2010年7月中旬
ホバリングしながらオカトラノオの花蜜を吸って回るスカシバ(蛾)がいました。
だらりと下げた太く毛深い後脚が印象的です。
我虫像掲示板にて問い合わせたところ、おそらくシタキモモブトスカシバ(Melittia inouei)か、あるいは鱗粉の擦れたオオモモブトスカシバ本土亜種(Melittia sangaica nipponica)だろうと教えて頂きました。
【追記】
東北地方にはシタキモモブトスカシバしか分布していないのだそうです。
3年後の同じ時期に、吸蜜ホバリングする様子をハイスピード動画に撮りました。→関連記事
3年後の同じ時期に、吸蜜ホバリングする様子をハイスピード動画に撮りました。→関連記事
【追記2】
石井誠『昆虫のすごい瞬間図鑑: 一度は見ておきたい!公園や雑木林で探せる命の躍動シーン』には、モモブトスカシバ (Macroscelesia japona)という別種の蛾の写真が掲載されていました。
「オカトラノオの花の周りで観察できる」という訪花習性は似ています。
ただし、ベイツ型擬態の一例として紹介されていて、ルリモンハナバチがモデルだろうと書いてある点に私は首をひねってしまいました。
2種類の写真を並べて見せられると確かに似ている気もするのですが、「他人の空似」ではないかと私は思います。
まず第一に、ルリモンハナバチは労働寄生種ですから、♀も花粉を集める必要がなく、モモブトスカシバのように毛深くありませんし後脚の花粉籠も退化しています。
また、ベイツ型擬態が成立するためには、捕食者の各個体がモデルとなった虫を食べようとして一度痛い目に遭う必要があります。
一般に寄生バチは個体数が少ないです。
私が通うフィールドでは未だ一度もルリモンハナバチを見つけたことがありません。(希少種と思われます)
野鳥がルリモンハナバチ♀(毒針あり)を野外で捕食して学習する機会はとても低いでしょう。
ルリモンハナバチをモデルとしたベイツ型擬態種が進化してくるとはとても思えません。
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