2023年7月上旬
ニホンアナグマ(Meles anakuma)の母子が久しぶりに生まれ育った営巣地(セット)に一時帰還した日に、幼獣が後足で立ち上がる謎の行動が何度も見られたのでまとめてみました。
シーン1:7/9・午前6:24(@0:00〜)
レンズに雨の水滴が付着しているのか、夜が明けたのに、画面全体がやや曇っています。
赤丸で囲った幼獣個体に注目してください。
後足で立ち上がると、灌木の細い幹に前足を掛けました。
樹上に気になる虫でも見つけたのでしょうか?
枯れ木で枝葉が付いてなかったので、巣材集め行動の萌芽とは考えにくい気がします。
シーン2:7/9・午前6:32・気温23℃(@0:20〜)
母親♀が幼獣4頭を引率して獣道を辿り、右上奥の灌木林へ向かっています。
道中で1頭の幼獣が立ち止まると、立木に前脚を掛けながら後足で立ち上がりました。
この立ち木にはたまにタヌキが通りがかりに排尿マーキングしているので、その匂いに反応したのかもしれません。
シーン3:7/9・午前8:01・気温27℃(@0:39〜)
赤丸で囲った1頭の幼獣個体が再び例の立木に前脚を掛けて立ち上がり、幹の匂いを嗅ぎました。
シーン4:7/9・午前8:05(@0:57〜)
赤丸で囲った幼獣個体が、林縁で細い灌木に前脚を掛けて立ち上がりました。
シーン1と同じ枯木だと思います。
別個体の幼獣がじゃれついたので、邪魔されてしまいました。
シーン5:7/9・午前8:09(@1:16〜)
赤丸で囲んだ1頭の幼獣が前脚を立木(樹種はミズキ?)に掛け、後足で起立しました。
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。
【考察】
幼獣を個体識別するのは無理なので、毎回同じ個体がやっているのかどうか分かりません。
以前は母親♀が営巣地周辺の林内で同様に立ち上がり、樹上の枝葉や蔓植物を掻き集めて巣材(寝床)としていました。
しかし、この時期の成獣(母親♀)は後足で立ち上がる行動をやらなくなりました。
巣材集め行動の萌芽が早くも幼獣で見られたのかな?
幼獣の兄弟姉妹間で取っ組み合いの格闘遊びが頻発しています。
自分が一番大きいことを示して兄弟姉妹間で序列をつける誇示行動なのか?と思いつきました。
それなら競い合うように複数の幼獣が同時に後足で立ち上がって背比べしても良さそうなものです。
立ち上がって幹の匂いを嗅ぎながら、なるべく高い位置に放尿マーキングしているような気もします。
しかし排尿の有無を動画では確認できませんでした。
難しく考えなくても、好奇心旺盛な幼獣による単なる探索行動なのかもしれません。
我々ヒトの直立姿勢とは異なり、アナグマは立木を支えにして掴まり立ちしないと後足だけでは立ち上がれないようです。
同じイタチ科のテンやイタチはたまに後足だけで直立姿勢になって周囲を警戒することがあります。
ずんぐりむっくり体型のアナグマは骨格的に無理なのか、掴まり立ち以外の純粋な直立姿勢を私はまだ見たことがありません。
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