2011/02/20

シボグモ(蜘蛛)幼体は雪上で狩りをするか?



2009年1月上旬

雪道(気温3℃)で見つけたクモ(体長7.5mm)。
闇クモ画像掲示板にてシボグモAnahita fauna)幼体と教えて頂きました。
右歩脚の第3脚が欠損しています。
「冬季は成長が止まり脱皮に伴う歩脚の再生が行われないため、怪我したクモをよく見かけるのだろう」との解説でした。
なるほど。


近くに居たハエの目の前にクモを置いても捕食行動を起こさず、逃げようとするばかりでした。
雪上を徘徊するクモは雪の窪みや割れ目を見つけると中に潜り込もうとするようです。
狩りより隠れ家探しを優先したように見えます。
ハエは一応動いているので、獲物を認識できていない可能性は低いと思います。
落ち着いた状態のクモの目の前に獲物を投下すべきだったかもしれません。
寒い冬は食欲が無いのだろうか。
しかしこの観察例だけでは何とも言えません。
クモは気まぐれなのか夏の飼育下でも狩りをするまで時間がかかるからです。
雪を敷き詰めた容器にクモと獲物をしばらく入れてみたらどうだろう。 




《参考》 
『クモの生物学』第3章 耐寒性と季節適応(東京大学出版会)より

  •  寒冷地のクモの多くは断熱性に優れた積雪下で越冬する。気温が零下になっても積雪下の地表温度はほぼ零度に保たれる。 
  • 冬季にグリセリンなどの糖アルコールが体内に蓄積することでタンパク質や細胞膜が安定化し、冷温耐性が増すと考えられている。 
  • 冬に捕食すると消化管内容物が氷晶核となってクモの過冷却点(super cooling point; SCP)が上昇し、冬の寒さで凍死してしまう危険性がある。たとえ機会があっても捕食しないことはSCPを低く保ち無事に越冬する上で必須。 
  • クモには冬でもSCPを下げない種も知られており、外気から保護される場所で越冬する。冬季も捕食活動を続けているかどうかは不明らしい。今回観察したシボグモはどのタイプなのだろう。

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