2022/10/31

キャットミントの花で採餌するクロマルハナバチ♀

 

2022年7月下旬・午後16:20頃・くもり 

山麓の農村部の道端に咲いたキャットミントの群落でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。 
シソ科の唇形花に忙しなく正当訪花を繰り返しています。 
口吻を伸ばして吸蜜する後脚を見ると、花粉籠は空荷でした。 
蜂が花にしがみつくと、その体重で茎が大きくしなります。
対生する葉の先をちぎって嗅ぐとミントの香りがしました。 
たぶんキャットミントだと思います。
 

 ↑【おまけの動画】 
Bumblebees enjoy playing with balls, according to study – BBC News 
「マルハナバチはボールで遊ぶ」という新発見を紹介するニュースです。 
特に若い個体がよく遊ぶのだそうです。

2022/10/30

スギ林道の溜め糞場で跛行しながらスクワットマーキングするアルビノのニホンアナグマ♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年7月下旬
前回の記事:▶ タヌキと同じ溜め糞場に排便するニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

里山のスギ林道に残された溜め糞場sを自動撮影カメラ(トレイルカメラ)で監視していると、ニホンアナグマMeles anakuma)が深夜に現れました。 

シーン1:7/23・午前4:08(日の出時刻は午前4:31) 
未明に登場したアナグマは、右後脚を負傷しているのか、怪我をかばうように不自然な跛行をしていました。 
「びっこを引く」という表現をヒトに対して使ってしまうと大問題の差別表現になりますが、野生動物の異常な歩行を正確に記述するのに必要なので、臆せず使わせてもらいます。 
暗闇の林床でトゲを踏んでしまい、痛がっているのかな? 
それとも生まれつき(先天性)股関節の奇形なのでしょうか? 

しかも、この個体はアルビノ(白毛)かもしれません。 
赤外線の暗視映像では顔の黒い縦縞模様が見えませんし、足も黒くありません。 
比較対象として、ノーマルタイプのアナグマを同じトレイルカメラで撮らないことには、単なる白飛び(露出オーバー)の可能性が否定できません。 

スギ大木の根元を通って林道を左へ立ち去りました。 
と思いきや、すぐに左から戻って来ました。 
素人目には排便したくて我慢しているように見えます。 

溜め糞場sで脱糞を試みたものの、林道上に転がっている細長いスギ落枝の存在に驚いて左へ走り去りました。 
暗闇で、今まで無かった異物に躓いたら警戒するのも当然です。 
ちなみに、この落枝には野ネズミも吃驚仰天して慌てて逃げていきました。
▼関連記事(同時期に同所で撮影) 
深夜の林道で野ネズミが跳び上がって驚いた訳とは?【トレイルカメラ:暗視映像】
どうもこの落枝のせいで、野生動物の排便シーンが撮影できてない気がします。 
後日、私が現場入りしたときに、この落枝を林道上から取り除いてやりました。 


シーン2:7/26・午前2:13 (@0:34〜) 
3日後の深夜、おそらく同一個体と思われるアナグマが登場。 
歩き方がきわめて特徴的(跛行)なので、個体識別が可能です。 
里山には天敵の捕食者(ニホンオオカミや野犬)が居ませんから、足が不自由でも生存可能なのでしょう。 
平凡社『世界大百科事典』でアナグマを調べると、面白い記述を見つけました。
アナグマの脚は山腹を歩きやすいように両側で長さが不ぞろいであるとの伝承があり,英語で badger-leggedといえば足の長さが違う人を指す。
跛行するアナグマは珍しくないのかもしれません。 
股間に大きな睾丸が見えたので、♂のようです。 

跛行アナグマ♂は溜め糞場sの周囲の匂いを嗅いだだけで、左へ立ち去りました。 
すぐにまた画面下からヌッと再登場すると、辺りをウロウロと徘徊しています。 
しゃがんでいかにも排便しそうな姿勢になっても、結局カメラの前では脱糞しませんでした。 
どこで排便するか決めかねてウロウロしているのでしょうか? 

林床の落葉を後ろ足で後方に掻き出す行動をしました。 
イヌの脱糞直後の行動と似ています。 
糞を土で埋める行動の名残なのかな? 

最後は林道を右に走り去りました。 
今回も溜め糞場で脱糞しなかったのは、細長い落枝の存在を嫌ったからでしょうか?

※ アナグマが画角から一時消えている間は、5倍速の早回し映像に加工しています。 


当時の私はアナグマの観察歴が浅かったために、この個体の行動が理解できずに、排便を我慢しているのかと勘違いしました。 
金子弥生『里山に暮らすアナグマたち: フィールドワーカーと野生動物』という本を読んでみると、第3-3章に「嗅覚によるコミュニケーション」として分かりやすくまとめてあり、勉強になりました。
肛門腺と臭腺の二つの器官を使って、アナグマは自分の巣穴の入口付近、けもの道の途中などにマーキングを行う。マーキングには「スクワットマーキング」と「アロマーキング」の二種類があることが知られている。スクワットマーキングは、アナグマがスクワットのような姿勢で腰をぺたんと地面や対象物に向けて落とし、尾を上げて臭腺を目的物にこすりつける動作である。アロマーキングとは、アナグマどうしのにおいつけであり、二匹のアナグマがおしりを向けて立ち、臭腺を直接たがいにこすりあう。(p64〜65より引用)

動画の個体は、溜め糞場の下草にスクワットマーキングして縄張り内の獣道に匂い付けしていたのだと初めて理解できました。 



つづく→溜め糞場で排便後にスクワットマーキングするニホンアナグマ♂(アルビノ?・跛行)【トレイルカメラ:暗視映像】

飛べないオオミズアオ♀(蛾)

 

2022年7月下旬・午後14:20頃・くもり 

低山の尾根道を縦走していたら、道端の幼木にオオミズアオ♀(Actias aliena)がしがみついてハタハタと弱々しく羽ばたいていました。 
きれいな翅は無傷で、羽化直後のようです。 
触角が羽毛状に発達せず、腹部が膨満していることから♀と判明。 
オオミズアオ幼虫の食樹はバラ科、ブナ科、カバノキ科、ミズキ科とされています。
この尾根道の周囲は雑木林なので、オオミズアオが生息していても不思議ではありません。

オオミズアオ♀は自分で勝手に暴れて止まり木から落ちては下の枝葉に引っかかり登り返す、を繰り返しています。 
地面に落ちても、枯れ茎を登り先端へ移動します。 
飛び立てる場所を探しているようにも見えます。
腹端に注目すると性フェロモンを放出中(コーリング)なのかな?と思うものの、定かではありません。 

目の前に左手を差し出して手乗りさせると、腕までどんどん登って来ます。
私の汗ばんだ腕の上で羽ばたいてくれたので、しばし涼風を感じました。 
オオミズアオ成虫の口吻は退化していますから、ヒトの汗を吸汁したりしません。 
すぐに力なく落下してしまいました。 
撮影する私の靴にまとわりつくように尾根道を歩き回るので、私は後退しながらも蛾を踏みつけそうになり焦りました。 
やがて疲れたのか、全開にした翅をペタンと広げて地面に静止。 

どうして飛べないのか、理由が分かりません。 
もし天敵に見つかったら、あっさり捕食されてしまうでしょう。 
♀は卵巣でいっぱいの腹部が重くて、念入りに準備運動をして体温を上げないと飛び立てないのかな?

【おまけの写真】 
2021年6月下旬 

同じ山系の麓でオオミズアオ♀が用水路のコンクリート蓋に止まって日光浴していました。 
翅の縁が少し破損しています。
お蔵入りしていた写真がようやく日の目を浴びました。

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