2024年10月上旬・午後13:10頃・くもり時々晴れ
山麓の道端でキツリフネの黄色い花が咲き乱れる大群落を見つけました。 一部の蒴果が熟して膨らんでいたので、前からやってみたかった種子散布の実演をしてみました。
いつも持ち歩いているピンセットを取り出して熟果を挟むと、音を立てて勢いよく弾け、種子が飛び散りました。
種子の放出直後、果皮が細長く裂けてクルクルっとコイル状に丸まり、ピンセットの先端に巻き付きました。
※ キツリフネの種子が弾け飛ぶ音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
キツリフネの熟果は刺激すると一瞬で破裂して肉眼ではよく見えないので、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:26〜)
スーパースローにすると、飛び散る種子がきれいに写っていました。
しかし種子の色が茶色ではなく黄緑色だったので、まだ完全には熟していなかったのかもしれません。
種子が完全に熟していれば、ピンセットで蒴果を強く摘まなくても、触れただけで破裂したはずです。
さらに、熟した蒴果がよく乾燥すれば、触らなくても自然に破裂するのかもしれません。
自動散布の実演がとても楽しかったので、面白がって何度も繰り返しました。
この動画は(@2:45)で終わらせても良かったのですが、肝心の蒴果にピントが合わなかったNGシーンも最後に追加しておきます。
私の貧乏性というか、編集で削除するのが惜しくなってしまいました。
奥ピンでキツリフネ群落の様子も分かりますし、飛び散る種子に一瞬だけピントが合いました。
(キツリフネは)ツリフネソウと同じしくみでタネを飛ばす。タネの表面には(ツリフネソウよりも:しぐま註)細かい凹凸がある。(p66より引用)
(ツリフネソウは)タネが熟してもなお果皮の外層が伸び続けるため、内側に巻き込む力が加わり、実は瞬間的に破裂してタネが弾ける。
タネを飛ばすしくみはホウセンカと同じだが、タネの数は2〜3個と少なく、果皮も強く丸まる。(p66より引用)
この本でツリフネソウやキツリフネは「重力に逆らってタネを飛ばす」と書いてあったのですが、それだと種子が上向きに飛ぶことになってしまいます。
しかし、必ずしもそうではありません。
水平方向に大きな初速度を種子に与えることで、地面に落下するまでの滞空時間を稼ぎ、遠くまで射出しているのです。
さて、種子を自動散布する植物が弾性エネルギーを蒴果の中に溜め込むためのエネルギーは、どこから得ているのでしょうか?
Perplexity AIに質問した回答がこちらです。
種子を自動散布する際の「弾性エネルギー」は、結局のところ光合成によって得た化学エネルギーに由来する。植物が作った有機物を材料として細胞壁や組織構造を形成し、その乾燥や膨圧変化によって力学的なひずみ(弾性エネルギー)が蓄えられる。
エネルギーの出どころ
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植物は光合成で得たエネルギーを使ってセルロースやリグニンなどの細胞壁成分を合成し、果皮や種皮の厚さ・配向・層構造を作り込む。これらの構造が、後に収縮・反転して種子を弾き飛ばす「バネ」として働く。
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自動散布型の蒴果では、果皮細胞が乾燥して収縮したり、生きた細胞の膨圧が変化したりすることで内部にひずみエネルギーが蓄積し、ある閾値を超えた瞬間に急激な裂開と反転が起こるとされる。wikipedia
仕組みのイメージ
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乾燥収縮型(スミレ類など)の場合、果皮の内外で繊維の配向が異なるため、乾燥に伴って不均一な縮みが生じ、それがねじれ・反り返りを生み出す。これはあらかじめ光合成産物を使って作られた「構造設計」による受動的な力学現象と考えられる。wikipedia
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膨圧依存型(カタバミ類など)では、生きた細胞内の浸透圧調節にエネルギーが使われ、その結果として高膨圧状態が維持されることで弾性的な張力が生じ、刺激をきっかけに膜が反転して種子を飛ばすと説明されている。kinomemocho+1
要するに、弾性エネルギー自体は物理的には「水分状態や組織構造が生む受動的なひずみ」だが、そのひずみを生み出す材料と微細構造を用意するためのエネルギー源は、すべて光合成起源の化学エネルギーだと整理できる。
余談ですが、動画の冒頭でキツリフネの葉に形成された虫こぶ(虫えい、ゴール)が画面上部に写っています。(@0:00〜0:12)
撮影中は気づきませんでした。
ネット検索で調べてみると、このタイプの虫こぶはキツリフネハオレタマゴフシと呼ばれ、キツリフネコブアブラムシ (Eumyzus gallicola)が寄生しているらしい。
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