2023年10月上旬・午後17:35頃・気温15℃・日の入り時刻は午後17:16。
ニホンアナグマ(Meles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地(セット)に日没後、アナグマ成獣が単独で戻ってきました。
この個体の性別を私には見分けられなかったのですが、左右の瞳の大きさが同じだったので、♀ではなくヘルパー♂ではないかと推測しています。
巣口Lの匂いを念入りに嗅いでから、中に潜り込みました。
するとアナグマと入れ替わるように、大量の虫が巣穴Lから脱出し始めました。
白黒の暗視映像を等倍速で見ても虫の動きが分かりにくいのですが、5倍速の早回し映像に加工すると分かりやすくなります。
映像を見直しても、アナグマが入巣Lする前には、虫の出入りはありませんでした。
アナグマが巣穴に入ったことで、中に居た虫の大群が「蜘蛛の子を散らすように」脱出してきたようです。
飛べない徘徊性の昆虫のようですが、暗い夜だから飛べないのかもしれません。
アリにしては大きいです。
クロスズメバチの巣をアナグマが地中で壊してしまったのか?などと想像を逞しくしてしまいます。
越冬のために集まっていた虫という可能性もありますが、さすがに時期がまだ早い気がします。
巣穴の内部が虫の大群に占拠されていて、アナグマは平気なのか?と心配になります。
虫嫌いのヒトにとっては、想像するだけでも絶叫したくなるぐらいの悪夢でしょう。
しばらくすると、何事もなかったかのようにアナグマが巣口Lから外に出て立ち去りました。
出巣Lしたアナグマの体表にたくさんの虫がまとわりついているかと思いきや、不思議とそんなことはありませんでした。
アナグマは古巣を内検したついでに、巣内で数匹の虫を捕食したのかもしれません。
【考察】
実は後日にも、同様のシーンが繰り返しトレイルカメラに撮れていました。(映像公開予定)
長い期間ずっと空き巣になっているアナグマの古巣に、次は誰が移り住むのか、誰が最も頻繁に縄張り宣言のマーキングをするか、などと住環境の面ばかり私は気にしていました。
穴居性の昆虫が群れをなして巣穴に潜んでいる(居候)となれば、虫を食べるアナグマやタヌキが絶好の狩場として繰り返し訪れているのだと理由が分かりました。
謎の虫の大群の正体は何でしょうか?
本来ならば現場検証して巣穴の中を実際に調べてみるべきですが、実現できていません。
巣穴に出入りする野生動物を刺激したくない私は、巣口に決して近寄らないようにしています。
それから、トレイルカメラで撮れた膨大な動画の整理が追いつかず、この現象を動画で知ったときにはすっかり寒い冬になっていました。
カマドウマの幼虫ではないか?という仮説は、たまたま宮崎学『森の365日:宮崎学のフクロウ谷日記』という本を読んでいて着想を得ました。
カマドウマは、肉食で、死んだ虫などを食べる森の掃除屋でもある。昼間は洞窟や樹洞など湿っぽいところに潜み、夜になると出歩く夜行性の昆虫だ。日々行動していていい隠れ場所があると、そこをすみかとしてしまう (p70より引用)
キリギリスやカンタンなどの仲間は卵で越冬するが、カマドウマは若者で冬を越す。だから、真夏に世代交代をするのだ。(p117より引用)
近くにあるタヌキ専用の溜め糞場wbcで9月上旬に未消化の昆虫のクチクラ断片が混じった糞塊が残されていました。
素人目にコオロギかと思ったのですが、もしかするとタヌキがカマドウマを大量に食べたとすると、辻褄が合いそうです。
関連記事(1ヶ月前の撮影)▶ ホンドタヌキが捕食したコオロギ類の未消化クチクラが大量に含まれた溜め糞
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