2011/01/19

イオウイロハシリグモ♀(蜘蛛)の産卵事故



2009年8月上旬

イオウイロハシリグモDolomedes sulfueus)の卵嚢は半球状になり、口がすぼまり始めました。
卵嚢中心に回るのを止め、糸も出さなくなると、いよいよ注目の産卵です(前回見逃した)。
上に口の開いた半球状の卵嚢を作ってから跨って中に産み付けるのかと思いきや、予想外の産卵法でした。
網にぶら下がって仰向け状態のまま、下向きに開いた卵嚢の穴に産卵孔を押し付けて産んだのです。
白い卵嚢を透かしてオレンジ色の卵が中に見えます。
産卵が済むと腹部を卵嚢から離し、開口部を糸で塞ぎ始めました。 
♀が卵嚢の穴を糸で塞いでいる途中に卵の一塊がボトッと零れ落ちました。
♀は気にせず作業を続けます。
前回の産卵ではこのような致命的なミスは犯しませんでした。
卵に粘り気のあるおかげで全部落ちずに済んだようです。
木の葉に落ちた粒々の未受精卵は粘液(卵白?)に覆われていたものの、翌日にはすっかり乾いていました。
一体どうして重力を無視してこんなリスキーな姿勢で産卵するのか理解に苦しみます。(※ 下記参照)
狭い飼育容器内ゆえの事故でしょうか。 
後半は前回観察した通りでした。
完成すると作業用の網から卵嚢を毟り取り(糸を引き千切る)、地上に降りました。
水場へ一目散に向かい、卵嚢ごと中に入りました。
水を飲んではいないようですけど、ここが一番安心するのでしょうか。
地上で作業を続行します。
卵嚢に跨った姿勢で糸を追加し仕上げます。
卵嚢が卵で汚れても水に濡れても気にしないようです。
 

【参考】
※ 『ファーブル写真昆虫記12:糸をつむいであみづくり』p22によると、ナガコガネグモ♀(コガネグモ科)の卵嚢も同様の作り方です。
卵を包む白い粘液の玉を出し、その中に産卵する。予め糸で作った蓋に卵塊を押し付けるらしい。


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