2009年8月中旬
(つづき)
マイマイガ(Lymantria dispar japonica)の幼虫と脱出した寄生蜂の繭塊をリョウブの葉ごと採集して持ち帰り、密閉容器に隔離しました。
すると10日後に繭から小さな蜂が羽化しました。
その間にマイマイガ幼虫は斃死しました(採食、移動、脱皮など一切なし)。
蜂類情報交換BBSにて専門家に写真同定をお願いしたところ、「ヒメバチ科トガリヒメバチ亜科の仲間で、触角の形状からAcrolyta属の一種だろう」と教えて頂きました。
本件のストーリーをまとめると次のように考えられます。
- マイマイガ幼虫(ドクガ科、別名ブランコケムシ)の体内にコマユバチ♀(ブランコサムライコマユバチ?)が産卵。
- 内部寄生で育った蜂の子が毛虫の体外に脱出したのち営繭。
- その繭を狙ってトガリヒメバチ♀(Acrolyta sp.)が産卵して二次寄生が成立。寄主を殺して羽化。
リョウブの葉上に見つけた際に繭塊の近くでウロウロしていた小さな蜂(当初は蝿かと思いました)も今思うと気になります(パート1の動画参照)。
羽化した蜂はざっと見てどれも同じ感じだったので、代表して数匹を撮っただけで全て処分してしまいました。
繭塊の二次寄生率が100%とは限らないでしょうから、羽化した蜂を一匹ずつ丹念に調べるべきでした。
寄生蜂の世界の弱肉強食も熾烈ですね。
もしマイマイガ幼虫が寄生蜂(コマユバチ)にマインドコントロールされていて(行動操作)、蜂の子が脱出した後も死ぬまで繭塊をガードするとしたら面白いと思ったのですけど、コマユバチの繭を全然ガード出来ていないことが判明しました。
繭の傍で死ぬまで居座り、まるで保護者のように威嚇するかのように見えたのは思い過ごしだったのでしょう(パート1の動画参照)。
参考:『寄生バチをめぐる三角関係』講談社選書メチエ
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