2010/12/21

獣糞の上で交尾するハクサンベッコウバエの♂♀ペア




2010年10月中旬

林道上に下痢便の獣糞があり、ハエが集っていました。
交尾中のペアがいますが、横から見ると交尾器は結合していません。
下の♀は口吻を伸ばし断続的に獣糞を舐めています。
産卵中でもありませんでした。
上にマウントした♂は、前脚を♀の顔に掛け、残る中脚、後脚で♀腹部を抱いています。
♂は後脚同士を擦り合わせ身繕いし、腹端の性器を掃除しています。
おそらく♂はライバルから配偶者を守っていると思われます(交尾後ガード?)。


下痢便の表面に大量に浮いている白く薄い鱗片状の物体が気になります。
このハエ♀が産み付けた卵なのだろうか。※

いわゆるベッコウバエも獣糞に止まって居たのですが、私が近づいたら逃げて下草に移動しました。 
ハエの卵にしては見慣れない形状ですけど、ベッコウバエ科の卵は独特の形状なのだろうか?


それとも何か植物由来の落下物だろうか(花粉や種子?)。



同定してもらうために、撮影後に同一ペアを採集しました。

↑これは♂。体長9mm


↑これは♀。体長13mm


いつもお世話になっている「一寸のハエにも五分の大和魂BBS」て問い合わせたところ、写真鑑定でハクサンベッコウバエ(=エゾベッコウバエ;Neuroctena analis)だろうとご教示頂きました。以下コメント引用。
ベッコウバエ科のNeuroctena属でベッコウバエを除いて、翅の前後の横脈が暗条で囲まれるのは、N. baldia (Kurahashi, 1981)とN. analis (Fallén, 1820) (=N. melanacme (Kurahashi, 1981)があります。前種は脚や腹部が一様に橙色、中胸楯板の前横線部の側部に斑紋を欠き、触角は暗褐色、後種は前、後脛節の先端が黒色、腹部も後半部は暗色、楯板の前横線部の側部に黒点を現わし、触角は橙色となっています。これらの特徴を写真と照合すると、後種、N. analis Fallén ハクサンベッコウバエに一致します。本種は倉橋博士によってDryomyza melanacmeとして白山、立山、尾瀬などからの標本で記載されたものですが、Ozerov(1999)はヨーロッパから広く分布しているanalisと同一で、属もNeuroctenaにしています。


※ 汚物の水溜まり表面に浮く謎の物体はベッコウバエ科Neuroctena属の卵で間違いないと教えてもらいました。
水面に浮くために適応した形状なのだそうです。なるほどね。
次回は産卵シーンを観察してみたいものです。


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