか、見逃したのが残念でなりません。
特に、この網の作者はどちらの♀なのか知りたかったです。
網の「乗っ取り」が起きたのだろうか。
網の甑の高さはほぼ腰下で、♀(水色)が卵嚢を残した場所から3mぐらい離れていました。
喰われた方の腹部背側が水色で塗られているのは10日前に施した個体識別のマーキングです。
コンクリートの天井隅に相次いで産卵し卵嚢に随伴していた♀二匹に油性ペンで印を付けていたのです(♀黒と♀水色の二匹)。
共食いの勝者♀は無印なので、素性は不明です(流れ者?)。
ちなみに産卵を観察した個体♀黒は無事で、この近くに網を構えていました(映像なし)。
移動の少ない造網性クモもきちんと個体識別して定点観察すれば意外に面白いかもしれませんね。
今回は忙しくて計画倒れに終わりましたけど。
【追記】
『クモのはなしII:糸と織りなす不思議な世界への旅』p148(第18章 なわばりゲーム)によると
ジョロウグモでも数メートル四方の網室に放しておくと、網の乗っ取りが起こり持ち主を殺してしまうこともあります。野外では実際に乗っ取りが起こっても、クモに目印でもつけておかないと気がつきません。
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