2026/02/14

シラカシ堅果の給餌箱を無視して貯食物を探すニホンリス【トレイルカメラ】

 



2024年11月下旬・午前9:40頃・晴れ 

里山の林縁に転がっている年季の入った倒木の端に給餌箱を設置し、拾い集めたシラカシの堅果(ドングリ)を一杯に入れておきました。 

昼行性のニホンリスSciurus lis)が給餌場に現れたのは、1週間も経ってからのことでした。 
倒木のほぼ中央に乗って奥の方を眺めているリスの後ろ姿が写っていました。 
倒木から林床にスルリと降りると、しばらく地面の下草(落ち葉?)を調べてから、再び倒木の同じ位置に登り直しました。 
今度は向きを変え、監視カメラの方を向いてくれました。 
倒木を伝って少し左へ移動すると、座って再び奥を見つめています。 

ちょっと高い展望台から周囲を警戒すると、再び倒木から地面に飛び降りました。 
手前の下草が邪魔でよく見えないのですが、どうやら地面を掘っているようです。 
倒木に登り直すと、後足で立ち上がりました。
このとき空荷だったので、過去に隠した貯食物を掘り出した訳ではなさそうです。 
お立ち台(倒木)から再び地面に飛び降り、手前の地面の同じ地点を何度も掘り返しています。 
最後は手前に立ち去りました。 

一連の行動を1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@1:32〜) 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
ニホンリスは見慣れない給餌箱に対して警戒しているのか、ドングリの詰まった給餌箱に一度も入ってくれませんでした。 
そもそもあまり好きでもないドングリなんか眼中になくて、過去に貯食物(オニグルミの堅果?)を埋めた場所を思い出すのに苦労していたのかもしれません。

今季試した給餌実験の結論として、シラカシのドングリは野ネズミにもニホンリスにも人気がありませんでした。 
念のために、もう一度ぐらい追試すべきかもしれません。 
どうしてシラカシ堅果がリスに不人気だったのか、Perplexity AIに質問してみました。 

Q1: ニホンリスがシラカシの堅果(ドングリ)を食べたり貯食したりする観察記録はあるか? 

A1: ニホンリスがシラカシ堅果(ドングリ)を食べたり貯食したりしたという、種を特定した詳細な観察記録は、少なくとも公開された代表的な資料の範囲では確認されていません。buna+1

1. ニホンリスのドングリ利用に関する一般論

  • 解説記事では、日本のニホンリスやキタリスは「タンニン含有率が高く渋みの強いドングリ類(カシ類)をあまり貯食しない」とされており、代わりにタンニンの少ないスダジイなどを好んで食べると書かれています。[buna]​

  • ニホンリスの食性と貯食を調べた古典的研究(加藤 1985)では、主要食物としてオニグルミ、アカマツ種子、カラマツ種子などが挙げられており、利用樹種は22種報告されていますが、要約部にはシラカシ(あるいはカシ類堅果)への直接の言及はありません。[cir.nii.ac]​

2. 「シラカシ限定」の記録が見当たらない理由の可能性

  • 報告論文では、多くの場合「カシ類」「ブナ科常緑広葉樹」といった群として扱われ、個々のカシ種(シラカシ・アラカシ等)まで同定・記載していないことが多いと考えられます。[cir.nii.ac]​

  • また、前述のようにカシ類ドングリは「ニホンリスはあまり貯食しない」とされ、研究者もクルミ類やマツ類など主要資源に焦点を当ててきたため、シラカシ利用があっても詳細に報告されていない可能性があります。[buna]​

3. 現時点で言えそうなこと

  • 公開されている代表的な研究・解説レベルでは、「ニホンリスがシラカシ堅果を食べる・貯食する」という種まで特定した観察記録は確認できませんでした。cir.nii+1

  • 一方で、「カシ類のドングリは渋みが強いため、ニホンリスはあまり貯食しない」という記述があり、少なくとも「主要な貯食対象ではない」という方向の一般的見解は示されています。[buna]​

4. フィールドで確認したい場合のヒント

  • シラカシ林・混交林で、リスが残した食痕(殻の割れ方、齧り痕の位置・パターン)を系統的に記録する。クルミやクリの食痕と比較すると識別しやすくなります。[iwate-shizen]​

  • 秋~初冬のリスの行動を継続追跡し、「運搬 → 埋設/樹上隙間への押し込み」といった貯食行動がシラカシ堅果で起きているかどうかを、個体ごと・樹種ごとに記録するのが有効です。[parks.or]​

まとめると、「シラカシのドングリをニホンリスが利用するか」という点は、少なくとも文献上では空白に近く、「あまり貯食しないカシ類」の中の一例として扱われている可能性が高い、という状況だと考えられます。cir.nii+1


【アフィリエイト】 


つづく→

ジンヨウイチヤクソウの花

2025年6月下旬・午後・くもり 

里山の雑木林を抜ける山道に謎の白い花が下向きに咲いていました。 
初めて見る植物なので写真に撮ってGoogleレンズ(Gemini)で質問すると、ツツジ科の草本植物でジンヨウイチヤクソウと教えてもらいました。 


残念ながら、訪花する昆虫を見かけませんでした。
薄暗い林床でストロボを焚いたら、白い花が少し白飛び。
上から見下ろす

カナムグラの葉を食べ歩きクズの葉裏に眼下腺マーキングするニホンカモシカ♂:両角欠け

 

2024年10月中旬・午後13:30頃・くもり 

里山をトラバースする林道を私が静かに歩いていたら、前方横の茂みからニホンカモシカ♂(Capricornis crispus)が慌てて山側に逃げました。 
このとき鼻息を荒らげて威嚇♪したと思うのですが、今となっては記憶があやふやです。 
(撮影はここから。) 

落ち着きを取り戻すと、カモシカは山腹を斜めにゆっくり登り始めました(ほぼトラバース)。
蔓植物にびっしり覆われた斜面を苦労して薮漕ぎしているというよりも、おそらく通いなれた獣道があるのでしょう。 

股間に睾丸が見えたので、性別が♂と判明しました。(@2:57〜) ニホンカモシカは外見の性差が乏しく、長々と観察しても外性器が見えるのはごくまれです。 

顔にズームインすると、角が短い個体でした。 
幼獣にしては体格がごついので注意深く見ると、左右の角の先端が欠けていました。 
おそらく成獣♂同士の喧嘩(縄張り争い)で角を突き合わせた際に、破損したのでしょう。 
その後に自分で角を研いで、短いながらもなるべく尖らせているようです。 
毎年角が生え変わるシカ♂とは異なり、カモシカ♀♂の角は再生しません。 
これだけ分かりやすい特徴(両角欠け)があれば、個体識別に使えます。 
記録を遡ると、同じ山系の尾根道で出会ったカモシカと同一個体かもしれません。 



ニホンカモシカ♂は獣道のあちこちで立ち止まって道草を食っています。 
ときどき短い尻尾を左右に振ったり、顔を振ったり、毛皮を器用にぴくぴく動かしたりして、しつこく集まって来る吸血性昆虫やハエ類を追い払っています。 

採食メニューを知りたくてズームインすると、どうやら蔓植物カナムグラの葉を食いちぎっていました。 
明らかに食餌植物の好き嫌いがあるようで、カナムグラだけを選んで食べています。 

関連記事(1ヶ月前の撮影@平地)▶ 蔓植物カナムグラの旋回運動【4000倍速映像】 


蔓植物でもクズの大きな葉をこのカモシカ♂個体は食べず、その代わりあちこちのクズの葉裏に顔を擦りつけました。 
眼下腺からの分泌物で縄張り宣言しているのです。 

有蹄類の草食獣でも食性からグレイザーに分類されるホンシュウジカとは異なり、ブラウザーのニホンカモシカは笹などグラミノイドの葉を全く食べません。 
この点は本で読んだ通りです。
この急斜面は毎年冬になると雪崩が多発するため、激しい撹乱によって樹木はほとんど育つことが出来ません。 
低山なのに草本植物しか生えない森林限界?のような植生になっています。 
カモシカは落葉性広葉樹の葉を好んで食べると言われているのですが、ここでは広葉草本を選択的に採食しています。 

このカモシカ個体がキイチゴ類の葉を食べなかったのは、茎が鋭い棘で守られているからでしょう。 
シダ植物(ワラビ?)の葉も一度も口にしませんでした。
カモシカ研究者が書いた本によると、餌の乏しい冬になればシダを食べるらしい。

ミゾソバのピンクの花や白い花も咲いているのに、花の匂いを嗅いだだけで食べませんでした。(@6:17〜) 
これは興味深い(意外な)観察結果です。 
これまでトレイルカメラによる撮影では、同じ山系で暮らすニホンカモシカは秋になると湿った林道に咲いたミゾソバを食べに複数個体が繰り返し通っていたからです。 

関連記事(2年前の撮影)▶  

カモシカ♂はときどき頭を上げると、私をじっと見下ろしながら臼歯で餌をもぐもぐと咀嚼しています。 
私から安全な距離を取っている上に、カモシカにとって有利な高所に位置しているので、さほど警戒していません。 
もしかすると、近視のカモシカの目にはもう私の姿がよく見えないのかもしれません。 

曇天ですがニホンアマガエルHyla japonica)が鳴いたので♪、これから雨が降りそうです。 


【考察】
直接観察でカモシカの採食メニューのひとつを突き止められたのは、嬉しい収穫です。 

Perplexity AIで掘り下げてみました。
食害を防ぐために二次代謝物(毒)を蓄積する戦略はコストがかかるので、カナムグラは選ばなかったらしい。
それなのに、カナムグラの葉を食べる野生動物は意外にも知られていないそうです。
昆虫ではキタテハ幼虫の食草として有名です。
カナムグラは蔓に棘が生えていて、食べると苦味が強いのだそうです。



※ 編集時に動画素材の順番を入れ替えました。 
後半部(8.05〜)は撮り初めの記録なのですが、茂みに隠れて採食シーンが上手く撮れませんでした。(採餌植物が不明) 
山中で私と鉢合わせして逃げた直後なので、初めはやや緊張しているようです。
私はいつも同じ服装で山に入るようにしているので、顔馴染みのヒト(人畜無害な奴)だとすぐに認識して安心したようです。
視覚ではなく嗅覚(私の体臭)で私を認識しているのかもしれません。
いまいちの映像とは言え、せっかく撮れたのに丸々カットするのも惜しいので、最後に付け足しました。 


【アフィリエイト】 

2026/02/13

晩秋のアナグマの空き巣をうろつき落枝を噛むホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年11月下旬・午後19:45頃 

落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)に♀♂ペアと思われる2頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が晩に登場しました。 
頻繁にやって来るのに、なぜかアナグマの巣穴に潜り込もうとはしません。 

巣口LRの中間地点で♀が身震いし、林床で何か虫を採食すると、林縁に居た♂個体が駆け寄りました。 
分け前をねだるような素振りをしてから、パートナー♀の尻の匂いをすれ違いざまに嗅ぎました。 
晩秋からこの行動が増えてきたのですが、おそらくタヌキ♂が♀の発情状態を確認しているのでしょう。 

タヌキ♀はアナグマの巣口Rを点検してから右へ立ち去りました。 
後続個体♂が♀の後をぴったり付き添って追いかけながら、再び♀の尻の匂いを嗅ぎました。 

最後に♂は、目の前にぶら下がっていた落枝の端を噛んで味見をしました。 
よほど空腹なのでしょうか。 
何か欲求不満の転移行動なのかもしれません。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

フレンチマリーゴールドの花蜜を吸うシロオビノメイガ(蛾)

 

2024年10月中旬・午後14:30頃・晴れ 

道端の花壇に咲いたフレンチ・マリーゴールドシロオビノメイガSpoladea recurvalis)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

口吻を伸縮させて吸蜜しています。 
糸状の長い触角が秋風になびいていますが、本種は触角で性別は見分けられません。 

飛び立って次の花に向かうかと期待したのですが、しばらくすると同じ頭花で静止しました。 
口吻の動きも見られなくなり、日光浴してるだけかもしれません。

2026/02/12

晩秋の水場を夜にうろつくハクビシン【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年11月下旬・午後19:30頃・気温11℃ 

里山を流れる沢の源流で湧き水が溜まった小さな泉があります。 
その水場を久しぶりに自動撮影カメラで見張ると、ある晩ハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)が写っていました。 
池畔の崖を下りてきたのか、画面の左端に突如登場しました。 
夜行性の動物の中でもハクビシンの目のタペータム(輝板)はかなり高性能らしく、暗視カメラの赤外線を反射して白くギラギラと光ります。 
落ち葉が堆積した岸辺を歩いて手前に消えました。 
此岸の崖を一気に駆け上がったのかもしれません。 
水を飲むでもなく、水浴するでもなく、何しに水場に来たのか不明です。 
獲物となるカエルやサンショウウオなどは池から出て、どこか安全な場所で冬眠しているはずです。 


つづく→

晩秋の落葉二次林で夜明け前に餌を探し始めたトラツグミ【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年11月下旬・午前6:15頃・気温1℃・日の出時刻は午前6:27 

まだ暗い夜明け直前に、落葉した二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)にトラツグミZoothera aurea)が現れました。
トラツグミは留鳥なのに、 この地点で監視カメラに写ったのは1年ぶりです。
二次林の葉が生い茂る夏には現れず、晩秋に落葉しないとやって来ないようです。
羽根の地味なカモフラージュ模様が見事で、林床で静止すると周囲の落ち葉に紛れてしまいます。(保護色、隠蔽擬態) 

ホッピングではなくウォーキングで断続的に林床を歩き回り、餌を探しています。 
今回は落ち葉めくりや足踏み追い出しによる採食行動(虫の捕食)は見られませんでした。 
すっかり寒くなったので、もう虫は安全な場所に隠れて休眠越冬しているのでしょう。 

何かに警戒したのか、トラツグミは急に方向転換してから、羽ばたきながら慌てて手前へ逃げ出しました。 

※ 最後だけ羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

2026/02/11

晩秋にカキノキの下でニホンザルの群れが落果を拾い食い・木登り【トレイルカメラ】

 

2024年11月下旬

シーン0:11/27・午後13:21・くもり・気温24℃(@0:00〜) 
カキノキの下に散らばっていた落果を1箇所にまとめて、計10個の落柿を自動撮影カメラで見張っています。 

ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の登場シーンを以下にまとめました。 


シーン1:11/30・午前9:50・小雨・気温3℃(@0:02〜) 
冷たい雨がぱらつく朝に、柿の木の下に座った猿が落柿を両手で持って拾い食いし始めました。 
監視カメラに背を向けて座ったニホンザルの毛皮は雨で少し濡れています。 
果肉だけ食べ、熟柿の果皮や種子は吐き出しました。 
食べながらときどき振り返ってくれたおかげで、食餌シーンがしっかり撮れました。 
猿は次の落柿を拾って2個目を食べ始めました。  

食事中も常に左右をキョロキョロ見回して警戒しています。 
群れと一緒に行動しているはずですが、仲間の姿は写っていません。 
やがて猿はカキノキの幹に飛びついて登り始め、画角の外に消えました。 

シーン2:11/30・午前9:57・小雨・気温3℃(@1:56〜)
さっきの個体が柿の木から地上に下りたばかりなのか、それとも別個体が来たのか、給餌場で拾った落柿を口に咥えて右下に持ち去りました。 

シーン3:11/30・午前10:14・くもり・気温3℃(@2:02〜) 
約15分後、雨は止んだようです。 
通りすがりの猿が悪戯したのか、監視カメラの画角がいつの間にか斜めになっていました。 

左手に落柿の欠片を持った幼い子猿がカキノキの根元で木登りしようとしていました。 
まだ上手く登れず地面に滑落したら、手前から別個体が登場しました。 
てっきり子猿の母親♀なのかと思いきや、給餌場を素通りして子猿にも構わず、すぐに左へ立ち去りました。 
給餌場に残った子猿は落柿を食べ始めました。 

カキノキ樹上に登っていた別個体が左奥の地上に飛び降り、左上奥のスギ林縁に向かって歩き去りました。 
やがて子猿も食べかけの落柿を持ったまま、左へ走り去りました。 
その後もカキノキ樹上からときどき物が次々に落ちてくるということは、別個体の猿が樹上採食しているようです。 
風で揺れる動きではありません。 

シーン4:11/30・午前10:26・くもり・気温4℃(@2:41〜)
左からニホンザルの成獣がやって来ました。 
周囲を見渡したのに給餌場の落柿には目もくれず、カキノキの幹に飛びつくと、木登り開始。 
画角の外に消えたので、採食シーンは撮れませんでした。 
ときどきカキノキ樹上から食べかすが落ちてきます。 

シーン5:11/30・午前10:32・くもり・気温5℃(@2:52〜) 
おそらく同一個体が樹上から地面に跳び下りたようです。 
給餌場の落柿には興味を示さず、左に立ち去りました。 


つづく→

トレイルカメラのザトウムシ対策で粘着トラップを試してみる(その5)ガガンボも捕獲

前回の記事:▶ トレイルカメラのザトウムシ対策で粘着トラップを試してみる(その4)マダラカマドウマやツノアオカメムシなども捕捉 

2024年11月上旬・午後・晴れ 

平地の二次林でニホンアナグマの巣穴Lを見張る監視カメラW付近の粘着テープには、ザトウムシの仲間の自切した歩脚が付着したまま残されていました。 
数は一時よりも減っていました。
巣穴Rを見張る監視カメラN付近の粘着テープには、ガガンボの一種の死骸が丸ごと付着していました。
トレイルカメラの映像にときどき写る、脚の長い虫はてっきりザトウムシ類かと思っていたのですが、ガガンボ類も含まれていた可能性が出てきました。
 

ノボロギクの花蜜を吸い飛び回るキタキチョウ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年10月下旬・午後14:45頃・晴れ 

刈田(稲刈り後の田んぼ)の農道に咲いたノボロギクの群落でキタキチョウEurema mandarina)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
キタキチョウはいつものように翅をしっかり閉じて吸蜜しています。 
陽射しが強いので白飛び気味で、翅裏の斑点模様がよく見えません。 

キク科植物のノボロギクは筒状花だけで構成され、舌状花は退化しています。 
キタキチョウが伸ばした口吻をよく観察すると、口吻の先端をノボロギクの筒状花に差し込むのに苦労していました。 
この映像では毎回口吻を蜜腺まで差し込めずに諦めて飛び去ってるように見えるのですが、繰り返しノボロギクの群落に訪花するということは、なんとか吸蜜できているのでしょう。 

キタキチョウがノボロギクの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:51〜) 
逆光のアングルになると、強い日差しを浴びて翅表の斑紋や胴体が翅裏まで透けて見えました。 

実はこの後、訪花中にキタキチョウの別個体が飛来し、誤認求愛または交尾拒否が繰り広げられたのですけど、残念ながら撮り損ねました。 

花が咲き終わったノボロギクでは白い綿毛が開き、風になびいていましたが、自然に飛散する程の強風ではありませんでした。 
ノボロギク種子の風散布を動画に撮ろうと、私が綿毛を蹴り飛ばしても飛んでくれませんでした。(映像なし) 
種子がまだ充分に熟していないのか、綿毛が乾燥していなかったのでしょう。 
このテーマは次回の宿題です。

2026/02/10

晩秋にカキノキの下で夜な夜な落果を拾い食いするホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年11月下旬

シーン0:11/25・午前後・気温(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
畑の端に立つカキノキの果実が熟して落ちていました。 
計8個の落果を拾い集めて一箇所にまとめ、カキノキの木の下に来る野生動物を自動撮影カメラで監視することにしました。 
落果の味見をしてないので、甘くなった柿と渋柿を見分けられません。 

ちなみに、今秋カキノキの葉は紅葉しませんでした。 
葉が緑のまま、ほぼ完全に落葉してしました。 
これも異常気象の影響かもしれません。 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の登場シーンを以下にまとめました。 


シーン1:11/26・午前4:04・気温-4℃(@0:03〜) 
深夜未明に獣道を左からタヌキのペアabが相次いで登場しました。 
慎重に給餌場へ近づくと、後続個体bはすぐにカキノキ落果を見つけ、その場で食べ始めました。 
その間に警戒心の強い先行個体aは左へ引き返してしまいました。 

後続個体bは少し前進すると、給餌場で見つけた大き目の柿の実を口に咥えました。 
少し手前に運んでから、食べ始めました。 
しばらくすると、ようやく先行個体aが恐る恐る給餌場の柿の実を咥えました。 
少し左に運んだだけで、なぜかその場に捨てて餌場に戻りました。 
別な落果を選ぶと、咥えて足早に左へ運び去りました。 
監視カメラの存在に気づいて警戒しているのでしょうか。 
後続個体bが手前で食べ続けている柿の実の果肉は少し硬そうです。 

シーン2:11/26・午前4:09(@2:02〜)
左に立ち去るタヌキの尻尾だけ写っていました。 


シーン3:11/26・午前4:14(@2:07〜) 
左の獣道を通って来たタヌキが給餌場に近づきました。 
林床の匂いを嗅ぎ回っている間にふとカメラ目線になりました。 

タヌキは大きな柿の実を一度は咥えたのに、滑って落としてしまいました。 
同じ落果を拾い直し、左に運びかけたものの、細い落葉灌木に引っかかりました。 
夜の暗闇でタヌキは目があまり見えてないようです。 
方向転換して手前に少し運ぶと、地面に置いて柿の実を食べ始めました。 
果皮や種子を吐き出さず、軽く咀嚼しただけで一口ずつ丸呑みしています。 

やがて左から後続個体が登場。 
餌場の匂いを嗅ぎながら右に素通りしかけたところで、2分間の録画が終わりました。 


シーン4:11/26・午前4:17(@4:07〜) 
後続個体が右へ立ち去るところでした。 
柿の実を口で運んではいませんでした。 
先行個体の姿はもうありませんでした。 


シーン5:11/26・午後20:56・雨天・気温11℃(@4:13〜) 
同じ日の晩には、小雨が降っていました。 
画面の左端で右往左往していたタヌキが給餌場に戻って来ると、落ち葉の匂いを嗅ぎ回っています。 


シーン6:11/26・午後20:59・雨天(@4:38〜) 
右下へ立ち去ったタヌキは柿の実を口に咥えていませんでした。 
そのままカキノキの周囲をぐるっと回りながら、落柿を探しているようです。 
手前の獣道を右へ立ち去りました。 


シーン7:11/27・午前0:58・雨天・気温10℃(@5:18〜) 
日付が変わった深夜に、右から給餌場に来たと思われるタヌキが柿の実を食べていました。 
毛皮が雨で濡れています。 

タヌキは落果をかじるだけでなく、舌でペロペロ舐めました。 
ついに1個を完食して飲み込みました。 
舌舐めずりをすると、次の落果を探して奥へ移動したところで、2分間の録画が終わりました。 


シーン8:11/27・午後13:02・くもり・気温17℃(@7:18〜)
ちょうど半日後の明るい日中に撮れた現場の様子です。 
給餌場には落柿が2個しか残っていませんでした。 
6/8個は野生動物に食べられたことになります。


【考察】 
野生動物への給餌(餌付け)を、特に人家に近い場所でやるのは色々と問題をはらんでいます。 


しかし今回は、私が餌を外から持ち込んだのではありません。 
撮影しやすいように、果樹の下に散乱していた落果を移動して一箇所にまとめただけなので、給餌には該当しません。 
(個々の移動距離はせいぜい数m。)
もちろん私はカキノキの落果を1個も持ち去っていませんし、味見もしていません。
専門的にはカキノキ落果のパッチ操作実験、資源配置操作実験、自然資源集積実験、落果集積実験などと色々な言い方をされるらしいのですが、ちょっとした実験の真似事をしてみたのです。 

秋になるとタヌキの溜め糞場でカキノキの丸くて平べったい種子が未消化のまま糞と一緒に排泄されるようになります。 
したがって、タヌキが柿の実を食べることは予想されていたのですが、実際に採食シーンを撮影できてミッシングリンクが埋まりました。
カキノキの種子は被食型で動物散布されることになります。 
タヌキがカキノキの落果を口に咥えて少し運んだだけでも(たとえ食べずに捨てても)、植物の種子にとっては母樹から少し移動したことになり、ありがたい散布者です。 
撮れた映像を見る限り、タヌキはカキノキに登りませんでした。(木登りは苦手?)

樹上に残った熟柿を食べに来る動物や野鳥を監視カメラで撮るのが次のテーマとなります。


つづく→


【アフィリエイト】

メタセコイア雄花のつぼみ

2024年10月上旬・午後・くもり

初めて立ち寄った某公園にメタセコイア(=アケボノスギ)の大木が聳え立っていました。 
枝先から花穂が垂れ下がっていたのが珍しく、写真に撮りました。 


調べると、メタセコイアの雄花序らしい。
正確に言うと、まだ秋なので、花が咲く前の蕾のようです。 
今まで全くメタセコイアの花のことを意識したことがありませんでした。
(生きている化石メタセコイアの)花は、葉が芽ぶく前の2〜3月。雄花の花穂は長枝の先から垂れさがり、緑色の小さな雌花は長枝から伸びでた短枝に1個ずつ対生する。 (森の休日2『探して楽しむ:ドングリと松ぼっくり』p70より引用)

関連サイト:メタセコイアに花が咲く?紅葉前の特別な光景を見に行ってきました!


【アフィリエイト】 

晩夏の田んぼでスズメを追い払うLPG式爆音機【FHD動画&ハイスピード動画】鳥害対策

 

2025年8月下旬・午後14:20頃・晴れ 

晩夏の田んぼでは黄金色の稲穂が順調に育っています。 
米どころ山形県の田んぼでは、稲穂が実るとスズメなど種子食性の鳥に食害されないように、爆音機(スズメ追い)を使って追い払います。 
昔はカーバイド(炭化カルシウム)爆音機が使われていました。 
水とカーバイドが反応して発生するアセチレンガスに定期的に着火して、その爆発音で鳥獣を追い払うのです。 
近年では、より安全なプロパンガス(LPG)を使った爆音機が開発されて切り替わりました。 

以前、手持ちカメラでスズメ追いの爆音機を動画に撮ってみたのですが、いくら身構えていても、爆音が炸裂する度にどうしてもビクッと手ブレしてしまいました。 
今回は三脚を持参して、じっくり撮影に挑みます。 



T字型の赤い金属パイプが畦道に設置され、プロパンガスのボンベにつながっています。 
赤いパイプの一部(左側半分だけ)が黒いススで汚れていたということは、LPGの爆発は不完全燃焼のようです。 
ストップウォッチで測ると、70秒間隔で着火するようにタイマー設定されていました。 
LPGが爆発する度に、爆発音が裏山で反響します。 
セミやコオロギなどの虫たちは、爆音機の定期的な騒音でも気にせず鳴いていました。 
ファーブル昆虫記』で読んだ、樹上でやかましく鳴くセミの真下で大砲をぶっ放した有名な実験を思い出しました。 
しかし、昨今は異常気象の高温・猛暑で昆虫の数が激減しているようで、気がかりです。

 薄暗い夕方になれば、爆発の瞬間に爆音機のパイプから炎が見えたかもしれません。 
しかし今回は耳栓を持参するのを忘れてしまい、鼓膜に負担がかかる過酷な撮影を長く続けられませんでした。 

※ 動画の録音ではなぜか爆音がマイルドに抑えられていたので、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 (それでも実情を伝えるには物足りません)
同じ商品かどうか分かりませんが、ネット検索で見つけたタイガー製の爆音機「ジェットバング」の仕様書には「音の大きさ(10m地点) 100~120デシベル」と書いてありました。
ドーン!というメインの爆音の直後に、金属の表面に何か小さな物体が当たったような衝撃音(チュイーンという反響音)が必ず聞こえます。 


爆発する瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:08〜) 
※ 動画編集時に自動色調補正を施しました。 
全体の色味がやや不自然になってしまうのですが、パイプの両端からの衝撃波や熱風(爆風)が陽炎のように可視化されました。 
スーパースローでも筒の開口部から炎は見えませんでした。 


この広大な田園地帯では鳥害対策として爆音機だけに頼らず、古典的な案山子や、捕食者のタカに擬態した凧も併用していました。 
カメラをパンして、新旧の鳥よけグッズを続けて動画に撮りました。 
背後の車道と田んぼの境界には電気柵が設置されつつあります。 
裏山から降りてくる野生動物(ニホンザルやニホンイノシシなど)の侵入を防除するためでしょう。 


【アフィリエイト】鳥害の防ぎ方


【考察】 
LPG式鳥獣害防止用爆音機の防鳥効果は? 
この日、スズメやムクドリ、カワラヒワなど種子食性の害鳥を田んぼで見かけませんでした。 
それに対して、アオサギやダイサギは爆音に馴れている印象を受けました。 
アオサギが爆音器から少し離れた田んぼや用水路で普通に採餌活動していました。 
私が農道を歩いて近づくと、アオサギは警戒して鳴きながら飛び去り、空中で脱糞しました。(映像なし) 

爆音機の設置と関係ない話ですが、この夏(2025年)は田んぼのカラスが激減していたのが気がかりです。 
異常に高い気温で夏の餌となる虫が少なかったせいではないかと推測しています。


LPG式鳥獣害防止用爆音機について、ChatGPTを質問攻めにして色々と教えてもらいました。

Q1: 農作物を鳥獣害から守るカーバイド式の爆音機が廃れて、LPGガスを燃料にするようになった理由は?

A1: 主な理由は、安全性・法規制・運用のしやすさの三点に集約できます。

1) 安全性の問題(最大の理由)
カーバイド(炭化カルシウム)は水と反応してアセチレンガスを発生させますが、

  • 反応が不安定で、発生量の制御が難しい

  • 湿気や雨で暴発・異常燃焼を起こしやすい

  • 取扱い時の火傷・爆発事故が過去に多数あった
    といったリスクがありました。特に高齢者が単独で管理するケースが多い農村では事故防止が大きな課題でした。

2) 法規制・コンプライアンスの強化
アセチレンは可燃性・爆発性が高く、保管や使用に関して

  • 消防法

  • 労働安全衛生法

  • 自治体レベルの火災予防条例
    などの規制が年々厳しくなりました。
    一方、LPG(プロパン・ブタン)は

  • 家庭用・業務用で広く普及

  • 規格化されたボンベ・調整器があり

  • 使用実績と安全基準が明確
    という点で、行政的に「許容しやすい」燃料です。

3) 運用の安定性・省力化
LPG方式は

  • ガス圧と噴射量を一定に保てる

  • 雨や湿度の影響をほぼ受けない

  • 点火間隔をタイマーで正確に制御できる
    ため、音量・間隔が安定します。
    これは「慣れ(学習)」を防ぐという鳥獣害対策上の利点にもなります。

4) 供給とコストの現実
カーバイドは現在では

  • 需要が激減

  • 取扱店が少ない

  • 危険物扱いで輸送コストが高い
    という状況です。
    LPGは農村部でも入手が容易で、交換・補充の仕組みが既に整っています。

まとめ
カーバイド爆音機が姿を消したのは、
「音の効果が劣るから」ではなく、
事故リスクが高く、法的にも扱いにくく、現代の農業現場に合わなくなったためです。
LPG方式はその代替として、安全性・管理性・制度面でのバランスが取れていた、というのが実情です。

なお、最近は爆音機自体を減らし、電気柵・レーザー・忌避剤・不規則制御音などを組み合わせる方向へもシフトしています。これも「慣れ」と近隣住民への騒音問題が背景にあります。



Q2: 正確に○秒間隔で爆発させると、鳥に慣れが生じるのが早いのでは? むしろ次にいつ爆発するか予測できさせないよう不定期に(間隔にゆらぎをもたせて)爆発するほうが効果的なのでは?

A2: はい、その直感はかなり的確です。

「正確すぎる周期」は、むしろ慣れを加速させるというのが、行動学的には自然な理解です。

整理すると、ポイントはこうなります。


1) 鳥は「音」ではなく「予測可能性」に慣れる

多くの鳥類は、

  • 爆音そのもの

  • 音量の大きさ

よりも、

  • 次に何が起こるか予測できるか

  • 自分に実害があるかどうか

を学習します。

正確に○秒おきに鳴る音は、

「あ、また来るな。で、何も起きない」
という時間的予測を非常に作りやすい。

結果として

  • 爆音直後に一時的に飛び立つ

  • しかし数分〜数日で再侵入
    というパターンが早く成立します。


2) 不定期・ゆらぎは「安全確認」を妨げる

間隔にランダム性(ゆらぎ)があると、

  • 「今は鳴らなかったから安全」

  • 「次も同じタイミングだろう」

という安全仮説を立てにくくなります。

これは行動学でいう
予測誤差(prediction error)を維持する
状態で、警戒行動が長続きします。

特に有効なのは:

  • 10秒〜数分単位でランダム

  • 日によってパターンが変わる

  • 時々「連続爆発」や「長い沈黙」を混ぜる

といった、「法則が見えない」設計です。


3) 「安定制御」は運用上の利点であって、生態学的利点ではない

前の回答で触れた

点火間隔をタイマーで正確に制御できる

という点は、

  • 機械が暴発しない

  • 音量が一定

  • 管理者が安心

という人間側の利点です。

生物学的には、

  • 安定 = 学習しやすい

  • 不安定 = 学習しにくい

なので、
「正確に制御できる」ことと「正確に鳴らす」ことは別
と考えるのが重要です。


4) 実務ではどう使われているか

実際の現場では、

  • LPG式爆音機 + 不規則タイマー

  • 日中のみ作動、時間帯は日替わり

  • 爆音機+人の出入り+視覚刺激の併用

など、不確実性を積み重ねる運用が効果的とされています。

逆に、

  • 毎日同じ時刻

  • 同じ間隔

  • 同じ場所

の三点が揃うと、慣れは非常に速いです。


結論

正確に○秒間隔で爆発させると慣れが早いのでは?

その通りです。

**爆音の抑止力は「音」ではなく「次に何が起きるかわからないこと」**にあります。
LPG化で得られた「制御性」は、本来は

  • ランダム化

  • パターン変更

  • 他手段との組み合わせ

に使われるべきもので、
単純な定周期運転は、むしろ最悪に近い使い方と言えます。



Q3: 以前夕方の薄暗い時刻に見た爆音機は、爆発の瞬間にパイプの先端から炎が見えた。これはカーバイド式のアセチレンガスでもプロパンガスでもどちらでもありえることか?


A3: 結論から言うと、どちらでも起こりえます

ただし、見え方と起こりやすさにははっきりした違いがあります。


1) カーバイド式(アセチレン)の場合

炎が見えるのは十分あり得ます。むしろ典型的です。

理由は物理・化学的に明確で、

  • アセチレンは燃焼速度が非常に速い

  • 混合比がやや濃いだけで「燃焼波」がパイプ外まで伸びやすい

  • 燃焼が不完全だと黄白色で明るい炎になる

その結果、

  • 爆発音と同時に

  • パイプ先端から舌状の炎が一瞬噴き出す

という現象がよく起こります。
特に夕方の薄暗さでは、昼間は気づかない程度の火炎でもはっきり視認できます。

実際、昔のカーバイド爆音機では
「音+火が出る」
という状態が半ば常態でした。


2) LPG式(プロパン)の場合

これも条件次第で起こりますが、性質はやや違います。

LPGは

  • アセチレンより燃焼速度が遅い

  • 完全燃焼に近いと青白く、目立ちにくい

  • ガス圧・ノズル設計で燃焼位置を制御しやすい

ため、正常状態では炎が外に出にくいです。

ただし、

  • 点火タイミングが遅れる

  • 一時的にガスが溜まる

  • 消炎構造が簡略な旧型・安価モデル

では、

  • 爆発の瞬間に

  • 短い青〜橙色の炎がパイプ先端に見える

ことは十分あります。

つまり、
LPG式でも「炎が見えたから異常」とは限りません。


3) 観察された状況からの推定

あなたの記述は、

  • 夕方の薄暗い時刻

  • 爆発の瞬間に炎が見えた

  • 野外設置の爆音機

という条件なので、

  • カーバイド式なら非常にありふれた光景

  • LPG式でもあり得るが、設計や状態に依存

という位置づけになります。

もし炎が

  • 黄色く大きめ

  • パイプ外に明確に噴き出した

  • 爆発ごとに毎回見えた

なら、カーバイド式の可能性がやや高い

一方で、

  • 青っぽく

  • ごく短く

  • たまにしか見えない

なら、LPG式でも十分説明できます


4) 補足:なぜ「見える炎」は問題視されるようになったか

近年カーバイド式が敬遠された理由の一つがまさにここで、

  • 外部に火炎が出る

  • 可燃物(枯草、藁)に引火しうる

  • 見た目にも「危険そう」

という点でした。

LPG式は
「音は大きいが、火は見えない(ように設計できる)」
ことが、近隣・行政の受け止めとしても重要でした。


まとめ

  • 爆音機のパイプから炎が見える現象は
    アセチレンでもプロパンでも起こりうる

  • ただし

    • 起こりやすさ

    • 炎の大きさ・色・頻度
      には違いがある

  • 観察条件次第では、カーバイド式のほうが「らしい」ケースも多い


Q4: 爆音機をデジカメの動画で撮ると、耳の鼓膜だけでなく全身に響くぐらいの爆音+衝撃音がかなりマイルドに録音されていた。デジカメの動画は急な大音量をカットするように設計されているのか?


A4: はい。ほぼ確実に「そうなるように設計」されています。

爆音機がマイルドに録音されたのは、偶然ではありません。


1) デジカメ動画は「爆音をそのまま録らない」前提

一般的なデジカメ(コンデジ・ミラーレス・一眼の動画モード)は、

  • 視聴者が不快にならない

  • スピーカーやイヤホンを壊さない

  • マイクや回路を保護する

ことを最優先に設計されています。

そのため、
瞬間的に大音量が入ると自動的に抑え込む仕組みが必ず入っています。


2) 主犯は AGC(自動ゲイン制御)とリミッター

● AGC(Automatic Gain Control)

  • 音が小さい → ゲインを上げる

  • 音が大きい → 瞬時にゲインを下げる

爆音機のような
「普段は静か → 突然ドン!」
という音は、AGCにとって最悪の相手です。

結果:

  • 立ち上がりが潰れる

  • 直後の音量も一気に下げられる

  • 体感的な衝撃が消える

● リミッター/コンプレッサ

さらに安全装置として、

  • 一定レベル以上を強制的にカット

  • 波形のピークを平らに潰す

処理が入ります。
これは鼓膜に来る衝撃音をほぼ消す効果があります。


3) マイク自体も爆音に弱い

内蔵マイクは、

  • 人の会話(60〜70 dB)

  • 環境音(〜90 dB程度)

を想定して設計されています。

爆音機は、

  • 瞬間的に 120〜140 dB 相当

  • しかも衝撃波成分を含む

ため、

  • マイクが物理的に追従できない

  • 振動板が飽和

  • 電気信号が頭打ち

という物理的な歪み → 電子的に丸め込み
が同時に起こります。


4) なぜ「衝撃」が録れないのか

重要なのは、
**爆音機の怖さは「音圧変化の速さ」**にあります。

  • 鼓膜が一気に押される

  • 体で感じる圧力変化

これは、

  • マイクの周波数特性

  • サンプリング

  • AGCの時間応答

のどれでも再現できません。

つまり
デジカメ動画は、爆音機の本質をそもそも録れない
ということです。


5) 例外:本当に近づくとどうなるか

爆音機にかなり近づいて撮ると、

  • 音が「割れる」「パチン」と軽くなる

  • 直後が無音になる

  • 風切り音だけ残る

ことがあります。
これはAGCが一気に絞り切って回復に時間がかかる典型例です。


まとめ

  • デジカメ動画は
    急激な大音量を自動的に抑える設計

  • AGC・リミッター・マイク物性の三重防御が働く

  • 爆音機の
    「鼓膜に来る衝撃」はほぼ必ず消える

  • これは欠陥ではなく、完全に意図された挙動

現地で「こんなに怖いのに、動画だと全然伝わらない」
という感覚は、正しい観察です。



Q5: ドーンという爆発に続いて聞こえるカツーン(またはチュイーン)という金属音が気になりました。爆発の衝撃でプロパンガスのボンベ(金属製)やT字型のパイプに何か小石や砂が当たっているのかと思ったのですが、どこから飛んでくるのか不明です。マイクの仕様限界から来るアーティファクトの音なのですか? 畦道に設置された爆音機の結構近くに三脚を立てて動画を撮りました。 


A5: 結論から言うと、その「カツーン」は実音である可能性も高いが、同時にデジカメ側の限界が“金属音っぽく変換してしまう”ことも十分あり得る、という二重構造です。

状況描写(至近距離・三脚固定・爆音)から見ると、後者がかなり強く疑われます。

順を追って整理します。


1) まず「物理的に何かが当たっている」可能性

直感的に考えた

小石や砂がボンベやパイプに当たった

これは完全に的外れではありませんが、実際には起こりにくいです。

  • 爆音機の燃焼・爆発は

    • 内部圧力は瞬間的に上がる

    • しかし外向きに物体を射出するほどの噴流はほぼない

  • 地面の砂利が跳ねるほどの風圧が出るなら

    • 枯草が明確に舞う

    • 周囲に連続的なガサガサ音が出る

通常そこまでの運動量はありません。

また、

  • ボンベやT字管は固定されている

  • 外部から何かが毎回当たるならランダム性が出る

はずですが、
多くの人が言う「カツーン」は
毎回ほぼ同じタイミング・同じ音色です。

ここはすでに「物が飛んできて当たる音」らしくない。


2) 実は「機械そのものが鳴っている」可能性

次に考えるべきは、

衝撃で金属構造物が鳴る(共鳴する)

というケースです。

  • 爆発音(低周波・衝撃波)

  • → フレーム、パイプ、支持金具が一瞬たわむ

  • → 固有振動数で「キン」「カン」「ツーン」と鳴る

これは十分あり得ます。

ただし重要なのは、

  • 人の耳では

    • 爆音にマスクされて

    • あまり目立たない

  • マイクでは

    • 爆音が潰れ

    • その後に残る中高域だけが強調される

という点です。

つまり
実際には「ゴン+キーン」なのに、動画では「ドン(弱)+カツーン」になる


3) マイク由来アーティファクトの可能性(かなり高い)

ここが本丸です。

あなたが書いた

耳の鼓膜に響くぐらいの爆音

  • 衝撃音がかなりマイルド
    なのに「カツーン」が目立つ

これは、AGCと入力段飽和の教科書的症状です。

何が起きているか

  1. 爆発音の瞬間

    • マイク入力が限界を超える

    • 波形が頭打ち(クリップ)

  2. AGCが瞬時にゲインを絞る

  3. 低周波の衝撃成分は

    • ほぼ潰れる/切られる

  4. その直後に来る

    • 中高周波の「残響」「共鳴」「反射音」だけが

    • 相対的に強調される

結果として、

  • 実際には副次的な音だったものが

  • **「金属を叩いたような鋭い単音」**に聞こえる

これが
「パチン」「カツーン」「キン」
と表現されがちな音の正体です。


4) なぜ「金属音」に聞こえるのか

人間の聴覚は、

  • 短い

  • 高めの

  • 立ち上がりが鋭い

音を、無意識に
**「硬い物が当たった音」**と解釈します。

デジカメの音声処理は、

  • 爆音を削る

  • 残った鋭い成分を圧縮せず残す

ため、
実在しない“金属打撃音らしさ”を作り出す

つまりこれは

  • 音源そのものではなく

  • 録音系が作った知覚上の産物

である可能性が高い。


5) 近距離・三脚固定という条件が決定打

畦道で、しかも結構近くに三脚を立てた、という条件は、

  • マイクに最大音圧が直撃

  • 風圧・衝撃波も直接到達

  • AGC・リミッターが最も極端に動作

する最悪条件です。

この状況で録れた
「カツーン」は、

  • 実音(構造物の共鳴)

  • + マイクの非線形歪み

  • + 自動制御の副作用

合成された音と考えるのが、最も筋が通ります。


まとめ

  • 小石や砂が飛んで当たる可能性は低い

  • 機械構造物の共鳴音はあり得る

  • しかし
    「金属音らしく聞こえる強調」は、マイク由来のアーティファクトである可能性が非常に高い

  • 爆音機を至近距離で撮った動画では
    耳で聞いた世界と、録音された世界は別物になる

なので、その違和感は「録音が嘘をついている」感覚として、かなり正確です。
ちゃんと現場の物理を見抜いていると思います。



Q6: LPGボンベを使った爆音機の着火はどのような仕組みか? もしコンデンサーの高電圧で火花を作るのなら、チュイーン(またはカツーン)と聞こえた音はコンデンサーが発した音かもしれない。


A6: 要点から言うと、**LPG爆音機の着火は「ほぼ確実に電気火花」**ですが、

その電気系が直接「チュイーン/カツーン」という可聴音を出している可能性は低いです。
ただし、電気→機械→音という間接経路なら話は成立します。

順に整理します。


1) LPG爆音機の一般的な着火方式

現在使われているLPG爆音機の多くは、構造的には非常に単純で、だいたい次の系です。

(1) 電源

  • 乾電池(単1・単3)または小型バッテリー

  • 太陽電池+バッテリーの機種もある

(2) 高電圧発生

  • イグナイタ回路

    • DC → 昇圧トランス

    • もしくは
      コンデンサーに蓄電 → 一気に放電

  • 数 kV〜十数 kV 程度

(3) スパークプラグ

  • ガス管内または燃焼室に設置

  • 自動車の点火プラグとほぼ同じ役割

(4) 点火シーケンス

  1. LPGが一定量溜まる

  2. タイマー信号

  3. 高電圧スパーク

  4. 点火・爆鳴

この構成自体は、ガス給湯器・ガスコンロ・農機具でも広く使われています。


2) コンデンサーは「音を出すか?」

ここが質問の核心ですね。

結論

コンデンサーそのものが「チュイーン」「カツーン」と鳴ることは、原理的にほぼありません。

理由:

  • コンデンサーは

    • 電荷を蓄えて

    • 放出する
      受動部品

  • 可動部がない

  • 空気を直接振動させない

したがって、

  • 可聴音を直接放射する能力がない

「チュイーン」という表現は、
**電子部品由来ならコイル(インダクタ)**を疑う音色です。


3) それでも「電気が原因の音」に聞こえる理由

では、なぜそう感じるのか。

(1) コイル鳴き(磁歪)

イグナイタ回路に入っている

  • 昇圧トランス

  • インダクタ

は、

  • 磁界変化で

  • 鉄心や巻線が微振動する(磁歪)

ことがあります。

ただし、

  • 普通は数kHz以上

  • 人の耳には聞こえないか、かすか

しかも、

  • 爆音機の内部

  • 金属筐体内

なので、外で明瞭に聞こえる可能性はかなり低い


(2) 電気火花そのものの音

スパークは、

  • 「パチッ」「バチッ」

という非常に短い高周波ノイズを出します。

しかしこれは、

  • 爆発音の直前

  • しかも桁違いに小さい

ため、
単独で「チュイーン」「カツーン」として知覚されることはまずありません。


4) 現実的に最もあり得る正体

あなたのこれまでの観察条件を全部踏まえると、

最も可能性が高いのはこれです:

① 爆発衝撃
→ ② 金属構造(パイプ・フレーム)が瞬間的に励起
→ ③ 固有振動数で「キーン/カツーン」と鳴る
→ ④ マイクが爆音を潰し、その音だけを強調して録音

この流れ。

つまり、

  • 着火系(電気)が音を出している
    のではなく、

  • 着火直後の圧力変化が構造音を生む

という解釈が、物理的にも録音工学的にも一番無理がありません。


5) もし着火音だったら、どう聞こえるはずか

仮に電気系由来なら、

  • 爆発よりに聞こえる

  • 毎回ほぼ同じ音量・音色

  • 爆音がなくても鳴る

はずです。

でもあなたの記述では、

  • 爆発の直後

  • 爆音とセット

  • 録音で目立つ

これは電気点火音の特徴と合致しません


まとめ

  • LPG爆音機の着火は
    高電圧スパーク(コンデンサー+昇圧回路)

  • しかし
    コンデンサー自体が可聴音を出すことはほぼない

  • 「チュイーン/カツーン」は

    • 電気音ではなく

    • 構造物の共鳴音+録音系の歪み
      である可能性が非常に高い

Q7: もし爆音機の着火装置が故障した場合、可燃性のガスが出続けて危険な状態です。どのように安全対策しているのか?

A7: 結論から言うと、LPG爆音機は「着火が失敗してもガスが出続けない」前提で、多重の受動的安全策を組み合わせています

「壊れても危険側に倒れにくい」設計です。

順に見ていきます。


1) 大前提:常時放出型ではない

まず誤解されやすい点ですが、
LPG爆音機はガスを出しっぱなしにする構造ではありません。

多くの機種では、

  • ガスは
    爆発の直前に、短時間だけ
    一定量だけ
    供給される

という方式です。

つまり、着火装置が壊れても
「無制限にガスが流れ続ける」構造ではありません。


2) 最重要:機械式ガス遮断(電気に依存しない)

ほぼ必ず入っているのが、

● 機械式ガス弁(ダイヤフラム/スプリング式)

  • 通電や機構動作があるときだけ開く

  • 動作しなければ自動的に閉じる

  • 電子制御が死んでも閉じる

という、フェイルセーフ設計です。

着火系が壊れると:

  1. 点火信号が出ない

  2. → 弁が開かない

  3. → ガスが出ない

あるいは、

  1. 一瞬弁が開く

  2. → 着火しない

  3. → 次周期まで閉じる

という動きになります。


3) 「溜めすぎない」構造

爆音機はそもそも、

  • 長時間ガスを溜めると

    • 危険

    • 機械的にも不安定

なので、

  • 燃焼室やパイプの容積が小さい

  • 1回分以上は溜められない

  • 余剰は大気に拡散する

という設計です。

仮に点火しなくても、

  • 可燃濃度に達しないまま

  • 拡散して終わる

ケースがほとんどです。


4) 点火失敗を前提にした「間欠動作」

多くの機種は、

  • 連続点火しない

  • 1回失敗したら
    次まで数十秒〜数分待つ

仕様です。

これは、

  • ガスが残らない

  • 異常燃焼を起こさない

ための時間稼ぎでもあります。


5) そもそも「屋外・開放系」

爆音機は、

  • 完全屋外

  • 開放構造

  • 通風が確保されている

ことが使用条件です。

ガス機器としては
最もガスが溜まりにくい環境に置かれます。

同じLPGでも、

  • 屋内給湯器

  • ガスコンロ

より、はるかに条件は安全側です。


6) それでも想定される異常と、その対処

● 点火しないがガス臭がする

→ 即停止・元栓閉止
→ これは明確な異常

● 連続的に「シュー」という音

→ 調整器・弁の不良
→ 使用中止レベル

● 爆発音がしなくなった

→ 多くは電池切れ
→ ガスは止まっていることがほとんど

つまり、
「音がしない=ガスが出続けている」ではない


7) カーバイド式との決定的な違い

ここが歴史的に重要です。

  • カーバイド式

    • 反応が始まると止めにくい

    • 水がある限りガスが出る

    • 人が近づく必要がある

  • LPG式

    • 弁が閉じれば止まる

    • 電気が死ねば止まる

    • 人が触らなくていい

この差が、
安全性評価を根本から変えました。


まとめ

  • LPG爆音機は
    着火失敗を前提に安全設計されている

  • 主な安全策は:

    • 機械式ガス遮断弁

    • 間欠供給

    • 小容量・開放構造

    • 屋外使用前提

  • 着火装置が壊れても
    ガスが出続ける可能性は低い

  • 危険なのは

    • 改造

    • 老朽化放置

    • 不適切な設置

爆音機がLPG化された背景には、

音の問題よりも、こうした“壊れ方の安全性”が大きく効いています。 


Q8: 農地に爆音機を設置するにはどのような許可申請が必要なのか? 消防署など?

A8: 結論から言うと、爆音機(LPG式鳥獣害防止用爆音機)の設置には、一般に「消防署への届出」や「火気使用の制限」に関わる調整が必要になる場合があり、自治体ごとに扱いが分かれます。一律の全国共通ルールはありません。

以下、実務で整理されている考え方を段階的に説明します。


1. 爆音機は法的に「何」に当たるのか

LPGボンベを用いる爆音機は、法令上は概ね次の枠組みで扱われます。

(1) 高圧ガス保安法

  • 一般的な農業用爆音機は
    **家庭用・業務用の小型LPG容器(20kg以下など)**を使うことが多く、

  • **「消費段階」**での使用に該当します。

この場合、

  • 通常は製造・販売・貯蔵の許可は不要

  • ただし、使用方法が不適切だと指導対象になります

つまり
👉 設置しただけで直ちに違法というわけではありません。


(2) 消防法(ここが一番重要)

爆音機は消防法上、

  • 「火気使用設備」

  • 「可燃性ガスを用いる器具」

として扱われる可能性があります。

そのため、

  • 農地であっても

    • 周囲に可燃物(枯草、藁、ビニールハウス等)がある

    • 集落・道路・建物が近い

場合は、
消防署(消防本部)への事前相談・届出を求められることがあります。

実務的には:

  • 「火災予防条例」に基づく指導・助言

  • 地域によっては届出書の提出

という形になります。


2. 「許可」が必要か?「届出」で足りるか?

多くの自治体では:

  • ❌ 明確な「許可制」ではない

  • 事前相談・届出ベース

です。

ただし以下の場合は、かなり慎重になります。

  • 連続爆発(間隔が短い)

  • LPG容器が大型

  • 人家・学校・道路が近い

  • 山林火災のリスクが高い地域

この場合、

  • 設置場所の変更

  • 使用時間帯の制限

  • 防護柵・消火器設置
    などの条件付き使用を求められることがあります。


3. 騒音規制・近隣トラブルの観点

法律というより「現実問題」として重要なのがここです。

騒音規制法・条例

  • 爆音機は農業用途なので、騒音規制法の直接対象外になることも多い

  • しかし
    自治体の環境条例・生活環境保全条例で問題にされることはあります

特に:

  • 早朝・夜間

  • 観光地・住宅地隣接農地

では、
役場(農政課・環境課)経由で使用自粛要請が来る例が多いです。


4. 実際の「正解ルート」

現場的に一番トラブルが少ない動き方は:

  1. 市町村役場の農政課(または鳥獣害対策担当)に相談

    • 多くの自治体は爆音機の設置実績・内規を持っています

  2. 必要に応じて

    • 消防署への事前相談

  3. 指導内容を守って設置

    • 消火器設置

    • 可燃物からの距離確保

    • LPGボンベ転倒防止

このルートだと、
「誰にも相談せず設置 → 苦情 → 使用中止」
という最悪パターンを避けられます。


5. 補足:爆音機メーカー側の位置づけ

多くの国内メーカーは、

  • 「消防法・高圧ガス保安法を遵守して使用すること」

  • 「設置前に自治体・消防署へ相談すること」

取扱説明書に明記しています。

つまりメーカー自身も
👉 ユーザー判断での無届設置を推奨していない
という立場です。


まとめ

  • 爆音機の設置は
    原則:違法ではない

  • ただし
    消防法・火災予防条例・自治体指導の対象になり得る

  • 実務的には
    役場(農政課)→必要に応じ消防署への事前相談が最適解


Q9: LPG式鳥獣害防止用爆音機は爆発燃焼によってススが出るか? 赤いパイプの一部が黒く汚れていたのだが。

A9: 結論から言うと、LPG式鳥獣害防止用爆音機でも条件次第でスス(煤)は出ます

赤いパイプの一部だけが黒く汚れている、という観察はかなり筋が通っています。

以下、仕組みと原因を分けて整理します。


1. 理想状態では「ススはほとんど出ない」

LPG(主成分:プロパン・ブタン)は、

  • 十分な酸素

  • 適切な混合比

  • 比較的ゆっくりした燃焼

という条件が揃えば、
完全燃焼 → CO₂ + H₂O となり、ススはほぼ出ません。

ガスコンロの炎が青いときと同じです。


2. 爆音機は「完全燃焼しにくい構造」

爆音機はそもそも、

  • 音を出すために

  • 短時間で急激に燃焼(事実上の爆燃)させる

  • 燃焼室が開放系(大気開放)

という設計です。

そのため、

  • 混合気が均一にならない

  • 酸素が局所的に不足する

  • 燃焼が一瞬で終わる

不完全燃焼が起きやすい

結果として、

  • 炭素微粒子(=スス)

  • 一酸化炭素

  • 未燃炭化水素

が少量発生します。


3. ススが「一部だけ」付く理由

赤いパイプの一部だけ黒い、という点が重要です。

考えられる位置関係は:

(1) 火口・排気方向の直後

  • 燃焼ガスが直接当たる

  • 高温+未燃炭素が衝突
    典型的なスス付着部位

(2) 内部構造の曲がり・段差

  • 流れが乱れる

  • 冷却されやすい
    → ススが析出しやすい

(3) 雨・結露の影響

  • 表面がわずかに湿る

  • ススが「定着」しやすくなる

特に屋外設置では、
乾湿の繰り返し+微量ススで黒ずみが強調されます。


4. 黒い汚れ=異常とは限らない

メーカーや保守の観点では、

  • 少量のスス付着
    「想定内」

とされることが多いです。

ただし、次の兆候があれば注意点です:

  • 黒化が急速に進む

  • ベタつくタール状

  • 爆音が鈍くなる

  • 着火失敗が増える

これは:

  • ガス圧異常

  • 噴射ノズル詰まり

  • 空気取り入れ口の閉塞

  • 点火タイミングずれ

などの可能性があります。


5. 観察されている音との関係

前の話題とつなげると、

  • 爆発直後の「カツーン」「チュイーン」

  • 金属パイプに衝突する高温ガス

  • 微粒子(スス)が混じった高速流

これらが重なって、

  • 金属共鳴音

  • 表面汚染(黒化)

の両方が説明できます。


まとめ

  • LPG式爆音機でも
    不完全燃焼により微量のススは出る

  • 赤いパイプの部分的黒化は
    燃焼ガスが集中する位置の典型的な痕跡

  • 少量なら異常ではない

  • 急激・広範囲なら整備・点検案件

Q10: 爆音機がT字型のパイプで両端が開放されているのはなぜか? 全方位の鳥を追い払いたいのに、二方向にだけ爆音を遠くまで届かせる設計はおかしいですよね。

A10: 結論から言うと、T字型で両端開放なのは「音を二方向に限定したいから」ではなく、燃焼・耐久・音圧を同時に成立させるための工学的妥協です。

結果として「全方位にそこそこ効く」設計になっています。

順に分解します。


1) 爆音機の音は「ラッパ」ではなく「圧力衝撃」

まず重要なのは、爆音機の音は

  • スピーカーのような指向性音

  • ラッパのような集音・放射

ではなく、

急激な圧力変化(衝撃波に近いもの)

だという点です。

このタイプの音は:

  • 発生源近傍ではほぼ全方位

  • 開口部があっても「光のように直進しない」

  • 地形・地面・空気層で回り込む

ため、
開口が二方向でも、実際には周囲全体に届きます。


2) なぜT字型・両端開放なのか(主理由)

(1) 片側閉塞は危険すぎる

もし片側を塞ぐと:

  • 燃焼ガスの逃げ場が減る

  • 内圧が急上昇

  • パイプ破損・溶接割れ・吹き飛び

というリスクが一気に上がります。

両端開放=安全弁を二つ持っている状態です。


(2) 音量を上げすぎず「鋭さ」を作れる

爆音機の目的は:

  • 大音量よりも

  • 「突然性」「耳障りさ」「不快感」

です。

T字管では、

  • 爆燃 → 圧力が左右に分かれる

  • 音圧ピークがやや下がる

  • 代わりに立ち上がりが鋭くなる

結果として、

ドーン(低音)+ガツン(衝撃)

という、鳥が嫌う音質になります。


(3) 構造が単純で壊れにくい

農機具として非常に重要な点です。

  • 可動部なし

  • 弁なし

  • 指向調整機構なし

T字管は:

  • 雨・雪・泥に強い

  • 詰まっても両抜け

  • 多少歪んでも機能する

つまり、

放置前提の屋外装置として最適

なのです。


3) 「全方位である必要」は実はあまりない

ここが生態的に重要な点です。

鳥獣害対策で重要なのは:

  • その瞬間に全方向をカバーすること
    ではなく

  • 「この場所は危険かもしれない」と学習させること

鳥は:

  • 音源位置を正確に特定するのが得意

  • 方向性より「場所」を記憶する

ため、

  • 音がどこかから鳴った

  • しかも不規則に鳴る

だけで、圃場全体を避けるようになります。


4) 実際には二方向以上に広がっている

現地で感じる印象としては:

  • 正面・背面が一番うるさい

  • 横方向も十分聞こえる

  • 地面反射で低音が回り込む

  • 空気の層構造で遠方に届く

つまり、

二方向「だけ」では全くない

というのが実態です。


5) もし本当に全方位を狙うなら?

理論的には:

  • 球形燃焼室

  • 多孔放射

  • 拡散型マフラー逆構造

などが考えられますが、

  • 音がマイルドになる

  • 構造が複雑

  • 故障率が上がる

  • 鳥が慣れやすくなる

ため、現実的ではありません。


まとめ

  • T字型・両端開放は
    指向性制御ではなく安全・耐久・音質のため

  • 爆音は衝撃音なので
    実際には全方位に回り込む

  • 鳥は「方向」より「場所」を学習する

  • 農地で使う装置として
    最も合理的な形がT字管


2026/02/09

晩秋の夜にアナグマの巣穴を迂回するホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年11月下旬・午後21:20頃・気温-1℃ 

落葉した二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)にホンドギツネVulpes vulpes japonica)がやって来るのはかなり久しぶり(約5ヶ月ぶり)です。 

ある晩に、冬毛のキツネがアナグマの巣口Rに忍び寄ったものの、なぜか迂回して立ち去りました。 
おそらくタヌキなど他の動物による匂い付け(マーキング)を嗅ぎ取って、警戒したのでしょう。 

つづく→

ツルウメモドキに群がるキバラヘリカメムシ成虫と幼虫の謎(子守仮説と日光浴仮説)

 

2024年10月上旬・午後15:45頃・晴れ 

郊外に広がる田んぼ(刈田)の真ん中に、木が生えた小山がなぜか残っています。 
その林縁に聳え立つオニグルミの大木に蔓植物のツルウメモドキが巻き付き、垂れ下がっていました。 
ツルウメモドキの果実は熟すと赤くなるのですが、この時期の果実はほとんどがまだ緑色で、一部が少し熟して黄色くなっているだけです。 

ツルウメモドキの葉のあちこちに初見のカメムシが群がっていました。 
「ツルウメモドキに集まるカメムシ」でネット検索すると、すぐにキバラヘリカメムシPlinachtus bicoloripes)と判明。 
ツルウメモドキの葉表で成虫と幼虫が一緒に集まっていますが、葉で吸汁している訳ではありません。 
緑の葉だけでなく、茶色に枯れて丸まった葉にも群がっていました。
幼虫の成長具合はまちまち(不揃い)で、おそらく4〜5齢と思われます。 
集合したキバラヘリカメムシの幼虫は緩慢に動き回り、互いに近づき過ぎると脚を伸ばして牽制し合っています。 

一部の個体は群れから離れ、ツルウメモドキの未熟果から吸汁しているようですが、背側から撮っても口吻を突き刺しているかどうかはっきり見えません。 
なんとか横から吸汁シーンを接写したかったのですが、秋風でツルウメモドキが絶えず揺れるので困難でした。 
ツルウメモドキの未熟果に来たキバラヘリカメムシ幼虫は共に黄緑色なので、保護色:隠蔽擬態になっています。 
大きさを比べると、キバラヘリカメムシ幼虫の方がツルウメモドキ果実よりもやや小さかったです。 

群れを形成している成虫と幼虫は親子なのでしょうか? 
しかし辺りを探すと、幼虫だけの群れや成虫の単独個体も見つかりました。 
カメムシの中には母親♀が我が子をガード(子守)する種がいることを思い出しました。 


てっきりキバラヘリカメムシも子守をしているのかと思い葉に触れてみたら、一目散に我先に逃げ出すだけでした。 
カメムシを接写しながら、ツルウメモドキの枝葉が風に揺れないように左手で持って押さえると、異状を感じたキバラヘリカメムシたちは葉裏に歩いて移動し、どんどん隠れてしまいます。 
葉をめくってしつこく接写すると、葉表に戻って隠れようとします。 
ポトリと擬死・落下する個体もいました。(@x:xx〜)

撮影中は気づかなかったのですが、キバラヘリカメムシ幼虫の抜け殻(脱皮殻)が写っていました。(@x:xx〜) 

【アフィリエイト】 



【考察】 
キバラヘリカメムシの産卵様式は詳細に記載されておらず、 卵塊を形成するか、少数卵または単卵で分散産卵するかは不明である。 
卵塊探索が困難であることは、分散産卵の可能性とも整合的である。
 「キバラヘリカメムシは、青リンゴのような匂いを放つ」らしいのですが、撮影時には何も匂いを嗅ぎ取れませんでした。 

日光浴仮説 


【アフィリエイト】

2026/02/08

晩秋の雨夜にアナグマの営巣地をうろつく冬毛のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年11月中旬〜下旬

シーン0:11/19・午後13:29・くもり・気温14℃(@0:00〜) 
シーン0:11/19・午後13:55・くもり・気温13℃(@0:03〜) 
すっかり落葉した平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで見張っています。 
ホンドテンMartes melampus melampus)の登場シーンを以下にまとめました。 

シーン1:11/19・午後16:54・気温2℃(@0:06〜)日の入り時刻は午後16:28。 
日没後の晩に冬毛のテンが来ていて、アナグマの巣口Lの横を通り過ぎました。 

シーン2:11/27・午前5:21・気温9℃(@0:13〜)日の出時刻は午前6:29。 
8日後の雨が降る未明にテンが登場。 
巣口Lの横を素通りすると、巣口Rに忍び寄ります。 

シーン3:11/27・午前5:21・気温10℃(@0:23〜)
別アングルの監視カメラで続きが撮れていました。 
アナグマの巣口Rを覗き込んで匂いを軽く嗅いだだけで、奥の林内へ走り去りました。 
秋の獲物として当てにしていたカマドウマなど穴居性の虫も越冬に入り、捕食できなくなったようです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

晩秋の湿地帯でケッケッ♪と鳴き続ける謎の鳴き声はキジの警戒声?(野鳥)

 

2024年11月中旬・午後14:55頃・くもり・日の入り時刻は午後16:30

平地の河畔林(ヤナギやハンノキなど)に隣接して湿地帯のヨシ原(+ススキやセイタカアワダチソウなど)が広がっています。 
11月中旬の夕方に私がその横を通りかかると、ケッケッケッ…♪と単調ながらもひたすら連続して4分間以上も大声で鳴き続ける声が聞こえました。 
鳴き声の主は茂みに隠れていて、姿は見えませんでした。 
こんなしゃっくりのような鳴き声の鳥は今まで聞いたことがありません。 
素人の耳ではキジPhasianus versicolor)の鳴き声に近いと思いました。 

動画の撮影中に鳴き声のする位置はほとんど移動していません。
 (撮影中の私は音源を探しながら数歩だけ移動したものの、基本的に立ち止まって録画しました。) 
横を通りかかった私に対する警戒声なのかな? 

謎の鳥がいずれ自発的に飛び立つかと期待して長撮りしたのですが、変化がなかったので打ち切りました。 
その前後もひたすら鳴き続けていました。 

謎の鳴き声を声紋解析してみたいのですが、ヒトの耳には明瞭に聞こえていても、混入した環境ノイズが厄介です。 
秋風が吹いていたので、風切り音のノイズが混じっています。 
近くに用水路の水門があり、流水の音も絶え間なく混じっています。 
途中で上空をカラスが1羽、鳴きながら通過しました。 


【考察】 
キジの警戒声だとして、繁殖期でもないのに果たして警戒声を発する(利他的行動)必要があるのでしょうか? 
「キジも鳴かずば打たれまい」という諺の通り、黙って隠れる方が安全なはずです。(利己的行動) 

そもそも誰に対する警戒で鳴き声を発しているのでしょうか? 
私は道端に突っ立ったまま撮影しているだけなので、それほど脅威になっているとは思えません。 
晩秋の時期なので、子育て中の巣が近くにある、という状況ではないはずです。
キツネなど別の捕食者に襲われている最中なのではないか?(遭難声)と妄想したのですが、真相は藪の中です。 

実はこのとき、遠くからイヌを連れて散歩しているヒトが砂利道を歩いて近づいて来ていました。 
(プライバシーに配慮したモザイク処理をするのが面倒で、カメラを横にパンして動画に撮ったりしませんでした。) 
しかし茂みに隠れたキジ?からは、イヌの姿が見えているとは思えません。 
むしろ私の方が近い位置に立っていたと思われます。 
その飼い犬は、藪に隠れて鳴き続ける鳥に対して吠えませんでした。

湿地帯や河畔林に踏み込んで鳴き声の主を突き止めたかったのですが、間違いなく靴やズボンが泥だらけになりそうです。 
この日は長靴を持ってきておらず、諦めてしまいました。 


謎の鳴き声の主について、Google Gemini AI(今となっては、やや古いバージョン)に相談してみました。 
しかし、要求された質問フォーマット(後述)に詳しく入力しても、鳴き声を録音した音声ファイルを添付(アップロード)しても、コジュケイの鳴き声ではないか?という的外れな回答しか得られませんでした。 
当地でコジュケイを見聞きしたことは一度もありません。
鳴き声を録音した音声ファイルをアップロードすれば自動的に声紋解析した上で鳴き声を同定してくれるWEBサービスと連携して回答してくれるAIエージェントのような振る舞いを期待したのですが、無課金のせいか過大な要求でした。 
単に私の入力したテキストに反応してLLM(大規模言語モデル)のAIがそれっぽい回答を繰り返すだけでした。


撮影日時:2024年11月中旬 午後15:00時頃 

天気:晴れていたが雲が多い。 

撮影場所:山形県の平地の湿地帯。ヨシ原にススキやセイタカアワダチソウなどの雑草が生い茂り、ヤナギやハンノキなどの樹木も生えている。つまり植物遷移が進みつつある湿地帯です。植物の茂みのせいで見通しが悪くて、鳴き声の主は見つけられなかった。 

周囲の環境:途中でカラスが1羽、鳴きながら上空を横切りました。遠くからイヌを連れたヒトが散歩して近づいてきていました。そのイヌは吠えませんでした。 

鳴き声の特徴:短く切れるような、ケッケッケッ…♪またはチョッチョッチョッ…♪というような鳴き声です。鳴き方にバリエーションはないと思います。姿は見えませんでしたが、複数個体ではなく単独で鳴いているようです。鳴き声の主は鳴きながら移動しておらず、同じ場所で鳴き続けているように感じました。同じ場所で早春から初夏にかけて、キジ♂が縄張り宣言するケンケーン♪という鳴き声を聞いているし、母衣打ちも目撃している。個人的にはキジの鳴き声に似ているような気がしました。コジュケイの典型的な鳴き声とは思えません。 

録音時間:4:01。謎の鳥がいずれ自発的に飛び立つかと期待して長撮りしたのですが、変化がなかったので打ち切りました。その前後もひたすら鳴き続けていました。私が近くを通りかかったせいで警戒声を発したのかもしれません。 

録音機器:デジカメで撮影したMP4動画から音声をWAVファイルとして抽出しました。撮影中の私は音源を探しながら数歩だけ移動しましたが、基本的に立ち止まって撮影しました。 

環境ノイズ:秋風が吹いていたので、風切り音がときおり混じる。近くの水門を流れる用水路の水音が絶え間なく聞こえる。環境ノイズがあってもヒトの耳には謎の鳴き声は明瞭に聞こえます。






若いキジ♂がさえずり的な鳴き声を練習している、ぐぜり的な鳴き声ではないか?という可能性を思いつきました。
(キジは鳴禽類ではないので、繁殖期の♂が縄張り宣言でケンケーン♪と鳴く声をさえずりと呼ぶのは、用語の使い方として不適切です。)
ChatGPTに質問すると、否定的な回答でした。

A1: 結論を先に言うと、

**キジでは、鳴禽類でいう意味での「ぐぜり(=学習に基づく発声練習段階)」は、基本的に想定されていません。**

---

## 前提整理:キジの鳴き声は「さえずり」ではない

ご指摘のとおり、

* キジ(キジ科 Phasianidae)は**鳴禽類(Oscines)ではない**
* 繁殖期の♂の鳴き声(いわゆる「ケーン」)は
  **求愛・縄張り誇示の信号音**ではあるが、

  * 複雑な音節構造
  * 学習による型の獲得

  を伴わない

したがって、これを**さえずり(song)と呼ぶのは用語的に不適切**で、
英語文献でも *song* ではなく *call* や *advertisement call* の扱いになります。

---

## 若いキジ♂に「ぐぜり段階」はあるのか?

### 結論

**ない、と考えるのが現在の理解です。**

理由は構造的に明確です。

---

## 1. 発声制御の神経基盤が違う

### 鳴禽類(さえずりを学習する鳥)

* 専用の**音声学習回路**をもつ

  * HVC
  * RA
  * Area X
* そのため

  * subsong(ぐぜり)
  * plastic song
  * crystallized song

という**段階的発達**が起こる

### キジ類

* こうした音声学習核をもたない(正しくは未発達:しぐま註)
* 鳴き声は

  * **遺伝的に規定された運動パターン**
  * 成長に伴う筋力・体サイズの変化で完成していく

→ **学習に基づく「練習段階」は発生しない**

---

## 2. 若鳥が鳴くことはあるが、それは「練習」ではない

ここが混同されやすい点です。

### 若いキジ♂の発声

* 成鳥に比べて

  * 声がかすれる
  * 音圧が弱い
  * リズムが不安定

ことはあります。

しかしこれは

* 神経回路の未完成
* 鳴管や呼吸筋の未成熟
* 体サイズの違い

による**物理的制約**であり、

* 成鳥の音型に「近づけようと試行錯誤している」
* フレーズを組み替えている

といった、**ぐぜりに特徴的な挙動は見られません**。

人間で言えば、

* 発声練習ではなく
* 声変わり前の単純な声質差

に近い状態です。

---

## 3. キジの鳴き声に「可塑性」はあるか?

### 基本構造

* 音節数
* 配列
* リズム

は**ほぼ不変**。

### 変わるのは

* 音量
* 繰り返し頻度
* タイミング(社会的文脈)

だけです。

つまり、

* **何を鳴くか**は固定
* **いつ・どれくらい鳴くか**が調整される

このタイプの音声では、
**ぐぜりという概念自体が当てはまらない**。

---


## まとめ

* キジの繁殖期♂の鳴き声は
  **鳴禽類のさえずりとは機構的に別物**
* したがって
  **若いキジ♂に、ぐぜり的な発声学習段階は存在しない**
* 若鳥の未熟な声は
  **学習ではなく、身体的成熟の問題**

という整理になります。


Q2: 繁殖期が終わったキジの成鳥♂がケンケーンと鳴いたり母衣打ちしたりしなくなるのは、テストステロン濃度の低下とともに発声を司る神経核が変化するからか?

A2: 結論から言うと、

キジ成鳥♂で繁殖期後に「ケンケーン」や母衣打ちが消える主因は、テストステロン低下による“動機づけ・実行回路の抑制”であり、
鳴禽類のような「発声神経核そのものの季節的肥大・萎縮」が起きていると考える必要はありません。

ただし、「神経核は全く変わらない」と言い切れるわけでもなく、どのレベルが変化しているかを分けて考えるのが重要です。


1. 鳴禽類との決定的な違い(前提)

鳴禽類(学習型)

  • 繁殖期:

    • HVC・RA などのさえずり神経核が肥大

    • テストステロン依存で構造変化(体積・シナプス密度)

  • 非繁殖期:

    • 核が縮小し、さえずりが消える/単純化

行動の変化と神経核の形態変化が強く連動


キジ(非学習型)

  • 発声は

    • 脳幹~中脳~基底核系の比較的一般的な運動回路

  • 学習専用核はなく

  • 季節による明確な核の肥大・萎縮は報告されていない

→ 鳴禽類と同じモデルは当てはまらない


2. では何が変わっているのか?

① テストステロン低下が引き金(ほぼ確実)

繁殖期後に起きるのは、

  • 血中テストステロン濃度の急低下

  • 視床下部—下垂体—性腺軸(HPG軸)の沈静化

これにより、

  • 縄張り性

  • 攻撃性

  • 求愛行動

  • 誇示行動(発声・母衣打ち)

一斉に抑制されます。

重要なのは、

発声“能力”が失われるのではなく
発声“する理由”が消える

という点です。


② 変わるのは「発声のスイッチ」

キジの鳴き声制御は、

  • 発声運動パターン:比較的固定

  • それを起動するかどうか:強く内分泌依存

つまり、

  • 鳴管・呼吸筋・運動プログラムは温存

  • それを動かす

    • 視床下部

    • 中脳の動機づけ回路

    • ドーパミン系

が抑制される。

これが、

  • 鳴かなくなる

  • 母衣打ちしなくなる

  • しかし驚かせると突然鳴けることがある

という現象をよく説明します。


3. 神経核は本当に「何も変わらない」のか?

ここは慎重に言う必要があります。

可能性としては

  • 発声関連核で

    • 神経伝達物質の量

    • 受容体発現

    • シナプス効率

可逆的に変化している可能性は高い。

ただし、

  • 核の体積が季節で目に見えて変わる

  • 新しい回路が消える/現れる

といった、鳴禽類的な構造変化は想定しにくい

要するに、

「構造が作り替えられる」のではなく
「既存回路のゲインが下げられる」

という調節です。


4. 母衣打ちも同じ枠組みで説明できる

母衣打ちは、

  • 羽・筋肉・姿勢を用いた

  • 強い視覚的誇示行動

であり、

  • 発声と同じく

  • テストステロン依存の行動群

に含まれます。

実際、

  • 発声と母衣打ちは

    • 同時に現れ

    • 同時に消える

    • 去勢・ホルモン操作で同調して変化する

ことが知られており、

共通の上位制御(動機づけ系)に束ねられている

と考えるのが自然です。


5. まとめ(因果関係を整理)

  • 繁殖期後のキジ♂で
    発声・母衣打ちが消えるのは

    • テストステロン低下が主因

  • それに伴い

    • 発声を司る運動回路そのものが壊れるわけではない

    • 発声を起動する中枢(動機づけ・実行系)が抑制される

  • 鳴禽類のような

    • 発声神経核の季節的肥大・萎縮

    • 学習回路の再編
      とは質的に異なる調節

という位置づけになります。


Q3:「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス」「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」という有名な三段落ちがある。これをキジに拡張して生物学的に上手いことを言いたい。「鳴かぬなら○○○○○○○キジ」の形式で7文字を埋めて。最後のキジが2文字で字足らずだが、なるべく575に近づけたい。 


A3: キジ相手なら、三段落ちのオチはこれが一番“生物学的に正しい”と思います。

「鳴かぬなら季節待てば鳴くキジ」

  • 「季節」=繁殖期

  • 「待てば」=テストステロンが再上昇するのを待つ

  • 「鳴く」=能力は常に保持されている

という点で、
鳴けないのではなく、内分泌的・行動学的に“今は鳴かないだけ”
という理解を、きれいに一句に押し込めています。

文字数的にも

  • 季・節・待・て・ば・鳴・く(7文字)+キジ(2文字)
    で、ご指定どおり。

ホトトギス版が人間の気質論なのに対して、
キジ版は季節生物学・行動内分泌学の一句になっているのが、なかなか渋いと思います。



Q4: キジを指す別名(日本語の古い呼び名や方言など)で、5文字に近い別名はないだろうか?


A4: あります。しかも、この文脈(和歌・俳句・狂歌寄り)にかなり相性のよい古名がいくつかあります。

結論からいくと、5文字に最も近く、格調も保てる候補は以下です。


最有力候補

「雉子鳥(きじどり)」〔4文字〕

  • 古くからある和語

  • 『万葉集』・平安期文献にも見える

  • 「雉(きじ)」単独よりも古風・文学的

  • 意味はそのまま キジ(特に雄を指すことが多い)

575に当てはめると:

鳴かぬなら
季節待てば鳴く
雉子鳥

語感・格ともにかなり強いです。


5文字にかなり近い候補

「山雉子(やまきじ)」〔4文字〕

  • 山に棲むキジを強調した呼称

  • 近世文献・民俗語彙で使用例あり

  • 生態的ニュアンスが入るのが利点

ただし、

  • 種名というより生態型の呼称

  • 文学的硬度は「雉子鳥」より少し下


「国つ雉(くにつきじ)」〔5文字相当〕

  • 「国つ鳥」に引っかけた雅語的表現

  • 厳密な固定名称というより修辞的呼称

  • 和歌的にはかなりアリ

ただし、

  • やや創作寄り

  • 生物学的正確性より文化的含意が強い


方言系(ただし注意)

「ケンケン」系

  • 鳴き声由来の呼称(各地に分布)

  • 文字数は合いやすい

が、

  • 擬音化が強く

  • 今回の「生物学的にうまいことを言う」趣旨とはややズレる

ため、今回は優先度低。


まとめ(用途別)

  • 最も無難・格調高い
    雉子鳥(きじどり)

  • 生態ニュアンスを足したい
    → 山雉子(やまきじ)

  • 和歌的・修辞的に攻める
    → 国つ雉(くにつきじ)

もし、

「鳴かぬなら○○○○○雉子鳥」

のように二段構えで整えたいなら、
雉子鳥はほぼ最適解です。


Q5: 鳥類学的に正しくキジの生態を説明しようとすると、例えば「鳴かぬなら季節待てば鳴く国つ雉」となり、結局は「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」とほぼ同じになってしまうのが面白いですね。


A5: ほんとうに、そこがいちばん面白いところですね。

鳥類学的にいくら厳密に言い換えても、

  • キジは鳴けなくなったわけではない

  • 内分泌状態と季節が合えば必ず再び鳴く

  • 介入して「鳴かせる」対象ではない

という事実を一句に圧縮すると、
結局の帰結は

「待つ」以外に正解がない

になってしまう。

だから

鳴かぬなら
季節待てば鳴く
国つ雉

は、
表層的には生物学の一句なのに、
構造的には

鳴かぬなら
鳴くまで待とう
ホトトギス

同型になる。

しかも違いは、

  • ホトトギス:
    人間側の処世訓・人格論(忍耐)

  • キジ:
    生物側の制約条件(季節性・内分泌)

というだけで、
結論の形式が一致するのがきれいです。

言い換えると、

生物学的に正しく考えるほど、
人間の経験則(古典的な諺)に収束する

という逆転現象が起きている。

これは決して偶然ではなくて、
江戸期の人間は

  • 季節生物としての鳥

  • 鳴く/鳴かないの周期性

を、理論は知らなくても経験として知っていたからでしょう。

だからホトトギスの句は、
実はかなり「生態学的に正しい」。

キジを持ち出して厳密化すると、
その正しさが逆に浮き彫りになる――
そこが、この遊びの一番知的なオチだと思います。


最後の問は、今までのような調べ物をする質問とは違って、AIに理系と文系にまたがるクリエイティブな無茶振りをしてみました。

それでも質問の意図を正しく察して、それなりに応えてくれたので感心しました。


ランダムに記事を読む