2024/04/04

夜に一時帰還した旧営巣地で幼獣に毛繕いしてやるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年7月中旬 

どこか別の巣穴に転出したニホンアナグマ♀♂(Meles anakuma)の母子が、生まれ育った営巣地(セット)に夜もときどき一時帰還するようになりました。 
採餌徘徊のついでに立ち寄るようです。
相変わらず、ヘルパー♂は付き添っていません。 
母親♀が幼獣に対他毛繕いするシーンをまとめてみました。 

シーン0:7/13・午後13:31・気温37℃(@0:00〜) 
シーン1:7/13・午後16:33・(@0:04〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
2つのアングルから巣穴L、Rをそれぞれ監視してます。 


シーン2:7/13・午後20:49・(@0:07〜) 
画面の右で母親♀が1頭の幼獣の毛皮を舐めてやっています。 
対他毛繕いが済むと、♀だけ右へ立ち去り、幼獣2頭が巣口Rの匂いを嗅いだり付近をうろついたりしています。 


シーン3:7/13・午後21:02・気温22℃(@0:49〜) 
母親♀が先頭に立って獣道を右へ歩き始めました。 
横から見ると、腹面に乳首が見えます。 
立ち止まって体をボリボリ掻きました。 
次にその場で仰向けになり、毛繕いを始めました。 
そこに近寄ってきた幼獣を舐めてやります。 
幼獣たちはもう乳離れしているようで、各々が採餌しています。 


シーン4:7/17・午前2:59・(@1:49〜) 
4日後も夜にアナグマ母子が現れました。 
まず先に旧営巣地(セット)に到着した幼獣2頭が巣口Rを点検しています。 
奥の二次林から母親♀が遅れてセットにノソノソと登場。 
この個体は、暗視映像で見ると左右の目の大きさが不均等(右目<左目)なのが特徴です。 
離乳後も、腹面の乳房・乳首が発達しています。 

先に来ていた幼獣に巣口Rで♀が対他毛繕いをし始めたものの、遊びたい盛りの幼獣は左に駆け去ってしまいました。 
別個体の幼獣が暗闇で突進したら、垂れ下がる蔓に頭が引っかかって揺らしました。(@2:20〜) 
何事かと♀が振り返ってその幼獣を気遣います。 


シーン5:7/17・午前4:04・(@2:38〜) 
巣口Rで母親♀(右目<左目)が幼獣2頭に対他毛繕いしています。 
もう赤ちゃんじゃないので排泄の世話をする必要はなくなったと思うのですが、♀は幼獣の腰や尻の辺りを重点的に舐めてやります。 


シーン6:7/17・午前4:06・(@3:39〜) 
広場の奥の林縁に移動した♀が幼獣に対他毛繕いをしています。 
幼獣もたまにお返しで母親に毛繕いしているようです(相互毛繕い)。 
最後、アナグマの母子は右へ立ち去りました。 
戻ってこなかったので、アナグマ一家が昼間に休む巣穴はここではないことがはっきりしました。

夜明け前の暗い林内でヒグラシ♂たちが、カナカナカナ…♪と一斉に鳴き始めました。 
日の出時刻は午前4:26。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。



獲物を求めて飛び回り、スギ大木の剥がれかけた樹皮の裏を調べるヒメスズメバチ♀

 

2023年7月中旬・午前11:30頃・くもり 

里山の山腹をトラバースする林道の脇でヒメスズメバチ(Vespa ducalis pulchra)のワーカー♀が探餌飛翔していました。 
本種はアシナガバチの巣を襲ってその幼虫や蛹を専門に狩るスペシャリストです。 
つまり、狩りモードのヒメスズメバチ♀はアシナガバチの巣を探しているのです。 
スギ老木の根元をホバリングで飛び回り、林床に下草として生えたチヂミザサの葉に着陸すると、枯れたスギ落ち葉の下に潜り込んだりしています。 

私が動画を撮りながら少し近づくと、ヒメスズメバチ♀はスギ幹の根元付近に取り付きました。 
樹皮を齧り取って巣材集めをするのかと思いきや、剥がれかけた樹皮の裏側へ潜り込みました。 
しばらくするとまた外に出てきました。 
このとき獲物の肉団子を咥えてなかったので、樹皮の裏側にアシナガバチの巣はなかったようです。 
そもそも私の経験上、樹皮の裏側の隙間になんかアシナガバチは営巣しそうにありません。

スギ老木への興味関心を失った蜂は、探餌飛翔に戻りました。 
ヒメスズメバチ♀の探餌飛翔を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:05〜) 
スギ林内を低空でジグザグに飛び去りました。

実は、まさにこのスギ大木のめくれかけた樹皮の裏側にカマドウマの大群が潜んでいたことがあります。 
もしもヒメスズメバチ♀がカマドウマを狩りにせっせと通っていたら大発見です。 

関連記事(2年前の撮影)▶ スギの樹皮の裏側に群生するマダラカマドウマ 


今思えば、剥がれかけた樹皮の裏側にヒメスズメバチが営巣していた可能性もありそうです。 
高見澤今朝雄『日本の真社会性ハチ』という図鑑を紐解いてみると、
ヒメスズメバチの営巣場所は、土中の空洞、樹洞、家屋の屋根裏、壁間など(p109より引用)
動画撮影後にスギ樹皮をめくって、しっかり確かめるべきでした。 

関連記事(6、10年前の撮影)▶  



【追記】
探餌行動とは限らず、創設女王が営巣地候補を探索していたのかもしれません。
剥がれかけた樹皮の裏側に樹洞があるのかと期待して潜り込んだとすれば、辻褄が合いそうです。
ヒメスズメバチは獲物となるアシナガバチの生活史と合わせるために、自らの営巣は他のスズメバチ類よりもかなり遅れて始めます。
しかし撮影した7月中旬にヒメスズメバチの創設女王が営巣地を探索しているのは、いくらなんでも遅すぎる気がします。


2024/04/03

怪我した右後脚をかばって3本足で痛々しく跛行するホンドタヌキ♂が排尿マーキング【トレイルカメラ】

 



2023年7月中旬・午前5:25頃・気温21℃ 

ニホンアナグマ(Meles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地(セット)に、ある朝早くホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の♀♂ペアがやって来ました。 

シーン0:7/7・午後16:21(@0:00〜) 
数日前の明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 


シーン1:7/13・午前5:23(@0:04〜) 日の出時刻は午前4:24。 
巣口Rを覗き込んで匂いを嗅いでいる個体は、後ろ姿の股間に睾丸が見えるので♂と分かりました。 
驚いたことに、この♂個体は右後足を地面に付けないように、3本足で痛々しく跛行していました。
酷い怪我をしているのでしょうか? 

その間、♀と思われるパートナーが画面の右端で待っています。 
奥の二次林内で合流した2頭が仲良く相互毛繕いを始めました。 


シーン2:7/13・午前5:25(@0:48〜) 
タヌキの♀♂ペアは再びアナグマの旧営巣地に出てくると、巣穴Rを避けるように、左へ立ち去りました。 
健常な♀が先行し、後続の♂が3本足でひょこひょこと跛行しています。 


シーン3:7/13・午前5:26・気温21℃(@1:04〜) 
別アングルで設置した新機種のトレイルカメラで続きが記録されていました。 
後続個体♂が、通りすがりに立木(樹種不明)の匂いを嗅いでから幹に排尿マーキングしました。 
怪我している片足(右後脚)を上げた姿勢のままで小便しました。 
排尿姿勢からも、この個体は♂であることが分かります。 

二次林内の獣道を辿って2頭のタヌキ♀♂が前後して立ち去ります。 
ハンディキャップがあっても、健常個体♀に遅れを取らず(遜色なく)ついていけてるようです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
タヌキ♂右後脚の怪我について。
負傷の原因は不明ですが、夜の車道で交通事故に遭ったとしたら、こんな軽傷では済まないでしょう。 
この二次林にはノイバラの群落があちこちに自生していて、私も薮漕ぎする度に衣服に引っかかってかぎ裂きになったり手足に刺さって出血したりと、難儀しています。 
今回のホンドタヌキ♂も獣道でノイバラの棘をうっかり踏んで足の裏に刺さり、化膿してしまったのではないか?と推察してみました。 
先天的な奇形の可能性も考えられます。 
このまま定点観察して、跛行の症状が回復すれば、奇形の可能性は除外できるはずです。 

同一個体が数百m離れた溜め糞場でもトレイルカメラに写っていました。


農作物が野生動物(害獣)の食害を受ける問題が近年、深刻になっています。 
農地を電気柵で囲うなどの対策が取られています。 
今回の件で思いついたのですが、農地の周囲に棘のある低灌木をびっしり植えて生垣としたり、大量の棘だらけの落枝を地雷原のように地面に並べておけば、野生動物の侵入を防げるかもしれません。 
逃げる忍者がまきびしをばら撒いて追手を食い止めるのも同じ発想です。
草食動物の食害から身を守るために鋭いトゲを進化させた灌木には、ノイバラやウコギ、タラノキなどがあります。
(ただし、シカやイノシシなど有蹄類は茨の道を平気で歩けそうです。) 
農作業をするヒトは厚底の靴を履いて農地に出入りすれば良いのです。 
ノイバラの生垣がなぜ「失われた知恵」になってしまったのでしょうか?
今となっては「茨(いばら)の道を歩く」という慣用句にしか使われていません。
考えてみると、隙間なく生垣を植栽するのが面倒なので、便利な有刺鉄線が発明されたのでしょう。 
私が子供の頃、有刺鉄線は「バラ線」と呼ばれて現役で使われていました。 
それでも害獣への防除効果が薄いために、現代の電気柵に取って代わられたという歴史がありそうです。 
電気柵は周囲の草木に接触して漏電したり電池切れしたりすると、防除効果がゼロになります。 
電気柵の欠点を補うために、もし余裕があれば、農地の周囲にトゲのある生垣を少しずつ復活させるのもエコかもしれません。 (温故知新)
農地を囲う生垣を隙間なく完全に作るのは大変ですが、一部だけでも野生動物の侵入経路を限定することができそうです。
ウコギやタラノキを植えれば、山菜として食用にもなります。
キイチゴ類は甘い果実を提供してくれるでしょう。


私が観察しているアナグマの営巣地には大量の落枝が散乱しています。 
落枝をきれいに始末しないアナグマはずぼらな性格なのだと思っていました。
落枝の中に実は、ハリギリ(別名センノキ)という、幹にたくさんの棘が並ぶ木の若い倒木が含まれていました。 
アナグマも巣穴に出入りする度にハリギリ倒木の棘を踏みそうになっていたので、良かれと思って私は勝手に取り除いてしまいました。 
巣穴を監視するために設置したトレイルカメラの画角をハリギリ倒木が遮って撮影の邪魔になる、という理由もありました。
今になって考えると、天敵や不法侵入者への防犯装置として有効だったかもしれません。 
アナグマが棘だらけのハリギリ倒木をわざわざ巣穴の近くまで引きずってきたとしたら、面白いですね。 
アナグマの防犯装置を勝手に取り除いた私は、余計なお世話というか、悪いことをしてしまったかもしれません。 
しかし、私が横にどけたハリギリ倒木をアナグマが再び元に戻すことはありませんでした。 
生まれてきたアナグマの幼獣は、ハリギリの倒木を踏まないように避けて歩くよう学習しないといけません。 
アナグマの母親♀が引率して森を案内する際に、幼獣に教えるのでしょうか。
残念ながら、その過程を観察できませんでした。 



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