2008年
5月にフィールドでイラガ(Monema flavescens)の繭を一つ採集し、物好きにも室内飼育していました。
7月も末になりそろそろ羽化する頃かと注意していたら、一匹の大きなハエが繭から出ました。
寄生されていたようです。
蝿の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」で質問したところ、ヤドリバエの同定は専門家が標本を精査しないと難しいと教えて頂きました。
イラガ科イラガに寄生するヤドリバエとしてはムラタヒゲナガハリバエ、イラムシヤドリバエが記録されているほか、寄主の範囲がかなり広い種もいるので絞り切れないようです。
素人判断で白く見えているのはてっきり特殊化した平均棍かと思ったらそうではなく、翅の基部後縁が拡大したものだそうです。
覆弁(胸弁、鱗弁、膜弁)と呼ばれる構造で、平均棍はこれに覆われているとのこと。
イラガは天敵と進化史上熾烈な軍拡競争を繰り広げた結果、一見過剰防衛とも思える手段を開発しました。
幼虫期は悪名高い恐ろしく鋭い棘で身を守り、無防備な蛹は恐ろしく硬い繭を作って中に篭ってしまいます。
しかし寄生蜂/寄生蝿は更にその上手を行き、イラガの繭の外から産卵する専門の寄生蜂も知られています。
ヤドリバエはイラガの幼虫に産卵するのだろうか。
寄主の体内で成長した挙句、寄主に堅固な防御(繭)と脱出口(円形の切れ目)を作らせてから殺すのが凄いと思います。
《参考図書》
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