2022/11/12

タヌキの溜め糞場に浅いトンネルを掘って隠密行動するオオセンチコガネ【10倍速映像】

 

2022年7月下旬・午後14:30〜15:05頃・
前回の記事:▶  
タヌキの溜め糞場から糞の欠片を後ろ向きに転がして運ぶオオセンチコガネ 
トレイルカメラが捉えたオオセンチコガネの糞転がし行動【5倍速映像】

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)とニホンアナグマMeles anakuma)が共有している溜め糞場sをトレイルカメラで監視しています。 
カメラの電池を交換するために現場入りすると、タヌキの糞が残されていました。 
黒い泥状の下痢便が乾きかけています。 

ピンク(赤紫)の金属光沢に輝くオオセンチコガネPhelotrupes (Chromogeotrupes) auratus auratus)が1匹だけ溜め糞場sで活動していました。 
私が近づくとノソノソ歩いてスギ落葉の下に潜り込み、隠れてしまいました。 
スギ落ち葉の下におそらくオオセンチコガネの巣があるのでしょう。 
その後、地表には現れませんでした。 
どうやら見に来る時間帯が遅過ぎたようです。 
他にはニクバエの仲間やメタリックグリーンのキンバエの仲間が糞塊に集まっています。 

スギ林の薄暗い林床でときどき溜め糞がモコモコと上下動するので、糞虫が地中で活動していることは間違いありません。 
私がトレイルカメラの電池交換をしている間に、溜め糞の横に三脚を立てて微速度撮影してみました。 
10倍速の早回し映像をご覧ください(@0:24〜)。 

溜め糞から飛び去ったイチモンジチョウが戻って来ることを期待したのですが、予想は外れ、長撮りしても戻りませんでした。
▼関連記事(同所同日に撮影) ホンドタヌキの溜め糞から吸汁するイチモンジチョウ
ハエ類が集まりタヌキの糞を舐めているだけかと思いきや、タイムラプス映像を見直すと意外に面白い活動が繰り広げられていました。 
画面の奥(上)にあるスギ落葉の下から赤紫のオオセンチコガネが地表直下の浅いトンネルを掘り進めて糞塊の下に忍び寄り、地表に姿を現しました。 
スギ落葉の下を徘徊してから、糞の下に潜り込みました。 
糞塊の右上など他の場所でも地面がモコモコと動いているのは、別個体の糞虫がトンネル内で活動しているのでしょう。 
リアルタイムの観察では気付けなかった(見落としていた)現象です。 
通りすがりに溜め糞を一瞥しただけでオオセンチコガネが居ないと判断するのは軽率なのだと分かりました。
溜め糞をほじくって真面目に糞虫を探す必要があるのですが、今季の私は動画撮影を優先することに決めているので、現場を乱したくありません。

昼間のオオセンチコガネは、野鳥などに捕食されないようにトンネル経由で糞の欠片を自分の巣穴へ運搬しているのかもしれません。 
天敵対策だとすれば、もっと長時間の微速度撮影をしたら、地表に糞虫の姿が見えなくても糞塊は徐々に減る様子が記録されるはずです。 
溜め糞場の近くでウロウロしている私を警戒してオオセンチコガネが地表に出てこないのだとしたら、捕食圧が高いことが予想されます。 
溜め糞場に通う野生動物や野鳥が糞虫を捕食したら面白いのですけど、トレイルカメラにそのような決定的瞬間が写るかどうか、楽しみです。

 舘野鴻『うんこ虫を追え(たくさんのふしぎ2022年6月号)』によると、
オオセンチコガネが活発に活動するのは、春と秋でした。もし春の観察に失敗すると、次の秋まで待たなければなりません。時間はあっという間にすぎていきました。(編集部より)
夏はオオセンチコガネの活動が低調なのでしょうか? 
この本の筆者と私は観察フィールド(地域と植生)がかなり違いますし、調べ方のアプローチも違います。
本に書いてあるオオセンチコガネの習性がどれだけ一般的なのか分かりません。 
実は、この本に書かれた筆者の(暫定的な)結論にちょっと納得できない(私の観察結果とずれている)点がいくつかあるのです。
例えば、この本では傾向としてセンチコガネの生息地が森林性でオオセンチコガネが草原性だと書いています。(棲み分け仮説)
今回私が観察している溜め糞場sは山林にあります。
また、雑食動物であるアナグマやタヌキの糞を与えてもオオセンチコガネは巣内で育児塊を作らなかった、と同書には記されています。(作るのはシカやウシなど草食動物の糞を与えたときだけ。)
私はタヌキの溜め糞でセンチコガネとオオセンチコガネを見つけたものの、アナグマの溜め糞では未だ見つけたことがありません。
私がこれまで夏に観察してきたのは、オオセンチコガネの成虫が獣糞から育児塊を作るためではなく、成虫が自分で獣糞を食べるための貯食活動なのかな?
偉大な先人の観察記録をありがたく参考にさせてもらいますが、結局のところ、自分のフィールドのことは自力で解明するしかありません。 
私は未だ糞虫の観察歴が浅いので、追試するだけで何年もかかりそうです。
オオセンチコガネが巣穴の奥でタヌキの糞を材料として育児塊を作ったかどうか、今季の私は発掘調査で確認できていません。 
本格的に調査するなら、山中でも牧場など糞虫の個体数が多いフィールドを選ぶべきかもしれません。

つづく→

2022/11/11

霧の立ち込める夜も池を飛び回るコウモリの群れ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年7月下旬
前回の記事:▶ 日没直後の黄昏時に水場を飛び回り始めたコウモリの群れ【トレイルカメラ:暗視映像】

山中の水場の周囲は湿度が高いので、気温が下がる夜には霧が断続的に発生します。 
冷たい湧き水(地下水)が溜まった池なので、夏は気温と水温の差が大きいのです。
その上空をコウモリが夜な夜な飛び回ります。 
コウモリは有視界飛行ではなく超音波によるエコロケーションですから、霧がかかっていても飛翔には全く支障がないようです。 
トレイルカメラの記録映像の中で、夜霧の中を飛び回るシーンをまとめてみました。 

ときどき夜蛾や蚊も暗い池の上を飛び回っていますが、そうした夜行性の昆虫をコウモリが空中で狩るシーンは一度も捉えたことがありません。 
コウモリが低く飛ぶと池の水面(しかも特定の場所)に一瞬だけ着水して波紋が広がるので、ツバメのように飛びながら水を飲んでいるのか、あるいは素早く体を濡らして水浴しているのだと考えています。 


シーン1:7/26・午後20:00 

シーン2:7/26・午後23:09 (@1:03〜) 
濃い霧が出ると、水面に触れたかどうか映像では見えなくなってしまいます。 

シーン3:7/26・午後23:37 (@1:30〜) 
煙のような濃い霧が風に巻かれています。 

シーン4:7/26・午後23:54 (@1:55〜) 

シーン5:7/27・午前1:03 (@2:03〜) 

シーン6:7/27・午前1:20 (@2:12〜) 
対岸の森から夜蛾が池に飛来し、その後を追うようにコウモリも飛んで来たものの、蛾には目も来れずに水面を掠めるように飛んで飲水しました。 
この夜蛾はコウモリの発する超音波に対してステルス性能を備えているのですかね? 

シーン7:7/27・午前1:57 (@2:43〜) 
霧がほとんど晴れたのですが、此岸付近から煙のように水蒸気が立ち昇っています。 

シーン8:7/27・午前2:07 (@3:17〜) 

シーン9:7/27・午前2:59 (@3:30〜) 

シーン10:7/27・午前3:29 (@3:41〜) 

シーン11:7/27・午前3:39 (@3:51〜) 
同一個体が池の上をグルグルと何周も回っています。 
水を飲むのが目的なら、水場上空に長居するのはなぜでしょう? 
途中から別個体も飛来しました。 
これだけ切り出して見ると、「霧がかかるとエコロケーションが不調になる」ように見えます。 

シーン12:7/29・午後21:50 (@5:19〜) 
風が吹かないと霧が停滞します。 
トレイルカメラの電池が消耗し、数秒間しか撮れていません。

シーン13:7/29・午後23:58 (@5:22〜) 
電池切れで数秒間しか撮れていません。



柳の樹液酒場に集うカナブン♂とコクワガタ♂

 

2022年7月中旬・午後14:05頃・晴れ
前回の記事:▶ 柳の樹液に集まるコクワガタ♂♀、シロテンハナムグリ、コムラサキ♀♂

河畔林の柳(樹種不詳)の樹液酒場へ4週間ぶりに来てみると、新しい顔ぶれが集まっていました。 
枝の小さな窪みの奥にコクワガタ♂(Dorcus rectus rectus)が潜んでいて、穴の外で吸汁しているカナブン♂(Rhomborrhina japonica)を大顎で牽制しています。 
樹液をめぐる激しい縄張り争い(占有行動)というほど激しくはありませんでした。
コクワガタ♂の大顎の長さが微妙に左右非対称(左>右)でゆがんでいるのは生まれつき(軽い奇形)なのでしょう。

カナブン♂の鞘翅は鈍いオレンジ色の構造色をしていて、雨の水滴が付着しています。 
口吻を伸縮させて柳の樹液を舐めています。 
河野修宏『雑木林で虫さがし―はっけんかんさつフィールドノート』p7によると、カナブンは前脚の脛節を見れば性別を見分けられるのだそうです。 
この個体は突起が鋭くないので♂と判明。

ハエ類(種名不詳)も数匹集まっていました。 
しばらくするとコクワガタ♂は体の向きを変え、穴の中(ミニ樹洞)に籠もってしまいました。 
それでも外から姿は丸見えです。 
この樹液酒場にコクワガタ♀が来るのを待ち構えているのでしょう。 
コクワガタ♂の背中にハエが乗ると嫌がり、その身動きでハエは逃げました。 

撮影後に手を伸ばして捕獲を試みると、カナブン♂は逃げてしまいました。 
ありあわせの単3乾電池ケースでコクワガタ♂を捕獲することができしました。 
プラスチックケースのサイズ(63×54mm)と比べれば採寸代わりになります。 
まずは仰向けにして腹面を確認。 
自力で起き上がると脱出し、地面に落ちました。 
舗装路で仰向けになっても自力ですぐに起き上がり、逃走開始。 
私の手に乗せてみても、とにかく元気で、すぐに掌から落ちてしまいます。 
採集したコクワガタ♂を持ち帰って飼育することにします。 

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