2011/01/28

エントツドロバチ♀の巣作りを見守る怪しい蝿



2009年6月下旬

軒下に営巣したエントツドロバチOrancistrocerus drewseni)の観察記録。
前回紹介したように、このところ♀が泥巣を改築しています(巣材の再利用)。
二匹のハエが泥巣の直下に止まり、作業をじっと見守っていることに気づきました。
果たして偶然の訪問者だろうか。
残念ながら同定用の写真は撮れませんでした。
寄生蝿ではないかと疑い調べてみると、ドロバチ類に労働寄生する蝿としてドロバチヤドリニクバエが知られており、寄主の巣内に幼虫を産下するらしい。
蜂が今作っているこの泥巣には未だ煙突状の入り口があります※(初期巣)。
育房作りの段階でないと判断したのか、蝿はそのまま飛び去りました。
私の考え過ぎだろうか。
作業中のエントツドロバチ♀は離巣しても直ちに戻ります(ときどき外で水を飲んで来ます)。
単に仕事熱心なのか、あるいは寄生者を警戒しているのだろうか。 


《参考》 『昆虫学五十年:あるナチュラリストの回想』 中公新書・岩田久二雄 p30より 
ドロバチヤドリバエは狩猟中のオオフタオビドロバチ母蜂が獲物を携えて巣に帰る途に待ち伏せて、跡をつけて巣を確認し、蜂が次の獲物をとりにゆく留守の巣に接近して、その入り口に蛆虫をうみおとす。体長1mmの蛆虫は独房内に這い込む。(蛆は寄主が蓄えた獲物を食べて育つ。) 




※ 入り口に取り付ける泥の円筒は、巣に寄生する蝿などが、巣の中を直接覗けないようにするためらしい。
(『カリバチ観察事典』 偕成社 p20より)

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