2009年11月下旬
杉の枝から採集したクサグモ(Agelena silvatica)の卵嚢を室内の飼育容器に入れて放置していたら、15日後に数匹の幼体が出嚢しました。
卵嚢内で一回目の脱皮を済ませた二齢の幼体と思われます。
歩きながら卵嚢の周囲に糸を引き回しています。
少し散歩するとすぐに仲間の居る卵嚢に戻りました。
卵嚢と一緒に採集した母クモの死骸はカビが生えていて残念ながら同定出来ませんでした。
しかし出嚢した幼体の色(頭胸部が赤くて腹部が黒い)から近縁種の中でもクサグモであることが判明しました(コクサグモ、イナヅマクサグモとは違う)。
室温で飼育していること(明暗条件もコントロールしていない)、採集直後に観察のため卵嚢の外側を鋏で切り裂いていることなどから、当地における野外での正常な出嚢時期(おそらく早春?)とはかなりずれていると思われます。
季節外れに早く出てきてしまったものは仕方が無いので、出来る限り飼育を続けてみます。
(つづく)
【追記】
『クモのはなしI:小さな狩人たちの進化のなぞを探る』第20話 加藤輝代子「冬の眠り」p177によると、
(東京付近で調べた)クサグモの冬ごしは、日長で支配される「休眠」でした。10月から12月にかけて、日の長さがだんだん短くなってくると、卵嚢の中の子グモはこれを感じて眠りにつき、たとえ気温が高くても外へ出てきません。そしてある期間低温(冬)の時期を経過すると休眠は消去され、気温さえ高くなればいつでも出嚢できる準備がととのいます。この休眠が消去される時期は、冬至のころと推定されますが、実際に出嚢するのは3月下旬ごろからです。
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