2018年9月下旬
秋の田んぼで稲穂が実ると、スズメ(Passer montanus)など種子食性の野鳥による食害を防ぐために様々な対策を施すようになります。
ここは山麓の田んぼで、黄金色の稲穂の上をトンボが飛び交っています。
手前はソバ畑になっています。
鳥害対策の一つとして、田んぼを囲む畦道に支柱を立て、その間に「防鳥テープ赤銀」が張り巡らされていました。
風が吹くと両面テープの捻れた部分が自然と左右に動き、メタリックの赤と銀色がチラチラと反射するようになっています。
(両面テープと言っても粘着力があるのではなくて、裏表が二色に塗り分けられているのです。)
このギラツキを鳥は嫌うという触れ込みで、昔から使われています。
たまたま撮影時は夕方で風が止んでいて、テープが静止しているため、残念ながら映像では特徴が伝わりません。
無風の際も防鳥効果が期待できるのかな?
もう一つの鳥害対策として、田んぼの奥にスズメ追い(スズメ脅し)の爆音機が設置されていました。
ドカーン!という凄まじい爆裂音が山里にこだまします。
プロパンガスをタイマーで定期的に爆発させる仕組みなのだそうです。
どうやら約5分間隔で爆裂しているようなので、次の爆発を待ち構えて動画に記録してみました。
この日は三脚を持参しておらず手持ちカメラで撮ったために、心の準備をしていても爆音が鳴った瞬間は反射的にビクッとしてしまいます。
爆発の瞬間をスロー再生すると、爆裂音の直前に青い炎が赤いパイプから少し出ていました。
「鳥獣害研究室-鳥害対策 - 農研機構」のホームページによると、
爆音器 農地と住居が混在している日本ではプロパンガスによる比較的小音量のものが用いられているが、それでも騒音で苦情が来る。鳥の慣れも早い。
同所で公開されたPDF「鳥種別生態と防除の概要:スズメ」を読んでみると、
爆音器も一時的には効果はあっても、日数がたつと慣れてきてしまい、爆音器周辺の小範囲に限られるようになる。爆音器と視覚刺激を組み合わせた複合型爆音器も市販されているがやはり慣れを生じる。これらの機器には騒音の問題をに気を付けなくてはならず、その対策として夜間停止していた場合には早朝に被害にあいやすくなる。
藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によれば、
爆音器などの効果は、鳥が銃猟を知っているかどうかで大きく違ってきます。(p178-179より引用)
こうした鳥害対策が功を奏したのか分かりませんが、この田んぼにスズメの群れは一羽も来ていませんでした。
薄暗くなってきた夕方に撮ったので、そもそもスズメの採餌活動が終わった後のような気もします。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
【追記】
宮崎学、小原真史『森の探偵―無人カメラがとらえた日本の自然』という本を読んでいたら、
水力などを利用して一定時間が経つと定期的に大きな音が鳴る鹿威しも聴覚に訴える全自動式の威嚇装置の一種。 (p286より引用)確かに伝統的な「鹿威し」は爆音器の原型ですね。
私のフィールドにはニホンジカは生息しないので、鹿威しの効果は実感したことがありません。
カコーン♪という風情ある音だけで逃げ出すとは、よほどニホンジカは神経質なのでしょう。
スズメ(野鳥)追い:爆音機@田んぼ |
防鳥テープ赤銀(野鳥)@田んぼ |
防鳥テープ赤銀(野鳥)@田んぼ |
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