2008年6月下旬
今度は初期巣a(巣房数27室)の隣に作られた巣b(10室)にキアシナガバチ(Polistes rothneyi)創設女王が帰巣しました。
持ち帰った肉団子を幼虫に給餌しています。
背中(胸部小楯板)に先日施した黒の筆ペンによるマーキングが認められたので、女王aと判明しました。
(関連記事はこちら→「キアシナガバチ創設女王の個体標識」)
遂に同一個体説(女王が一匹で複数の巣を営んでいる)を証明する動かぬ証拠を掴みました!(動く映像ですけど)
軒下は見た目が同じ区画の繰り返し構造になっているため、蜂にとっては見分け難い(覚え難い)らしく、帰巣に迷う姿をよく見かけました。
(関連記事はこちら→「キアシナガバチ創設女王dの帰巣」)。区画内での巣柄の位置(座標)が5つとも全く同じである点も蜂の認識世界内での辻褄合わせを物語っている気がします。
巣房を頻繁に点検する割には自分の巣の大きさなどは余り覚えていない(気にしない)ようで、視覚刺激・触覚刺激で次の行動(給餌や巣作り)が機械的に解発されるのだろう。
この後(5:00~)、女王aは自分の間違えに気付いたのか手ぶらで巣aに戻りました。
軒下に並ぶ初期巣群の中で最大なのでこれがメインの巣なのだろう。
※それとも余力のある女王が意図的に複数の巣を同時並行で育てているのだろうか。
隣人の初期巣を乗っ取った可能性も考えられます。
(関連記事はこちら→「キアシナガバチ創設女王の初期巣をめぐる喧嘩」)。
別宅を幾つも抱えて手広く経営しても労働量が増えるだけで余りメリットが無いように思います。
この女王aに待ち構えている悲しい運命(女王がクモに殺され幼虫も餓死で全滅)を考えると、一つの巣に投資を集中していれば無駄な労力も省け、もっと早く初ワーカーが羽化して悲劇も避けられたかもしれません。
ヒメスズメバチや寄生蛾など天敵に対する保険として(全滅を避けるため)予めサテライト巣を並行営巣しているのかもしれません。
しかし複数の巣でワーカーが一斉に羽化すると一匹の女王では支配し切れなくなる恐れがあります。
アシナガバチの場合、ワーカーの反乱(産卵)を防ぐには常に女王が腕力で抑え付ける(優位行動)必要があるからです。
私の予想が正しければ、外役に出た各ワーカーも帰巣時に同じく混乱して巣を間違えるだろう。
成虫間で喧嘩になるのか、血縁を認識して一つの巣に統一されるのか、など知りたい謎が次々に出てきます。
つづく→シリーズ#13
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