2024/09/01

オオマルハナバチ♀の脚上げ威嚇反応

 



2023年11月上旬・午後15:00頃・くもり 

訪花吸蜜していたオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)がセイタカアワダチソウの花穂からなかなか飛び立たないので、衰弱して飛べないのかな?と心配になりました。 
寿命が近いワーカー♀なのかな?
体に寄生ダニなどは付着していませんでした。 

私が動画を撮りながら右手で捕まえようと蜂に軽く触れたら、その度に中脚および後脚を高々と持ち上げました。 
威嚇姿勢のようですが、毒針を伸ばして誇示することありませんでした。 
蜂がしがみついていた花穂の先をちぎり取り、なんとか蜂を手乗りさせることができました。 

この個体はとにかく動きが緩慢で、元気がありません。 
口元を見ても、私の皮膚から汗を舐めているようには見えませんでした。 

私が指先でオオマルハナバチ♀の体にそっと触れる度に、脚を1〜2本持ち上げます。 
体を傾けて、刺激された同側の脚をいつも上げるのが興味深いです。 
正面から触角に触れると、左右の中脚を同時に持ち上げて万歳の体勢になりました。 
「それ以上近づくなよ」という警告・威嚇の意思表示なのでしょう。 
脚に鋭い棘や爪、キック力がある訳でもないのに、敵に対してどれだけ威嚇・牽制の効果があるのか疑問です。
 (私にはハッタリで虚勢を張っているようにしか見えません。) 
私が面白がってしつこく反応を調べても、繰り返し刺激への馴化(慣れ)はなさそうです。 
苛立ったオオマルハナバチ♀が毒針で私の手を刺してくることはありませんでした。 
ちなみに、ハチとは進化的に離れた系統のコガネムシ類でも似たような脚上げ威嚇姿勢が見られます。

この個体は翅や体毛が全く擦り切れておらず、大型なので、ワーカー♀ではなく新女王なのかもしれません。 
一般的に、女王蜂の攻撃性が低いのは当然です。 
真社会性ハチの女王は次世代に子孫を残す使命がありますから、毒針を使って敵と戦うのではなく、極力逃げることを選択します。(逃げるが勝ち、三十六計逃げるに如かず) 
下手に敵と戦うと反撃を食らって死傷する可能性があるからです。 
もしも元気なワーカー♀を相手に同じ実験をしたら、怒った蜂に毒針で手を刺されていたかな? 

実験に満足した私は、蜂をセイタカアワダチソウの花穂に戻してやろうとしたのですが、なかなか上手く行きません。 
もたついている間に、オオマルハナバチ♀はブーン♪と羽音を立てて飛び去ってしまいました。 
私の体温で充分に温められたのか、飛び立つ前に胸部の飛翔筋を震わせる準備運動をしませんでした。 
しかし飛ぶ力は弱く、羽ばたきながら私の手から落ちてなんとかセイタカアワダチソウの茎に引っかかりました。 
再び自発的に飛んだものの、あまり遠くまで飛べませんでした。 
気温を測り忘れましたが、私の体感では寒さを全く感じませんでした。 

『マルハナバチの経済学』という専門書のp264に「マルハナバチの巣内での諸行動」と題したイラストが掲載されています。 
その中に、「中後脚をあげるマルハナバチ独特の警戒姿勢」が示されていました。 
私の知る限り、この行動について書かれた本はこれだけです。 
同じイラストによると、マルハナバチの攻撃姿勢は更に独特で、なんと仰向けにひっくり返るのだそうです。 (おそらく、このとき毒針を見せつけるのでしょう。) 
私は未だ実際に見たことはないのですけど、マルハナバチの巣を手荒く暴いたときぐらいにしか攻撃姿勢は見られないのかもしれません。 

この行動を指す正式用語をどうしても知りたくて、Google Scholarで検索してみると、最近の研究論文を見つけました。 
全文が無料で公開されています。 
マルハナバチの脚上げ反応(万歳姿勢、ハイタッチ)が注目されるようになったのは、ごく最近のことなのだそうです。
disturbance leg-lift response (略してDLR)と名づけていますが、 disturbanceが日本語に訳しにくいです(撹乱?)。
「蜂にちょっかいかけると脚を高く上げる」というニュアンスです。
素人が勝手に「脚上げ威嚇反応」と名づけてみました。
専門家による用語の正式な和訳を見つけたら、訂正します。


【参考文献】 
Varnon, Christopher A., et al. "The disturbance leg-lift response (DLR): an undescribed behavior in bumble bees." PeerJ 9 (2021): e10997. 

Figure 1. The disturbance leg-lift response (DLR) of the bumble bee.  Artwork by Jennifer Salazar. Original reference photographs by Ivan Mikhaylov.

この論文はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスで公開されているので、ありがたく原図1を借用させてもらいます。


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2024/08/31

晩秋にニホンアナグマ♀が巣穴に戻ると中から虫の大群が慌てて脱出【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年11月上旬・午後17:00頃・気温14℃(日の入り時刻は午後16:38) 

日没の約20分後、1頭のニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が外から巣穴Lの中に戻ると、入れ替わりで、巣穴Lに潜んでいた大量の虫が湧き出るように外に脱出してきました。 
まずは5倍速の早回し映像でご覧ください。 
次に等倍速によるリプレイをご覧ください(@0:23〜)。 
早回し映像にしないと蟲の動きに気づきにくいことがお分かり頂けるかと思います。 

同様の現象はこれで3回も録画されていました。 
関連記事(8、30日前の撮影)▶  


したがって、謎の虫は巣外に一旦避難してもほとぼりが冷めたら元の巣穴にこっそり戻っていると推察されます。 
変温動物の昆虫がいくら動いてもトレイルカメラの熱源センサーが反応しないので、証拠の映像はありません。 

まるで「蜘蛛の子を散らす」ようですが、穴居性のカマドウマ幼虫ではないか?と今のところ私は予想しています。 
謎の虫は、このままアナグマと一緒に巣穴で越冬するのでしょうか? 
虫の大群が巣穴に居候していることに鈍感なアナグマは気づいていないのか、虫を全て捕食したり巣穴から追い払ったりしないのが不思議でなりません。 
冬ごもりの間の非常食にするつもりなのでしょうか?

この秋は様々な鳥や獣が代わる代わるこの巣口にやって来ては、虫を捕食していました。 
それでも食べ尽くせないぐらいの膨大な数の虫が依然としてアナグマの巣穴に潜んでいるのです。 

強風(木枯らし)が吹き荒れる晩で、落ち葉が舞い散り、トレイルカメラを固定したミズキ灌木が左右に大きく揺れています。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


電柱の天辺で鳴き、順に脱糞してから飛び立つノスリの♀♂ペア(野鳥)

 

2023年10月上旬・午後16:05頃・くもり 

農村部の田園地帯で2羽のノスリ(Buteo japonicus)が電柱のてっぺんに仲良く並んで止まっていました。 
眼下に広がる田んぼを眼光鋭く見渡して、獲物となる小動物を探しているようです。 
実はこのとき近くの田んぼでは稲刈り作業が進行中で、コンバインで刈った稲穂をまとめて並べていました。 

ノスリは体格に性差があるため、左の小柄な個体が♂で右のやや大型な個体が♀と分かります。 
左の♂はコンクリート製電柱の天辺に止まり、右の♀は碍子を跨ぐように電線に止まっています。 
ノスリの番(つがい)を同時に撮れたのは珍しいです。 


右の♀がおもむろに尾羽を持ち上げ、白い液状便を勢い良く後方に放出しました。(@0:32〜) 
脱糞して体重を軽くすると、直後に右へ飛び去りました。 
このとき左の♂は、隣の♀が脱糞した勢いにびっくりしたようですが、♀につられて飛び立つことはありませんでした。
逃げたノスリ♀は、カメラを向ける怪しい私から距離を取りたかったようで、道端に並ぶ隣の電柱(私から離れた奥の電柱)に止まり直していました。 

電柱の天辺に居残った♂は、ピーエ、ピーエ♪と甲高い声で繰り返し鳴き始めました。 
ノスリの鳴き方はバリエーションが乏しいのですが、今回は私に対する警戒声なのでしょう。
嘴を開閉する動きと鳴き声が同期しているため(リップシンクロ)、この個体の鳴き声で間違いありません。 
(鳴く♂に注目し続けたので、遠く離れた♀が鳴き返したかどうか不明です。) 

しばらくすると、♂は身震いしました。 
次に♂は電柱の天辺で細かく足踏みしながら方向転換し、♀が見える方向に向き直りました。 
♀と同様に脱糞してから(@2:33〜)♂も電柱から右に飛び立ちました。 
羽ばたきと滑空を交互に繰り返し、♀からも離れてどこかへ飛び去りました。

パートナーの♂が居なくなっても、♀は遠くの電柱に止まったままでした。 
撮影後に私が道を歩いて近づくと、カメラを起動した途端に♀は逃げてしまいました。(映像なし) 

ノスリ♀♂が1羽ずつ脱糞してから飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@3:34〜) 
♀が飛び去る直前に♂と鳴き交わしていました。 
(♂が一瞬先に鳴き、♀が応えてから離陸。) 

※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


日の入り時刻は午後17:16。
夕方に塒入りする時刻にはまだ早いのかもしれませんが、塒(ねぐら)の位置を突き止められませんでした。 
おそらく近くのスギ防風林ではないかと予想しています。 
それとも山林に帰るのでしょうか? 


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